2014/12/23
被災26世帯が4次提訴 福島原発避難者集団訴訟/神奈川
東京電力福島第一原発事故による避難者が、国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、県内に避難した被災者二十六世帯八十一人が二十二日、十七億七千七百万円の損害賠償を求めて新たに横浜地裁に提訴した。一連の訴訟で第四次提訴。「原発再稼働への問題提起を」「個人では交渉できない」-。さまざまな思いを込めた原告は計六十一世帯百七十四人、請求総額は四十億七千二百万円となった。
四次提訴の原告は、福島県相馬市やいわき市、富岡町や大熊町、浪江町から、横浜や川崎、相模原市などに避難したゼロ~八十六歳。訴状では、避難生活への慰謝料やふるさと喪失、生活破壊への慰謝料などを求めている。
原告の一人で、いわき市から横浜市港南区に避難している僧侶の登嶋巌信(としまがんしん)さん(42)は、いまでも月三、四回は福島の寺に戻っている。家族には鼻血が出るなどの症状が出たという。「低線量被ばくの影響が実際に出ていることを訴えていかないと、なかったことにされる。国が再稼働にまい進する中で問題を提起したい」と思いを述べた。
同県南相馬市で広告代理店を経営していた会社員〓野(ただの)信之さん(46)=横浜市=は、個人で東電と賠償の交渉を行ったが、限界を感じて訴訟に参加した。「賠償は東電の一方的な線引きで、個人では争うこともできない。事故から四年近くたったが、新しい生活に慣れるのは大変だった」と苦労を振り返る。「賠償で収束に向かわせようという動きに負けずに頑張っていきたい」と訴えた。
昨年九月の一次提訴から一年以上経過しているが、弁護団は「避難している住民の苦しみは増すばかり。提訴は、経済的な賠償と同時に、いまだに解決への展望がないことをあらためて社会に問い掛ける意味がある」と説明。今後も避難者の法的な相談などの支援を続けるという。
県内ではまだ約二千人が避難生活を送っているとみられる。
東京電力広報部は「訴状が届いておらず、詳細はわからないが、原告側の主張を詳しくうかがった上で真摯(しんし)に対応する」とコメントした。
※〓は、にんべんに、且
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20141223/CK2014122302000139.html
2014年12月23日
東京新聞
原発避難で第4次提訴 原告は最多81人に
昨年9月以降、県内被災者が起こしている「福島原発かながわ訴訟」の第4次提訴という位置づけで、原告数はこれまでで最多。原告は0歳から86歳までの男女で、避難指示区域からではない自主避難の人もいる。
訴えによると、東電は津波被害を予測できたのに有効な対策を取らず、国は原子炉の安全確保を適切に行わなかったため、事故を防止できなかった、と主張している。請求額は避難に対する慰謝料や土地、家屋の損害補填などを盛り込んだ。
今回の提訴で原告数は計174人、請求総額は計約40億7200万円となった。1~3次訴訟は併合され、国や東電はいずれも請求を退けるよう求めている。4次提訴も併合して審理される見通し。
◇国、東電に募る不信
原発事故から4回目の年越しを前に、81人の被災者は闘いの場を司法に移した。提訴後の会見では、国や東電に対するそれぞれの思いを訴えた。
福島県南相馬市から横浜市に避難する但野信之さん(46)は、東電と賠償交渉を続けているが、故郷の仲間は交通事故の自賠責保険を参考にした慰謝料額を示されるなど、被災者の事情をくみ取った内容ではなかった。「個人で闘ってもらちがあかない」と、第4次提訴への参加を決断した。
南相馬では広告代理店を経営していたが、今は別の仕事に就く。「これまで積み上げてきたものがゼロになった。奪われた人生の賠償を求めたい」と強調した。
年明け以降には九州電力川内原発の再稼働が見込まれるなど、国の施策に不信感を募らせ、提訴を決めた人もいる。福島県いわき市から横浜市に自主避難する僧侶の登嶋巌信さん(42)は「時間がたつにつれて、事故の影響はないことにされている」との思いを強くする。「衆院選でまた自民党が大勝した。放射能への不安の声を無視した帰還政策を変えるには、司法に訴えるしかないと思った」と提訴の理由を語った。
弁護団は、昨年9月から続けてきた提訴は今回でいったん打ち切り、訴訟を進行させていく方針。弁護団副団長の小賀坂徹弁護士は「被災者の苦しみは日に日に増すばかり。被害の実態を法廷で訴えていきたい」と前を見据えた。
【神奈川新聞】
http://www.kanaloco.jp/article/81963/cms_id/117820
2014年12月23日
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