2015年3月20日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH3K6WCGH3KUGTB019.html
自主避難から福島に戻った親子が、安心して地域に溶け込んでいける場を目指した交流施設が、福島市で19日、オープンした。空民家を活用した施設は「みんなの家@ふくしま」と命名。コンセプトは「互いの存在を認め合い、自分自身を大切にできる場所」だ。
広い茶の間はチョウや草花をかたどった色紙で飾られ、日差しが差し込むサンルームには子ども向けのおもちゃもたくさん。この日のオープニングイベントには親子連れや地域住民ら50人近くが集まり、プロ演奏家による楽器の演奏や人形劇などを楽しんだ。
1世帯につき500円の登録料を払うことで、平日の日中に、1年間自由に利用できる。運営するのはNPO法人「ビーンズふくしま」。元は若者支援の活動が中心だったが、震災後は自主避難から戻った母親たちが交流する「ままカフェ」を県内5カ所で定期的に開催してきた。
その活動を通じてスタッフが痛感したのが、一度避難した母親たちが再び地域に戻る際のハードルの高さだったという。子どもの外遊びの時間や食べ物など、放射能への不安を周囲と共有できずにいる人が多かった。「みんなの家」の常駐スタッフ、富田愛事業長は「同じ思いの人だけで集まる以上のことができないかと考え、常設の施設を作ろうと思った」と話す。
福島市笹谷の住宅街にあった空き家を借りた施設には、子どもの遊び場や大人同士でくつろげる茶の間、授乳スペースなどを用意。「若者や高齢者まで誰もが集まる場所にしたい」と、2階には習い事やサークル活動でも利用できるフリースペースもつくった。
地域も歓迎ムードだ。19日には多くの住民が集まり、地元の町内会長の川瀬宏一さん(69)は「80代以上の高齢者が多いこの町に、若い世代の人が来てくれてうれしい。幼老ともに元気に過ごしましょう」とあいさつした。オープンに向けた準備も、「ビーンズふくしま」の支援を受ける若者たちが看板作りなどに協力したという。
富田さんら4人のスタッフが常駐する。20日以降は平日(各月最終週の火曜日を除く)の午前10時~午後4時に利用できる。今後、料理教室など世代を問わず参加できるイベントを企画し、交流の機会を設ける予定だという。問い合わせは(024・572・4690)へ。
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