東日本大震災による福島第1原発事故の影響で、子どもを連れて鳥取県内に避難した親と、福島を離れずに子育てしている親。全く別の選択をした双方が登壇するフォーラムが13日、鳥取市のとりぎん文化会館で開かれる。「安心して子育てしたいという思いは変わらない」。双方の決断に至る経緯や思いを通して、震災がもたらした現状とこれからをあらためて考える。
「実際の話を聞いて、現状を知ってほしい」と来場を呼び掛ける佐藤事務局長
鳥取県によると、県内に避難している人は8月25日現在で74世帯175人。被災して家や職場を失った人のほか、放射線の影響を恐れ自主的に避難した人などがいる。そんな中、フォーラムを主催するとっとり震災支援連絡協議会には、避難者が故郷で違和感を覚えたり、考え方の違いを感じたというケースが報告されている。
佐藤淳子事務局長は「『安全なのに何で避難するの』『支援金もらえるの』などと言われる場合があり、避難者と地元の人との間に“違い”がある」と説明。帰郷した元避難者などから「線量が気になっても友達や家族ですら本音で話せない」「『逃げた』と思われているのでは」といった不安の声も届く。
一方で、地元にとどまった人の中にも不安を抱え、子どもを保養キャンプなどに参加させる親もいる。佐藤事務局長は「“違い”で終わらせず、互いの選択が尊重されることが大切。安心して暮らしたいのはみな同じ。まず実際に両者が話す場をつくりたかった」と語る。
当日は福島市から鳥取市に移住した4児の母親、紺野栄津さんと福島在住の保育園長、横田智史さんが登壇。フォーラムのタイトル「お母さん、お父さん聞いて…」には、同じく子育て中の鳥取の親にも、震災がもたらした現状を知ってもらいたいという思いを込めた。佐藤事務局長は「誰でも、いつどこで同じ境遇に立たされるか分からない。特に同じ子育て世代の人に、一緒に考えてもらいたい」と話している。
フォーラムは午後1時半から。入場無料。
http://www.nnn.co.jp/news/141007/20141007001.html
日本海新聞
2014年10月7日
「実際の話を聞いて、現状を知ってほしい」と来場を呼び掛ける佐藤事務局長 |
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