[正確な被ばく状況を知る取組みとしては評価できるが、こうして地域の線量管理ではなく、個人の線量管理として、帰還を促進する方向は許されないことでしょう。なぜなら、線量計が感知し、測定値に反映される線量が、その人が(全身で)受けた線量値と一致しない可能性が高いから。これまで使用されているガラスバッジでは7割という試算も出されているくらいです。慎重に検討して欲しいです。]
政府は東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が解除された地域住民の健康支援に向け、個人被ばく線量を衛星利用測位システム(GPS)を使い自動で収集するシステムの導入を検討している。今春に試験機を完成させ、一部地区で実証試験を始める方針。データは浜通りに整備する予定の国際産学連携拠点などで活用し、住民の健康支援や研究に生かす。
GPS機能の付いた新たな個人線量計は滞在した場所や時間、被ばく線量の情報を10分間ごとにGPSへ発信する。情報は蓄積され、屋内を含めて住民がどこで、どのくらいの放射線を浴びたかが正確に分かる。情報を活用し、放射線量の高い場所の滞在を少なくすれば、無用な被ばくを避けられる。
線量などの情報は住民が携帯する小型の個人線量計からGPSを経由し、政府の福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で整備する予定の国際産学連携拠点や双葉郡の医療機関に集約される。放射線による健康への影響を調べ、長期にわたる住民の健康支援などに活用する。線量計の大きさは名刺ほどで、持ち運びしやすい。
これまでの線量計(D-シャトルなど)は、線量などの情報を別の機器で読み取った上でカウンセラーが携帯者本人から過去の行動を問診で確認し、滞在した場所や時間、被ばく線量を照らし合わせていた。新たなシステムでは滞在場所などを本人に聞き取る手間がなくなり、住民の負担は少なくなる。幼い子どもは詳しい行動を覚えていない場合が多く、従来以上の効果が見込める。
政府は昨年6月、年間積算線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域を除染した場合、原発事故から10年後の年間個人被ばく線量に関する試算結果を発表した。職業別では屋外での活動時間の長い「農林業者」が最も高く、屋外での活動時間が短い「事務員」を大きく上回った。新たなシステムを導入すれば、職業や生活パターンで被ばく線量が異なっても、一人一人に合わせた有効な対策が取れるとみている。
http://www.minpo.jp/news/detail/2015011320330
2015/01/13
福島民報
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