2014/10/03

消費者庁「風評被害に関する消費者意識の実態調査」第4回(長官「美味しんぼ」コメントについて)



消費者庁より、「風評被害に関する消費者意識の実態調査」(サブタイトル「食品と放射能に関する消費者意識の実態調査」)第4回の結果をふまえての記者会見が行われました。消費者庁の板東長官のコメントがひどいです。

実際の記者会見の動画はまだアップされていないので、詳細はわかりませんが、下記報道によれば、「『美味しんぼ』を巡るいろいろな議論も報道もあった。それも少し影響しているのかもしれない」と述べたというのです。ここまできて『美味しんぼ』のせいにするなど、分析能力がないのか、わかっていてもそう言うのか、どちらかなのでしょうが、これが今の消費者庁の放射能対策です。

実際に、報告書の他の項目をみてみました。「基準値以内であってもできるだけ放射性物質の含有量が低いものを食べたい」とする人の割合が、これまた前回より増え47%となっています。現在、厳しい測定(サンプル数、頻度、下限値等)や公正な情報公開が行われていない中で、できるだけ含有量が低いものを選ぼうとすれば、産地を選ぶというのは当然の回答になるのではないでしょうか。逆に、厳しく測定し、確実は情報公開を行えばこそ、福島県内産の食品でも安全なものがあるとわかるし、そうして初めて購入し、おいしくいただくこともできるでしょう。もちろん、その選択は、消費者ひとりひとりに委ねるべきです。


基準値以内でも、できるだけ含有量が低いものを食べたいのは、消費者として当然の選択だと思いますし、権利でもあります。何度もくり返すようですが、放射能汚染は、一企業が起こした事故によるものです。事故の原因さえまだ曖昧なままです。原発を推進してきた国と合わせて、いかに国民を、とりわけ子どもたちを、放射能汚染から安全に守るかを考えてほしいものです。現在行われている「リスクコミュニケーション」という名の「バナナもカリウム(自然放射線)を出す」「食べても安全」「食べて応援」を広報するばかりでは実効性などありません。

もちろん、生産者あっての消費者です。同じ原発事故の被害者ですし、できるだけ
産地の生産者の苦しみに寄り添いたいと思います。でも、それは、生産現場での被ばく労働を強いられて生産しなければ補償もされないため、作っても売れないものを作らざるを得ないという今の制度の問題でもあります。決して「食べて応援」という結論にはなりません。

私たち子ども全国ネットは、2011年当初より、生産者、流通業者、消費者という三者が相互理解に基づいた解決への道筋を見いだす努力をし、必要な働きかけを考える「三者テーブル」を開催してきました。今回の調査結果をふまえ、「風評被害対策」ではない、上記内容を伴う実効性のある対策を要望します。

食品と放射能に関する消費者意識の実態調査第4回について
PDFデータで全文を見ることができます。
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/141001kouhyou_1.pdf


これまでのリスクコミュニケーション実施の報告はこちら。
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/140925kouhyou_1.pdf

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福島県産「購入ためらう」、一転増加 19.6%

 消費者庁は1日、8月に実施した「食品と放射能に関する消費者意識の実態調査」の結果を公表した。東京電力福島第一原発事故が起きた福島県の産品の購入をためらうと答えた人は19・6%に上り、今年2月の前回調査から約4ポイント増加。2013年2月から半年おきに実施してきた全4回の調査の中でも最高となった。

 調査は東日本大震災の被災地と大都市圏の20~60代の男女5176人を対象にインターネットを通じておこなった。福島県産品の購入を「ためらう」と答えた人は、2013年2月の調査では19・4%、13年8月は17・9%、14年2月は15・3%と減少が続いていたが、一転して増加した。

 その理由について、消費者庁の板東久美子長官は記者会見で「分析が十分できているわけではない」とことわりつつ、「少し前には(原発事故を取り上げた人気漫画の)『美味しんぼ』を巡るいろいろな議論も報道もあった。それも少し影響しているのかもしれない」と述べた。

 食品購入時に「生産地を気にするか」という問いに「気にする」「どちらかと言えば気にする」と答えた人は計70%で、前回より約4ポイント増えた。気にする理由(複数回答)に「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」を挙げた人は24・7%に上り、やはり前回より約4ポイント増えた。

朝日新聞
2014年10月2日
http://www.asahi.com/articles/ASGB156G1GB1UTFL012.html




福島産「ためらい」増 情報発信 より丁寧に 消費者庁食品意識調査 

 消費者庁は1日、今回で4回目となる「食品中の放射性物質等に関する意識調査」で、「(農産物などの)購入をためらう産地は福島県」と答えた消費者の割合は、前回より4.3ポイント増えて19.6%になったと発表した。同庁の坂東久美子長官は、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い、鼻血が出るなどの描写をして問題となった漫画「美味しんぼ」の影響などを例に、「正確なリスクコミュニケーションが重要」と強調した。

 調査は8月25~31日に東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島、茨城4県と、被災県からの農産物の仕向け先である都市圏1都1府5県の消費者を対象にインターネットで行った。有効回答数は5176人。調査は2013年2月に始めた。

 食品購入時に気になる点として「放射線被ばくの可能性を含む食品の安全性」と答えた割合も、前回の24.1%から31%に増加。普段の買い物で食品を購入する際、食品の生産地を気にするかどうかの問いには「気にする」「どちらかといえば気にする」と答えた割合も前回の65.7%から70%に増えた。産地を気にすると答えた人の2割超は理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」を挙げた。特に産地を注意しているのは「野菜」が22%と最多で、次いで米(18.5%)、果物(15.6%)が続いた。


 同庁は「今回の調査結果を踏まえ、放射性物質のより丁寧な情報発信が必要だ」(消費者安全課)と指摘。「風評被害」の克服に向けて、息の長い取り組みが求められるとしている。

日本農業新聞
2014年10月2日
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30104








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