東京電力福島第一原発事故に伴うコメの全量全袋放射性物質検査で、昨年12月末までに計測した平成26年産米の約1075万点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり放射性セシウム100ベクレル)を下回った。一般的に新米とされる生産年の12月末までの検査で基準値超過ゼロを達成したのは初めて。これまで、一部で基準値超えがあり、県産米の買い控えや風評被害につながっていた。専門家はセシウム吸収抑制対策の効果としている。
県は県産米に対する消費者不安の解消や基準値を超えたコメの流通防止を目的に、24年産から全量全袋検査を始めた。ベルトコンベヤー式放射性セシウム濃度検査器を用いて全袋をスクリーニング検査し、機器ごとの設定値(1キロ当たり約50~80ベクレル)を超えた玄米は、ゲルマニウム半導体検出器で詳細検査を実施している。100ベクレルを超えた玄米は流通させずに廃棄するとした。
生産年ごとの検査結果は【表】の通り。24年産は約1035万点を調べ、基準値超えは71点で全体の0・0007%だった。25年産の約1100万点からは、全体の0・0003%に当たる28点が100ベクレルを超えた。26年産米の検査は12月末現在で95%以上終了し、詳細検査に移ったのは29点で、いずれも最終的に基準値以下だった。24年産の詳細検査867点に比べ30分の1程度に減った。
県はセシウムの自然減衰に加え、JAなどと連携しイネがセシウムを吸い上げないよう、塩化カリ肥料などの散布や土壌の深耕・反転耕などの吸収抑制対策を進めてきたことが成果を挙げているとみている。県はカリ肥料などの購入費の全額補助を続けており、26年度は水田6万8千ヘクタール分として約16億1千万円を投じている。
県水田畑作課の天野亘課長は「(基準値超の検体ゼロは)風評の払拭に向け大きなPR材料になる」としている。
国や県などの調査研究で、土壌中のカリウムにより、イネのセシウム吸収が抑制されることが分かっている。イネの生育初期に水田土壌のカリウム濃度を高めることが重要で、県やJAは乾土100グラム当たりカリウムを25ミリグラム以上に保つよう指導している。
2015/01/09
福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2015010920247
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