2015/03/27

自立へ、親子の背中押す 避難者支えた保育園閉園 山形

毎日新聞 2015年03月27日 
http://mainichi.jp/shimen/news/m20150327ddm013040010000c.html


東京電力福島第1原発事故で福島から避難した母子の支えとなってきた山形市の認可外保育施設「あいびぃ保育園」(枝松直樹園長)の閉園が決まり、21日、卒園式と同時に閉園式があった。東日本大震災から4年。今も続く避難生活の中、親子はそれぞれの思いを抱き、新たな一歩を踏み出す。

「これからいっぱいお手伝いをして、ママを助けたいです」。卒園式では、園児がこんな感謝のメッセージを披露。保護者や保育士が涙を拭った。

あいびぃ保育園は、震災後に福島県から山形市に避難した保育士たちの要望を受け、2012年9月、同市のNPO法人「IVY」が米国の団体などから助成金を募って開園した。

保育料は1人で月額1万円。通常の認可外保育園に比べて4分の1から6分の1と安く、園児は一時40人にまで増え、最後は19人が通った。また、見知らぬ土地で1人で子育てする、同じ境遇の避難者の母親たちにとっても心の休まる場だった。どうしてもたまる家庭や仕事のストレスを、愚痴をこぼして発散することができた。避難生活を乗り越える支えとなった。

だが、開園時から、助成金が切れる今月末での閉園は決まっていた。園のプロジェクトマネジャー、今野けい子さん(43)は「緊急支援として始めた保育園なので、私たちの役目はそろそろ終わりの時期を迎えている」と避難者の自立を促す。園の継続を望む親もいるが、震災から4年がたち、避難者たちもその課題に向き合い始めている。

福島市から避難し、園に通わせた娘(6)が山形市の小学校に入学する母親(42)は「園を続けてほしい思いはあるが一区切り。いつまでも甘えてはいられない」と話す。

福島県伊達市に夫を残す母親(28)は長女(6)と長男(4)を同園に預けた。母親同士の絆が深まったことに感謝しつつ、4月からの長女の小学校入学を機に帰郷する。「閉園は自立に向けて踏み出す時」と前を向く。



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