2014/12/25

「がん・疑い」4人 福島県民甲状腺検査2巡目/福島

24日に行われた福島県県民健康調査の検討委員会で、前回の検査で「異常なし」とされた子ども4人が今年行われた2巡目で「甲状腺がんの疑い」と診断されたことが大きく取りあげられています。OurPlanetTVからの報告とメディアの報道をアップしておきます。

※ 県民健康調査は、福島県の事故当時胎児〜18歳以下の子ども全員を対象にして行われる甲状腺エコー検査ですが、その結果についての検討および発表を行っているのが、県民健康調査検討委員会です。


OurPlanetTVより

甲状腺がん悪性・疑い112人~前回「異常なし」の子も4人

詳細および動画アーカイブは、下記サイトでご覧ください↓
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1868

配布資料

https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-17-si...

〜以下、抜粋〜

「県民健康調査」の検討会が24日開かれ、甲状腺がん悪性と診断された子どもは、悪性疑いも含め112人に、すでに手術を終え、甲状腺がんと確定した子どもは85人に達した。1巡目の検査で「異常なし」とされた子ども4人が、今年4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断された。
 
乳頭がん81人、低分化がん3人確定
 2011年秋から開始し2013年までに福島県内のすべての地域で1回目の検査を終了し、事故当時18歳以下37万人のうち約8割にあたる29万6000人が受診。2次検査の穿刺細胞診で悪性または悪性疑いと診断された人は109人。手術を終えたのは86人で、1人は良性結節だったものの、乳頭がんが81人、低分化がんが3人と確定した。

※低分化がん=乳頭がんや濾胞がんに比べ進行がやや早いため、悪性度は乳頭がんや濾胞がんよりやや高いとされる。
 
前回異常がなかった子4人が新たに悪性診断
2014年4月からの2巡目は、(事故後1年間に生まれた子どもも含む)約38万人が対象となっており、10月末までに約8万2000人が受診、6万人の結果確定し、「2次検査が必要(B)」が457人に。しかも、うち333人は、1巡目でA1判定(127人)かA2判定(206人)だった。
 
この中で、10月末までに11人の子どもが穿刺細胞診を実施したところ、4人の子どもが、悪性または悪性疑いと診断された。






































「県外でも症例把握すべき」岡山大学・津田敏秀教授
環境疫学を専門とする津田教授は、「「まだ4例だから」として疫学分析をしない検討委員会の責任は重大だ」と話す。津田教授によると、2巡目で新たに甲状腺がんと診断された4人を、先行検査からの期間を3年間、1次検査確定数60,505人を分母として外部比較*すると、7.35倍と有意に多発しているという。

 
津田教授は、現在の甲状腺がんの発見状況全体はすでに2013年のWHOによる予測を上回っているとして下記のように指摘した。
・被曝線量の見直しや福島県の隣接県である茨城県、栃木県、群馬県、宮城県などでの症例把握を早急に計画すべき
・検査が実施されていない18才以上の甲状腺がん検査、白血病をはじめ、放射線感受性の高い疾病に関する症例把握も早急に着手する必要がある
・福島県内の空間線量率の高い地域においては、妊婦や若年者を優先させた、避難を含む放射線防護対策を強化するべき





「がん・疑い」4人 福島県民甲状腺検査2巡目/福島

 福島県立医大は25日、東京電力福島第1原発事故に伴い事故当時18歳以下の県民を対象に4月から実施している2巡目の甲状腺検査で、新たに4人が「がんまたはがんの疑い」と診断されたと公表した。福島市で開かれた県民健康調査検討委員会で明らかにした。
 4人は原発事故当時15歳だった女性1人と6、10、17歳の男性3人。避難区域があった田村市と大熊町、避難区域外の伊達、福島両市で各1人だった。2巡目の検査を受けたのは10月末現在、8万2101人。
 2011年10月から実施された1巡目の検査では、全員が結節や嚢胞(のうほう)がないか小さいため2次検査は必要ないと診断されていた。県立医大は、今回の検査までの最長2年半の間に発症したとみている。
 検討委の星北斗座長は記者会見で「現時点で放射線の影響の有無は断定できない」と述べた。
 1巡目で甲状腺がんの確定診断を受けた子どもは8月の発表から27人増え、84人になった。1巡目の受検者は10月末現在、29万6586人。
 1巡目の検査で甲状腺がんと診断された23人から摘出された腫瘍の遺伝子の解析結果も発表された。チェルノブイリ原発事故後に現地周辺で子どもの甲状腺がんが増加した際に多く見つかった遺伝子変異はなく、成人の甲状腺がんと同じ変異パターンが多かった。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141226_63056.html
河北新報
2014年12月26日金曜日



被ばく医療 不安に応える体制強化を (社説)

 福島県が4月から実施している2巡目の甲状腺検査で、子ども4人に甲状腺がんの疑いが生じている。
 4人とも1巡目の検査では「異常なし」と判定されていた。今回の診断が確定すると、初めて確認された、福島第1原発事故後のがん発症の事例となる。
 原発事故から3年9カ月が過ぎた今も、福島の人たちは健康不安を抱えたままでいる。福島県と国は、県内外の避難者、除染や廃炉に当たる作業員にも目を配り、当事者が望む診療を速やかに受けられるよう、被ばく医療の体制強化を急いでもらいたい。
 甲状腺検査は、原発事故時18歳以下だった37万人を対象に2011年10月に始まった。今年3月に終えた1巡目で、がんの診断が「確定」したのは84人、「疑い」は24人に上っている。
 「100万人に1~9人」とされる従来の頻度より割合が高いのは、検査の精度が高まったからとされる。国や県、国外の専門機関も「原発事故の影響とは考えにくい」との見解を示してきた。2巡目で増えるようなら、この判断に疑問符が付く。
 何より大切なのは、被災者が現に直面している体調不良、健康不安にどう寄り添うかだ。
 低線量被ばくの影響には未解明な点が多く、福島の人たちがどの程度放射線を浴びたのか、実態もつかめていない。甲状腺だけでなく、血液や循環器、免疫系の継続的な検査が必要だと、多くの医師が指摘している。
 甲状腺検査は順番待ちが長く、結果について十分な説明が受けられないため、自分で医療機関を探し、遠くまで通う親子が少なくない。国の責任でこうした人たちの受診を支え、データを管理し、長期にわたって経過を見守る体制を整えなければならない。子どもたちも進学や就職で各地へ出るだろうから、なおさらだ。
 除染や第1原発の作業員に至っては、下請けの業者が、健康診断書を偽造する問題が相次いで見つかっている。放射線量の高い現場にいる労働者の窮状を放置してはならない。国は健康管理の厳正化を急ぐべきだ。
 政府は来春、青森県を皮切りに新たな被ばく医療体制を導入する。福島にさえ対応しきれていないのに、実効性を高めるには相当時間がかかるだろう。
 避難計画に続き、医療面にも国の反応の鈍さが表れている。心もとない状況で、原発を再稼働することは認められない。

http://www.shinmai.co.jp/news/20141225/KT141224ETI090007000.php
2014年12月25日
信濃毎日新聞


朝日新聞 
甲状腺検査「国支援を」 福島の子対象、継続提言 環境省会議

福島民友
「甲状腺検査」充実を 県外転出者支援も含めた体制必要
http://www.minyu-net.com/news/news/1219/news8.html

福島民報
甲状腺検査の充実を 環境省の専門家会議が中間報告
http://www.minpo.jp/news/detail/2014121919935


東京新聞=共同
原発事故、甲状腺検査の充実を 専門家会議が提言
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014121801002321.html

毎日新聞
福島県:甲状腺がんの県民健康調査、今後も継続
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000m040076000c.html


0 件のコメント:

コメントを投稿