2014/12/20

南本牧で埋め立てへ 4月以降の放射性汚泥/神奈川


 放射性物質を帯びた横浜市の下水汚泥焼却灰が処分できずに保管されている問題で、市は十九日、今年四月以降に発生した焼却灰を、来年一月にも南本牧廃棄物最終処分場(中区)に試験埋め立てすると発表した。安全確認後、本格的に埋め立てる。保管量が増え続ける事態は解消される見通しだが、今年三月以前の三万二千六百トンは当面保管を続ける。
 下水汚泥焼却灰をめぐって市は二〇一一年九月、同処分場への埋め立て方針を決めたが、地元住民や港湾業界が反発して凍結。焼却灰は日々発生するため、市内二カ所の汚泥資源化センターの保管スペースが限界に近づいていた。
 市によると、埋め立てるのは比較的放射性物質濃度が低い四月以降の焼却灰で、十一月末時点で約四千四百トン。一キログラムあたり三〇〇~七〇〇ベクレル程度で、一般廃棄物の焼却灰と混ぜて一〇〇ベクレル未満まで濃度を下げ、処分場に搬入する。国の基準では一キログラムあたり八〇〇〇ベクレル以下は埋め立て処分できる。海面ではなく陸地部分に埋め、排水の放射性物質濃度や敷地境界の空間放射線量をモニタリングし、継続的に安全性を確認する。
 汚泥焼却灰は現在、一日あたり発生する四十トンのうち、建築資材化する分を除く約十トンが保管に回っている。この十トンを埋め立てることで新たな保管を解消し、四月以降分も順次減らす考え。
 埋め立てに反発していた横浜港運協会の水上裕之常務理事は「従来主張していた一〇〇ベクレル以上の焼却灰を港に入れないことを、確実に守ってもらえれば問題ない」として、市の方針に同意したと説明している。ただ、昨年三月以前からの保管分は依然として放射性物質濃度が最高で数千ベクレル以上あり、今回の埋め立て方針の「対象外」となっている。
 林文子市長は「周辺住民や港湾関係者のみなさんには丁寧な説明を行い、安全を最優先に実施してまいります」との談話を出した。

 
2014年12月20日
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20141220/CK2014122002000144.html



下水汚泥焼却灰 来月にも試験埋め立て 横浜市、100ベクレル未満に調整


 港湾関係者や住民らの反発で放射性物質を含んだ下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結していた横浜市は19日、焼却灰の放射能濃度を1キロ当たり100ベクレル未満となるよう調整した上で南本牧廃棄物最終処分場(同市中区)に試験埋め立てする方針を決めた。港湾関係者らから一定の理解を得られたと判断。早ければ来年1月中にも始める考えだ。
 2011年9月の計画凍結から3年余りを経て、最終処分方法が決まった。市によると、埋め立てるのは300ベクレル前後で推移している、ことし4月以降の焼却灰。市内2カ所にある汚泥資源化センターで一般ごみの焼却灰(20ベクレル前後)と混ぜ合わせ100ベクレル未満にし、ふた付きの産廃専用車で処分場に運ぶ。
 処分場の陸地に穴を掘って埋めて20センチ以上の土で覆う考えで、処分場の排水の放射能濃度や敷地境界の空間線量などは定期的にモニタリングして公表する。
 国が示す埋め立て可能とする基準は8千ベクレル以下で、当初、市は保管している焼却灰の放射能濃度が最高でも約6500ベクレルとして埋め立てを計画していたが、地元の反発を受けて凍結した。
 100ベクレル以下は廃棄物を安全に再利用できるクリアランス基準とされており、市の担当者は「風評被害にも配慮した」と説明している。
 市内2カ所の汚泥資源化センターで保管する焼却灰は11月末時点で計約3万7千トン(北部約1万2600トン、南部約2万4400トン)で、現在も改良土などに再利用している分を除くと1日10トンペースで増えている。今後埋め立てられる保管分は約4400トンで、市は残り約3万2600トンは保管を続けるとともに、処理法を検討する。
 2月に条件付きで試験埋め立てを了承した本牧・根岸地区連合町内会の岩村和夫会長は「ようやく試験埋め立てが始まる。安全性が担保されるよう市と協議していく」。横浜港運協会は「協会の主張を全面的に取り上げてもらい評価している。100ベクレル未満かどうか、市とは別に協会独自でも分析したい。コンテナ保管している焼却灰については、別途協議したい」と話している。

https://www.kanaloco.jp/article/81873/cms_id/117404
【神奈川新聞】
2014.12.20


0 件のコメント:

コメントを投稿