本日、「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」(事務局:FoE Japan)では、環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」 座長:長瀧重信長崎大名誉教授)がまとめた「中間とりまとめ」について批判的検証を行い、「福島県県民健康調査において明らかになってきている甲状腺がんの深刻な状況についての分析を行っていない」など13の問題点を指摘するレポートをとりまとめ、発表しました。
http://www.foejapan.org/energy/news/150113.html
レポートでは、「内容以前に、専門家会議の委員構成や会議の進行に大きな問題点があった」とし、また、「福島県県民健康調査において、小児甲状腺がんの多発という点でも、転移・浸潤を含む症状の深刻さという点でも、2巡目の検査で1巡目では見つからなかったがんが4例見つかるという点でも、非常に深刻な結果が出ているのに、これについて分析・検討することをしなかった」とした上で、専門家会議の中間取りまとめが、福島県で行われている甲状腺検査について、「疫学追跡調査」へ見直すよう提言している点について「個々人の健康管理を蔑ろにしている」と批判しています。
また、「中間取りまとめ」が、福島県外における甲状腺検査の必要性を否定した点については、UNSCEARのデータや最近の研究における放射性ヨウ素も放射性セシウムの拡散評価では、福島県外において福島県と同等レベルの汚染の広がりを示している点を指摘。「福島県内外で被ばく量を比較することは非科学的である。県外の被ばく量は低いとして、県外における健診を切り捨てることは認められない」としています。また、WHOとUNSCEARの報告の引用については、内容に関する検証を行っていないばかりか、原典に書いていないことが引用されていたり、恣意的に、あるいは誤って引用されたりしている点を事例をあげて批判しています。
さらに、甲状腺がん以外のがんや、非がん疾患について否定していることは、原爆被爆者の調査やチェルノブイリ原発事故の被ばく者などを対象とした多くの研究結果を踏まえていないと指摘しています。
同委員会では、「以上のことから、この『中間取りまとめ』を、原発事故に伴う住民の健康管理施策の根拠にするべきではなく、環境省は施策の全面的な見直しを急ぐべき」としています。
レポート本体は、以下からダウンロードできます。
http://www.foejapan.org/energy/news/150113.pdf
別紙として以下の7点の資料を添付しております。こちらもぜひご覧ください。
別紙1:深刻な甲状腺がんの症例
別紙2:UNSCEARによる福島県および近隣県の自治体ごとの1歳児甲状腺吸収線量の評価
別紙3:県境を超える放射性物質の広がり
別紙4:項目9に関わる、「専門家会議」が無視している外部識者の主なる意見
別紙5:原爆被爆者の 保健・医療のための施策・制度
別紙6:原爆被爆者とチェルノブイリ事故被災者(ウクライナ)の支援対象疾病
別紙7:被ばくに関わる健康管理対策の概略的な比較
詳細や図表は、FoEサイトよりご覧ください。
http://www.foejapan.org/energy/news/150113.html
2015年1月13日
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