2014/10/18

原木シイタケ、「王国」再生へ 生産者ら集い宣言/岩手


 東京電力福島第一原発の事故で放射能被害を受けた県内の原木シイタケ生産者らが17日、産地再生に向けた集いを開いた。約200人が集まり、「一丸となって『シイタケ王国岩手』の再生に取り組む」との大会宣言をした。

 県や全農県本部、県しいたけ産業推進協議会などが主催した。2011年3月の事故発生後、県内のシイタケ生産者らが一堂に集まったのは初めて。出荷制限や風評被害を乗り越え、団結して産地再生に取り組もうとの狙いがある。

 生産者を代表し、いわて平泉農協の佐々木久助・椎茸(しいたけ)部会長が、再生への取り組みを発表した。地元自治体の調査として、出荷制限により地域の生産者約340人のうち70%超が再開を断念する意向であることを紹介。放射能被害のほか、生産者の高齢化も重なったという。

 そんな中でも、今年3月に生産者約80人で椎茸部会を立ち上げ、国や自治体、農協の補助を受け、来年3月から2万本の原木にシイタケの菌を植える事業を進めているという。佐々木さんは「厳しい情勢だが、何とかして前に進まなければならない」と語った。

 県によると、岩手は生シイタケの生産量が13年度で5033トンと、全国3位を誇る。だが、露地栽培の原木シイタケは、福島第一原発の事故で基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える放射性物質が検出され、県南や沿岸南部など14市町で出荷制限がかけられた。このため、生産量は出荷制限前の11年度は216トンだったが、13年度は96トンと半減した。

 このうち盛岡市は昨年4月に解除され、今月7日には花巻市、北上市、山田町でも一部解除された。

http://www.asahi.com/articles/ASGBK3S38GBKUJUB002.html
朝日新聞
2014年10月18日

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生産者の苦労は並大抵のことではないと思います。同じ原発事故の被害者であり、生業を奪われたり、否応もなく対策を迫られている生産者を、これ以上、追い詰めたいと思っているわけではなく、自分たちの健康を守るために、安全なものを食べたい、子どもたちに食べさせたいだけなのです。

安全基準値内であることが安全だとは考えない消費者に対して、「風評被害だ」と批判したり、測定下限値の高い・頻度の少ない測定で「ND」と言っても、消費者の信頼を回復するどころか、依然として不信感をもたれる結果になることは、これまでの3年余りでわかってきたことなのではと思います。


事故前に限りなく近い汚染度、それは0〜1ベクレル/kgです。そこをめざすための取組みを行政も専門家や研究機関も参加しながら進めていただきたいと願います。しいたけは、17都県から離れ、汚染数値が低い地域でさえ、数ベクレル程度は検出というデータが公表されるように、放射性物質の移行値が高い植物。これを限りなく放射性物質を取りこまないようにできるのであれば、和食に欠かせない食品ですし、もちろん喜んで食べたいのです。

現在の状況でしいたけ王国が再生される道は厳しいと思いますが、100ベクレル以下であれば良しとするのではなく、安全なしいたけづくりに取り組まれ、サンプリングの頻度を上げ、測定下限値を低く、きちんと公表されることでしか、信頼を取り戻す道はないのではないかと思います。

次々に「出荷制限の解除」がなされ、生産者のみなさんの喜びがニュースになるたびに、
これでまた、(100ベクレル以下とは言え)高い汚染度のものが市場に出回るのではないかと不安になります。不安になりながらも、つらい思いにかられます。生産者のみなさんの喜びが、私たちの喜びになることは、私たちにとっても願いなのです。

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