12月18日の環境省専門家会議、傍聴はできずに抗議行動をした後は、早々に帰宅してネット中継に注目しました。今回は、これまで委員間でやりとりされた結果をふまえた中間とりまとめが発表されることになっていました。こちらにその中間取りまとめがあります。↓
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-14/mat01.pdf
以下、メディアの報告をまとめます。
OurPlanetTVより
「生涯見守り」から「疫学研究へ」〜甲状腺検査見直し提言
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1867
報告書では、福島原発事故による「放射線被ばくによって何らかの疾病のリスクが高まる可能性は小さいと考えられる」とした上で、福島県内の甲状腺検査について見直しを提言。また福島県外での健診は必要ないと結論づけた。
「生涯見守り」から「疫学研究へ」転換へ
現在の福島県内の甲状腺検査は継続としながらも、「被ばくが少ないと考えられる住民を含む広範囲の住民全体に引き続き一様な対応を行うことが最善かどうかについては議論の余地がある」「疫学的追跡調査」として充実させるべきだと提言。100名を超える悪性・悪性疑いが出ていること、「過剰診断」では、などの批判が強まっていたが、今後は、検査の対象範囲を縮小させ、コホート研究として臨床データの収集を拡充すべきとする方針を示した。
福島県外の健診はなし
会議の当初の目的だった福島県外における健診についても、多くの被曝を受けたとは考えにくいと必要性を認めず、「個別な健康相談やリスクコミュニケーションを通じて、情報を丁寧に伝えることが重要」だとした。
「中間とりまとめ」は「最終とりまとめ」
これまで、一部の委員から度々、「子ども被災者支援法」にのっとり、健診と医療支援に特化した会議を省庁連携した上で設置すべきだとする意見が出され、前回も、春日委員(日本学術会議)から発言がなされたが、報告書に「意見があった」と記載されているのみだった。福島県民健康調査の甲状腺検査で「多発」が認められない限り、新たな検討は行わないとしており、今回の「中間とりまとめ」が事実上の「最終とりまとめ」となる。
以下、他の新聞・TVの報道です。
甲状腺がん調査の充実に国の支援を
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う住民の健康影響などを検討する環境省の専門家会議は中間の報告書をとりまとめ、福島県が県民に行った検査で見つかった甲状腺がんと被ばくとの関連を適切に分析できるよう、調査の体制を充実させることが重要だとして、国に対し福島県を支援するよう提言しました。
環境省が設けた専門家会議は、原発事故で拡散した放射性物質による住民の健康影響や健康管理の在り方について1年余りにわたって検討し、18日、中間の報告書をとりまとめました。
それによりますと、福島県が事故当時18歳以下のおよそ30万人に行った検査で、57人に甲状腺がんが見つかったことについて、「原発事故に由来することを積極的に示唆する根拠は現時点で認められない」としています。
この判断について報告書では、住民の甲状腺の被ばく線量がチェルノブイリ原発事故後の線量よりも低いとUNSCEAR=国連原子放射線影響科学委員会が評価していることなどを考慮したとしています。
一方、UNSCEARが、推計の幅のうち最も高い被ばく線量を受けた子どもの中では、甲状腺がんのリスクが増える可能性が理論的にはありうると指摘していることなどから、今後も甲状腺検査は続けるべきだとしています。
そのうえで、「福島県民の安心を確保するため甲状腺がんと被ばくとの関連を適切に分析できるよう調査の体制を充実させることが重要だ」として、国に対し、福島県を支援するよう提言しています。また、検査を巡っては症状が出ない小さながんまで発見することで追加の検査や不安といった心身の負担につながることが懸念されるとしていて、検査を受ける人の理解と協力を得る努力を続ける必要があると指摘しています。
一方、福島県の近隣で甲状腺がんの不安を抱えている住民に対しても個別の健康相談などを通じてこれまでに得られている情報を丁寧に説明することが重要だとしています。
会議の座長を務めた長崎大学の長瀧重信名誉教授は、「専門家の間でも様々な意見がある中で報告書をまとめたが、まだ議論すべきことはたくさんあり、今後も科学的な知見に基づいて見解を示していきたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141219/k10014107541000.html
NHKニュース
12月19日
福島県:甲状腺がんの県民健康調査、今後も継続
東京電力福島第1原発事故に伴う住民の被ばくと健康影響を話し合う環境省の専門家会議(座長=長滝重信・長崎大名誉教授)は18日、福島県が事故後に実施してきた県民健康調査を今後も継続し、甲状腺がんと被ばくとの因果関係の評価を続けるべきだとする中間報告書をまとめた。
報告書は、福島県と近隣県の住民の外部・内部被ばくについて、「がんや白血病などの増加は予想されない」とした「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」の推定を妥当と評価した。
その上で、福島県で甲状腺がんが今後増えるかを確かめるため、県民健康調査の充実を求めた。一方、近隣県住民の甲状腺検査は、一律に実施する必要は当面ないと結論づけた。
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000m040076000c.html
毎日新聞
2014年12月18日
甲状腺検査の充実を 環境省の専門家会議が中間報告
東京電力福島第一原発事故による健康の在り方について検討する環境省の専門家会議(座長・長滝重信長崎大名誉教授)は18日、都内で開かれ、県の県民健康調査で実施している甲状腺検査を充実させるべきとの中間報告をまとめた。
一方で、「被ばくが少ないと考えられる住民を含む広範囲で引き続き一様な対応を行うことが最善かどうか」と指摘。現行で全県となっている検査対象者の範囲縮小などが今後の検討課題になるとの見解を示した。
同省は数日中にも、報告書を踏まえた健康管理施策方針を公表し、新年度の予算化を目指す。
報告書では、甲状腺検査について「適切な対応で今後も継続していくべき」と評価した。その上で「県民の将来の安心を確保するため、甲状腺がんの増加の有無に関する科学的知見を得られるよう充実させるべき」と提言。県外転居者も含め長期にわたり必要な臨床データを収集するため、本県を支援するよう国に求めた。
甲状腺検査の在り方については、一般論として「寿命まで症状が出ない小さながんを発見することで、心身の負担につながる懸念がある」などの課題を挙げた。こうした点などを踏まえ、県民健康調査の改善に向けては、「被ばく線量に応じて必要な健康管理を行うことが重要。特に検査する対象者や実施間隔が論点に成り得る」とした。
専門家会議は、医師や放射線の専門家ら17人の委員で構成し、昨年11月以降、1年以上にわたり計14回開催した。原発事故に伴う避難による心身への影響については「さまざまな省庁の取り組みを推進することが求められ、現時点で提言することが困難な分野が多い」として議論しなかった。
一方で、「被ばくが少ないと考えられる住民を含む広範囲で引き続き一様な対応を行うことが最善かどうか」と指摘。現行で全県となっている検査対象者の範囲縮小などが今後の検討課題になるとの見解を示した。
同省は数日中にも、報告書を踏まえた健康管理施策方針を公表し、新年度の予算化を目指す。
報告書では、甲状腺検査について「適切な対応で今後も継続していくべき」と評価した。その上で「県民の将来の安心を確保するため、甲状腺がんの増加の有無に関する科学的知見を得られるよう充実させるべき」と提言。県外転居者も含め長期にわたり必要な臨床データを収集するため、本県を支援するよう国に求めた。
甲状腺検査の在り方については、一般論として「寿命まで症状が出ない小さながんを発見することで、心身の負担につながる懸念がある」などの課題を挙げた。こうした点などを踏まえ、県民健康調査の改善に向けては、「被ばく線量に応じて必要な健康管理を行うことが重要。特に検査する対象者や実施間隔が論点に成り得る」とした。
専門家会議は、医師や放射線の専門家ら17人の委員で構成し、昨年11月以降、1年以上にわたり計14回開催した。原発事故に伴う避難による心身への影響については「さまざまな省庁の取り組みを推進することが求められ、現時点で提言することが困難な分野が多い」として議論しなかった。
東京電力福島第1原発事故による放射線の健康への影響や、健康管理の在り方を検討している環境省の専門家会議(座長=長瀧重信・長崎大名誉教授)が18日、東京都内で開かれた。福島県立医大が進めている県民健康調査の甲状腺検査について「がんと被ばくの関連を適切に分析できるように、調査体制を充実させることが重要」とする中間報告書をまとめた。
中間報告は甲状腺がんが今後増えるかどうか調べ、がんを発症していない人との比較や、被ばくとの関連を分析できるような疫学追跡調査を充実させるべきだと指摘。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/581283.html
北海道新聞 12/18
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