2016/06/04

名張の自然で心身解放 福島の親子ら招き保養キャンプ 来月から/三重


2016年6月4日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160604/ddl/k24/040/394000c
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を心配しながら生活する親子らを招き、自然の中で伸び伸びと過ごしてもらう保養キャンプが、7月から名張市結馬(けちば)で始まる。地元の古民家を活用した保養施設「キッズテラス三重」の改修作業もほぼ終わり、主催する一般社団法人「こども環境基金」の大橋渡代表理事(43)は「思う存分遊んで、子どもらしさを取り戻してほしい」と話している。【竹内之浩】

保養キャンプは1986年のチェルノブイリ原発事故で、ベラルーシ政府などが年に数回、子どもらを遠隔地で保養させ、被ばく量を減らす制度を作ったのが始まり。国内では福島第1原発事故の直後から市民によって各地で催されている。

京都市出身の大橋さんは以前、東京で芸能事務所を経営していたが、「子どもの健康と日本の自然を守る仕事に従事したい」と整体師へ転身。東日本大震災後には、放射能の健康被害を訴えている米国財団の日本事務所副代表を務め、被災者支援にも取り組んだ。

その中で「最も困っている子どもは、被災地で放射能におびえる子ども」と保養キャンプの必要性を感じ、古民家や山林、田畑など施設を開くのに適当な物件が見つかった名張で始めることにした。

キャンプには福島県などの被災地を中心に、環境悪化が著しい都会の子どもも受け入れ、農作業や史跡巡り、地元食材を使った菓子作りなどを通してリフレッシュしてもらう。7月29日から7泊8日の初キャンプには、福島や千葉、東京などの約20人が参加する。

その後も10月中旬までに3度のキャンプを予定しているが、同基金では1年を通して開催する方針。大橋さんは「子ども以上にストレスが多い保護者にも、心身を緩めるひとときを提供したい。おいしい空気や食べ物など名張の良さを知ってもらい、移住につながればうれしい」と語る。

キャンプの参加費は同基金が子どもについては交通費を含めた全額、保護者分も交通費以外を負担するため、サポート会員の募集やボランティア、寄付の協力を呼びかけている。問い合わせは同基金(0595・63・3077)。
〔伊賀版〕

保養キャンプに使う古民家の前に立つ大橋渡さん=三重県名張市結馬で、竹内之浩撮影

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