2015/03/26

南相馬の子に安心の野菜を 松戸の市民団体 11年6月から茨城産送る

2015年3月26日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150326/CK2015032602000144.html


松戸市に拠点を置く市民団体「東日本大震災被災者支援千葉西部ネットワーク」が、東京電力福島第一原発事故で深刻な被害を受けた福島県南相馬市へ、学校給食用に野菜を送り続けている。同県産の野菜はほとんどが国の食品衛生法の基準を満たしている。だが、放射能の影響を不安に思う保護者に配慮し、市教委が地元の食材使用をまだ控えているからだ。 

同ネットは二〇一一年三月、千葉県西部で市民活動をしている市民有志が「自分たちにできる支援をしよう」と発足。南相馬市と交流のあるメンバーがいた縁で五月に義援金を届けた。その際、学校給食に使う安全な食材の確保に苦労していることを知った。

メンバーの中に、松戸市で安全な食物の共同購入をしている「松戸有機の会」の会員がいたことから、同会の協力を得て、翌六月から茨城県石岡市にある有機栽培農園の野菜を南相馬市学校給食センターに送り始めた。

原発事故から四年。福島県内では原発の近くでも「強制避難区域」を除くと、南相馬市などを含め農産物の多くが食品衛生法の放射性物質に関する基準を満たし、出荷制限対象も少なくなってきている。

だが同市教委によると、昨年、保護者に同市産の食材使用について調査した結果、小学校で「使用可」は47%、「使わないでほしい」は41%と賛否が拮抗した。

同じ調査で同市から西に離れた会津地域の食材の「使用可」は小学校で69%に上ったことなどから、県内産の利用を少しずつ増やしてはいるものの、多くはまだ県外産で、放射能検査も続けているのが現状だ。

このため同ネットは現在も「有機の会」と二人三脚で週一回、放射能検査を終えた旬の野菜二十数キロを送る。同会の会員は「子どもたちがおいしく食べてくれるのが一番」と話す。

ただ、メンバーそれぞれの活動と並行しているため、費用の捻出に腐心。当初は街頭募金で賄っていたが、一二年夏ごろには募金だけでは足らなくなった。今は、慈善コンサートや料理を持ち寄る「チャリティー居酒屋」、使わない日用品やお歳暮のオークション、古本市を催して資金を確保している。

南相馬市教委で支援窓口を担当する鈴木美智代さんは「震災のことが忘れかけられている中、南相馬市の子どもたちを心の中に置いていただいていることがとてもうれしい」と話す。

同ネット事務局の永田研二さん(63)は「被災地への関心を持ち続けてほしい。必要とされる限り支援を続ける」と協力を呼び掛けている。二十八、二十九両日には古本市を松戸市の「ほくとビル」で開く。問い合わせは永田さん=電090(311)7830=へ。



福島県南相馬市の学校給食用に送る
野菜を確認する永田さん(左)と
「松戸有機の会」のメンバー=松戸市で

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