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岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(59)=遺伝毒性学=は、サルナシの果汁に放射線障害の発症を抑える効果があることをマウスによる実験で確認した。これまでに皮膚がんや肺がん予防などの有効性も突き止めており、岡山県内唯一の産地・新庄村は「付加価値の高い特産品に育て地方創生の起爆剤にしたい」としている。
放射線障害は、被ばくによって細胞や細胞内のDNAが損傷し、がんや白内障、不妊などを引き起こす。実験はDNAが損傷すると、骨髄にある造血幹細胞内に小さな核を持った「赤芽球」ができることに着目。エックス線を照射したマウス16匹のうち、10匹にサルナシ果汁、6匹に水道水を飲ませ、異常な細胞の発生状況を比較した。
サルナシ果汁を与えたマウスは照射の24時間後、48時間後とも赤芽球ができた。しかし水道水を飲ませたマウスに比べ、発生率は24時間後は34~49%、48時間後でも43~62%にとどまったという。
有元准教授は2010年、サルナシの特産品化を目指す村の依頼で研究に着手。12年に皮膚がん、13年に大腸がんの前段階である「前がん病変」、14年には肺がんの抑制効果の成果を公表している。
「これまでの研究からサルナシの果汁が放射線障害にも有用と考えた」と有元准教授。「防護服の装着など事前の対応がリスク軽減策の主流となる中、被ばく後でも口からの摂取で抑制効果が得られる可能性が出てきた意義は大きい」と話す。
新庄村は古くからサルナシの自生地があり、02年から栽培を奨励。現在は20戸でつくる村サルナシ栽培研究会が約1・3ヘクタールで植栽し、生食用に販売するほか、村などとリキュールやジャム、酢といった加工品を手掛けている。
小倉博俊村長は「長年の研究でサルナシの健康への好影響が分かってきた。特産品のPRにしっかりと生かし、販路拡大に結び付けたい」と力を込める。
サルナシ マタタビ科でキウイの原種とされる。山岳地帯に自生し、果実は直径2~3センチの緑色。ビタミンCが豊富で、滋養強壮効果があるという。例年、8月下旬から9月上旬に収穫される。
放射線障害の抑制効果がマウスで確認されたサルナシ =2015年9月 |
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