http://www.asahi.com/articles/ASJ8Z5DGMJ8ZUUHB00C.html
原発事故で汚染された稲わらなどの指定廃棄物処分場の候補地問題で、候補地とされている塩谷町が環境省への反発を強めている。背景には、環境省が町に決めた理由について「市町村長会議での議論のうえで確定した」とする文書を町に送っていたことがある。見形和久町長(63)は「確定した事実はない」と反発。冠水による候補地返上の趣旨も理解されていないとしており、近く町を訪れるという環境省の対応が注目される。
町は、候補地付近が冠水したとして昨年12月、環境省に候補地返上を伝えた。文書は、これを受けて、同省の井上信治副大臣(当時)名で町に届いた。
文書は、町による候補地返上について「先般の豪雨による影響をはじめとして、様々な不安や心配を持たれていることの表れだと重く受け止めています」と明記。一方で「候補地の選定手法については、知事のほか、貴職を含む県内すべての市町長が参加する市町村長会議において、数次にわたって議論を重ねた上で確定し、環境省として決定した」としていた。
これに対して町は、環境省が候補地を発表した後の2014年11月9日にあった、県指定廃棄物処理促進市町村長会議のやりとりを引用し、反論する文書を環境省に送付した。
それによると、この会議に出た小里泰弘副大臣(当時)が複数の市町長から「市町村会議で(候補地が)決定したと環境省は説明しているが、その様なことを言われるのは不本意で、そういう事実はない」と詰め寄られ、「市町村長会議の議論を受け止めて、決定したのはあくまでも環境省」と発言したと指摘。これを根拠に見形町長は「副大臣は『議論を受け止めて』と説明しているのに、『確定した』となるのは理解できない」と反発している。
また、町が候補地返上の理由とした豪雨による冠水について、環境省が「現時点で一部の冠水があったことのみをもって直ちに詳細調査候補地から除外すべきものではない」と回答したことにも反論した。候補地付近では、環境省が「候補地から除外するべき要件」としている河川の溢水(いっすい)による冠水が起きた、と指摘。「一部であろうが全部であろうが冠水は事実であり、要件の中にもどの程度冠水したら除外するという記載はない。事実を歪曲(わいきょく)させるような回答は理解に苦しむ」としている。(梶山天(たかし))
候補地返上後の2月に塩谷町に届いた環境省の文書。 候補地選定手法は、知事のほか、市町村長会議で確定したと明記されている |
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