2015/01/04

地方移住:4年で2.9倍 「首都・近畿圏から」3割 毎日新聞・明治大調査


 地方自治体の移住支援策を利用するなどして移り住んだ人が2013年度に8169人に上り、4年間で2・9倍に増えたことが、毎日新聞と明治大学地域ガバナンス論研究室(小田切徳美教授)による共同調査で分かった。東京圏への一極集中や人口減少が懸念される中、若い世代の地方への移住意識の高まりや、自治体の支援策拡充が背景にあると考えられる。市町村を対象にしたこうした実態調査は初めてとみられる。

 ◇自治体支援を活用

 調査は昨年12月、アンケート形式で実施。人口が集中する東京都と大阪府を除き、移住相談の窓口や中古住宅を活用する「空き家バンク」などの支援策を利用した人や、住民票提出時の意識調査で移住目的とした人のうち、別の都道府県から移り住んだ人数を各市町村に尋ねた。市町村の情報を把握している鳥取や島根、高知などの18県は県に問い合わせた。残りの27道府県1096市町村のうち92%にあたる1008自治体から回答を得た。

 移住者数は09年度が2822人、10年度が3819人、11年度が5143人、12年度が6043人、13年度が8169人。移住者数が最も多かったのは鳥取県で962人、続いて岡山県が714人だった。ただ、他県でも移住者数を集計していない自治体があることや、行政の支援策に頼らず移り住んでいる人もいるため、実際の移住者数はさらに多いとみられる。

 一方、13年度の移住者の元の居住地を分析したところ、東京や神奈川、埼玉、千葉など首都圏からの移住者が1365人、大阪、兵庫、京都などの近畿圏からは1035人となり2大都市圏で全体の29・4%を占めた。鳥取の場合、大阪から202人、兵庫から127人など近畿圏からの移住者が3分の1に達し、隣接する岡山が85人で続いた。

 市町村別で移住者が多かったのは、大分県豊後高田(ぶんごたかだ)市で、13年度は県外から114人が移り住んだ。市の人口は1950年の約4万9200人をピークに約2万3500人(昨年11月)まで減少したが、空き家バンク制度の導入や、新婚世帯を対象に割安で入居できる集合住宅を建設するなど若者を呼び込む施策を実施。昨年4〜11月で、市への転入が転出を86人上回った。市は2021年までに3万人を目指すとしている。

 政府の昨年の調査では、若い世代が移住を検討する理由として、出身地へのUターンが多いものの、ゆとりある生き方を求める「スローライフ」の実現とした意見も目立つ。

 小田切教授は「東日本大震災を機に移住が進んだとも言われていたが、実際は震災前からの息の長い動きになっている。移住者の受け皿作りに積極的な自治体が、人を集めている。最近は特に、都市部の若者が農村を目指しているのではないか」と指摘している。

http://mainichi.jp/shimen/news/m20150103ddm001040114000c.html?fm=mnm
毎日新聞 2015年01月03日 東京朝刊



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