2015/03/14

国連防災会議 少ない原子力関連議題 福島の教訓、関連シンポでアピール


2015年3月14日 産経新聞
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0314/san_150314_3093865043.html

14日に仙台市内で始まった国連防災世界会議の目的の一つは、各国の代表者に東日本大震災から復興の現状を実感してもらうことだ。ただ会議本体は地震や津波など自然災害に集中し、東京電力福島第1原発の事故による原子力災害に直面している福島に関する議題は少ない。世界の原発は増加傾向にあり、原子力災害からどう人々を守るかも問われている。
 
「福島の事故を二度と起こしてはならない。安全神話から決別し、対策を継続していきたい」

内閣府の山本哲也審議官は14日の会合で、日本の取り組みを説明すると、各国の代表者は真剣に耳を傾けた。1986年のチェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシの代表者は「今でも苦しんでいる人たちがいる。長期的にはコミュニティーを再構築し、自立を促すことが必要になる」と提言した。

ただ今回の会議で原子力防災に関する会合はこれ以外予定されていない。政府関係者によると、最終日に採択される「行動指針」にも直接の言及がされない見通しだ。しかし原子力災害は、放射性物質の影響が長期に及ぶことや、天候や風向きで放射性物質の拡散が予測できないなど、地震や津波と異なる対応が必要となる。

日本は4年前まで、原子力防災の視点が大きく欠けていた。事故当時は、原発の知識に乏しい政治家の判断で、恣意(しい)的な避難指示が繰り返され、避難住民は混乱を極めた。事故後、国際標準より厳しい原子力災害対策指針を定め、放射線量により機械的に避難を実施するよう政策を転換した。

ただ日本にも課題がある。避難計画の作成は地方自治体任せで、その計画が本当に機能するかをチェックする制度がない。米国であれば、原子力規制委員会が計画を審査し、再稼働の条件にしている。日本は今回の会議をきっかけに、さらに次の一歩をどう踏み出すか。会議本体とは別に、国内の関連団体が350を超えるシンポジウムを企画しており、多くの原発事故の教訓がアピールされる予定だ。

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