http://mainichi.jp/articles/20160601/ddl/k28/040/447000c
夏休みの1週間、福島県の小学生20人を招き、放射能の影響を心配せずに伸び伸びと遊んでもらう保養キャンプ「東はりまゆるわくキャンプ」が加古川市などで開かれる。昨夏に続く2回目の試み。主催する東はりま保養キャンプ運営委員会の藤田のりえ代表(66)は「ゆるゆると何もしないで休み、わくわくする体験を楽しみ、たまったストレスを発散して子供らしさ、元気を取り戻してほしい」と、準備を進めている。【藤田宰司】
保養キャンプは、2011年の東京電力福島第1原発事故直後から全国各地で始まった。県内では神戸や宝塚、丹波、淡路市などに拠点を置く市民団体が、夏休みや冬休み、春休みの数日から2、3週間、キャンプやホームステイなどで子供や家族を受け入れている。
東はりまゆるわくキャンプを始めるきっかけは、藤田代表らが14年8月に開催された「たこ焼きキャンプ」(福島の子どもを招きたい!明石プロジェクト主催)を手伝ったことだ。「土や落ち葉に触れないよう言いつけられている」「少しでも被ばくを減らそうと、複数のキャンプに子供を参加させる親がいる一方、行きたくても行けない子供も多い」「放射能に対する不安を口にしにくい雰囲気がある」といった被災地の現実と苦悩を聞き、胸が締め付けられたという。
「東播磨地域でも受け入れることができないか」。藤田代表は知人らに声をかけ、15年2月に8人で運営委員会を結成。他団体の活動をお手本に、会場の選定や福島県に出向いての説明会、ボランティアスタッフ募集、寄付や物品提供の依頼などを手分けして準備し、8月の開催にこぎ着けた。
やって来たのは福島市や郡山市などの男子8人、女子12人。地域の食材を使った安心・安全な食事を用意し、花火大会やプール、夏野菜の収穫、バーベキュー、乗馬、工作、星空観察などの催しや体験にも交代で付き添った。
「打ち解けるに連れて元気になり、木工に夢中になったり、馬のたてがみを編んでリボンを付けたり、それぞれが楽しいことに没頭し、食事もおいしそうにたくさん食べてくれた」と藤田代表。
今年は8月2〜8日、加古川市立漕艇センター(加古川市上荘町井ノ口)と明石市立少年自然の家(明石市大久保町江井島)に泊まり、レガッタ体験や飲料工場見学、海水浴などの体験メニューを用意。子供が自分たちでアトラクションや出店を準備する夏まつりも予定している。
課題は運営資金の確保だ。昨年は寄付や助成金、サポート会員224人の会費などで運営費198万円をまかなった。今年はサポート会員300人を目標とし、寄付や助成金も増額を見込んで250万円の予算を立てた。「除染が進んでも放射線量が高いところは残り、低線量でも被ばくし続けることを不安に思う気持ちはよく分かる。できるだけ長く寄り添うことができる仕組みを作り上げたい」と話している。
ホームページ http://yuruwaku.handsjp.com/
■ことば
保養キャンプ
原発事故の影響を受けた地域に暮らす子供が、放射能の心配のない地域で一定期間を過ごすことで、心身の健康を取り戻す取り組み。放射性物質が対外に排出されたり、免疫力が高まる、思い切り遊ぶことによるストレス解消など、健康面や心理面に効果があるとされる。1986年のチェルノブイリ原発事故では、ベラルーシ政府などが、子供らを年に数回、遠隔地で保養させることで被ばく量を減らす制度を作った。
夏休みの1週間、福島県の小学生20人を招き、放射能の影響を心配せずに伸び伸びと遊んでもらう保養キャンプ「東はりまゆるわくキャンプ」が加古川市などで開かれる。昨夏に続く2回目の試み。主催する東はりま保養キャンプ運営委員会の藤田のりえ代表(66)は「ゆるゆると何もしないで休み、わくわくする体験を楽しみ、たまったストレスを発散して子供らしさ、元気を取り戻してほしい」と、準備を進めている。【藤田宰司】
プールで遊ぶ子供とスタッフ=兵庫県加古川市の日岡山市民プールで 2015年撮影、東はりま保養キャンプ運営委員会提供 |
保養キャンプは、2011年の東京電力福島第1原発事故直後から全国各地で始まった。県内では神戸や宝塚、丹波、淡路市などに拠点を置く市民団体が、夏休みや冬休み、春休みの数日から2、3週間、キャンプやホームステイなどで子供や家族を受け入れている。
東はりまゆるわくキャンプを始めるきっかけは、藤田代表らが14年8月に開催された「たこ焼きキャンプ」(福島の子どもを招きたい!明石プロジェクト主催)を手伝ったことだ。「土や落ち葉に触れないよう言いつけられている」「少しでも被ばくを減らそうと、複数のキャンプに子供を参加させる親がいる一方、行きたくても行けない子供も多い」「放射能に対する不安を口にしにくい雰囲気がある」といった被災地の現実と苦悩を聞き、胸が締め付けられたという。
「東播磨地域でも受け入れることができないか」。藤田代表は知人らに声をかけ、15年2月に8人で運営委員会を結成。他団体の活動をお手本に、会場の選定や福島県に出向いての説明会、ボランティアスタッフ募集、寄付や物品提供の依頼などを手分けして準備し、8月の開催にこぎ着けた。
やって来たのは福島市や郡山市などの男子8人、女子12人。地域の食材を使った安心・安全な食事を用意し、花火大会やプール、夏野菜の収穫、バーベキュー、乗馬、工作、星空観察などの催しや体験にも交代で付き添った。
「打ち解けるに連れて元気になり、木工に夢中になったり、馬のたてがみを編んでリボンを付けたり、それぞれが楽しいことに没頭し、食事もおいしそうにたくさん食べてくれた」と藤田代表。
今年は8月2〜8日、加古川市立漕艇センター(加古川市上荘町井ノ口)と明石市立少年自然の家(明石市大久保町江井島)に泊まり、レガッタ体験や飲料工場見学、海水浴などの体験メニューを用意。子供が自分たちでアトラクションや出店を準備する夏まつりも予定している。
課題は運営資金の確保だ。昨年は寄付や助成金、サポート会員224人の会費などで運営費198万円をまかなった。今年はサポート会員300人を目標とし、寄付や助成金も増額を見込んで250万円の予算を立てた。「除染が進んでも放射線量が高いところは残り、低線量でも被ばくし続けることを不安に思う気持ちはよく分かる。できるだけ長く寄り添うことができる仕組みを作り上げたい」と話している。
ホームページ http://yuruwaku.handsjp.com/
■ことば
保養キャンプ
原発事故の影響を受けた地域に暮らす子供が、放射能の心配のない地域で一定期間を過ごすことで、心身の健康を取り戻す取り組み。放射性物質が対外に排出されたり、免疫力が高まる、思い切り遊ぶことによるストレス解消など、健康面や心理面に効果があるとされる。1986年のチェルノブイリ原発事故では、ベラルーシ政府などが、子供らを年に数回、遠隔地で保養させることで被ばく量を減らす制度を作った。
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