(初期被ばくを明らかにすることは必要です。しかし、それで不安が解消されるわけではないでしょう。現実に起こっていることを認め、それに寄り添う施策があってはじめて、ある程度の不安は解消されるかもしれませんが、今後も多くの人の初期被ばく値は解明されないでしょうし、感受性の違いも大きいとされる被ばくによる健康影響に、数値で線引きされて安心できる人は多くはないと思います。また、放射性ヨウ素被ばくだけが甲状腺に取りこまれるわけではなく、セシウムも取りこまれると言われていることもあります。放影研などの経歴をもつ医師が率いる研究チームが、初期被ばくを矮小化するだけにならないといいのですが。子ども全国ネット)
2015年3月23日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH370188H36UGTB011.html
東京電力福島第一原発事故で、詳しい実態がわかっていない甲状腺への内部被曝(ひばく)について、国際医療福祉大学などの研究チームが、より精度の高い推計を始めた。福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんは、今のままでは被曝の影響かどうか特定するのは難しいとされており、この推計を解明に役立てたいとしている。
被曝には体外の放射性物質から受ける外部被曝と、体内に入った放射性物質による内部被曝がある。放射性ヨウ素は体内に入ると甲状腺に集まって内部被曝を起こし、がんの原因になる。半減期が約8日と短く、実測データがほとんどない。県内各地の土壌の線量などからの推計はあるが、正確さに欠けると指摘されている。
研究チームは、事故後約1週間に福島県立医科大や県内の避難所で外部被曝の簡易検査をした際の計約4万2500人分の記録に目を付けた。簡易検査では放射性物質の種類はわからず、それまで活用されていなかった。
研究チームは、このうち県立医大で検査された約500人分の一部で、外部被曝した放射性物質の種類ごとの比率も測定していたことを見つけた。個々の外部被曝の簡易検査データと放射性ヨウ素の比率を組み合わせれば、その人の周囲にどれぐらいヨウ素があったのか逆算でき、それから体内に取り込まれたヨウ素の量を出して、甲状腺への内部被曝を推計できるという。
約500人分には詳しい行動記録があり、被曝した放射性物質の比率のデータのない人でも、周囲のヨウ素の比率などから甲状腺の内部被曝が推計できると判断した。県立医大以外の約4万2千人についても今後、行動記録の有無を調べて記録があれば推計する。
研究チームによると、住民らが被曝した状況を示すデータをもとにしており、これまでの推計と比べて精度は高くなるという。
事故当時18歳以下の約38万5千人を対象にした福島県の甲状腺検査では、昨年12月末までに計87人が甲状腺がんと確定した。がん細胞を調べても、被曝が原因かどうかはわからない。この推計によって、がんになった子どもと、なっていない子どもで甲状腺の内部被曝線量の違いをみることができれば、被曝との関連を突き止める有力な手がかりとなる。
研究チーム代表の鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は「甲状腺の被曝線量も、がんとの因果関係もよくわからないことが不安を招いている。被曝線量をより高い精度で推計できれば、がんと被曝の因果関係の解明にいかせるだろう」と話す。
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