2016年8月3日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160803/k00/00m/040/153000c
8000ベクレルで1.5兆円
東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土の再利用を巡り、法定の安全基準の放射性セシウム1キロ当たり100ベクレルまで浄化する場合のコストは2兆9127億円掛かるのに対し、8000ベクレルでは1兆3450億円との試算が環境省の非公開会合で示されていたことが分かった。同省は8000ベクレル以下の汚染土の再利用を決め、100ベクレルとの「二重基準」との批判が出ているが、1兆5000億円余のコスト減は「経済的・社会的に合理的」と説明されており、試算には正当性を強調する狙いがあるとみられる。【日野行介】
「二重基準」を正当化
汚染土を巡っては、原子炉等規制法のクリアランスレベル(原発解体などで生じる金属などを安全に再利用できる基準)が100ベクレル以下と規定する一方で、環境省は8000ベクレル以下を公共事業の盛り土などに再利用する方針を6月に決定。盛り土をコンクリートで覆うことなどで、放射線量をクリアランスレベルと同程度に抑えられるとしている。
環境省HPに掲載
この方針について、二重基準との批判を避ける「理論武装」の場として、環境省の非公開会合「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ(WG)」が今年1〜5月に計6回開かれた。この中で「例えば5000ベクレル(の汚染土)を再利用すれば100ベクレルまで減衰するのに170年」とする試算が示されていることを毎日新聞が報じるなどしたため、環境省は8月1日夜、非公開だったWGの議事録などを同省ホームページに掲載した。
このうち1月27日の第2回WGでは、環境省から事務局を委託された日本原子力研究開発機構作成の「合理的な再生資材の放射能濃度について」と題した資料が配布された。100ベクレルまで浄化した場合の再生処理コストは2兆9127億円、減容率は40%で、汚染土の4割は再利用できないと試算されていた。一方、3000ベクレルまで浄化した場合の再生処理コストは2兆1185億円、減容率は0.5%。8000ベクレルの場合は1兆3450億円で減容率は0.2%、99.8%が再利用できるとの試算だった。
資料は「経済的・社会的な要因を考慮すれば、合理的な再生資材の放射能濃度は数千ベクレルが妥当」などとする一方、注意書きに「最終処分コストは別途要推定」と記されている。
環境省の担当者は「(WGの)委員の求めに応じて作ったもので、100ベクレル(を汚染土の再利用基準にすること)は現実的に考えると難しいというのは資料の通り」と話した。
この方針について、二重基準との批判を避ける「理論武装」の場として、環境省の非公開会合「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ(WG)」が今年1〜5月に計6回開かれた。この中で「例えば5000ベクレル(の汚染土)を再利用すれば100ベクレルまで減衰するのに170年」とする試算が示されていることを毎日新聞が報じるなどしたため、環境省は8月1日夜、非公開だったWGの議事録などを同省ホームページに掲載した。
このうち1月27日の第2回WGでは、環境省から事務局を委託された日本原子力研究開発機構作成の「合理的な再生資材の放射能濃度について」と題した資料が配布された。100ベクレルまで浄化した場合の再生処理コストは2兆9127億円、減容率は40%で、汚染土の4割は再利用できないと試算されていた。一方、3000ベクレルまで浄化した場合の再生処理コストは2兆1185億円、減容率は0.5%。8000ベクレルの場合は1兆3450億円で減容率は0.2%、99.8%が再利用できるとの試算だった。
資料は「経済的・社会的な要因を考慮すれば、合理的な再生資材の放射能濃度は数千ベクレルが妥当」などとする一方、注意書きに「最終処分コストは別途要推定」と記されている。
環境省の担当者は「(WGの)委員の求めに応じて作ったもので、100ベクレル(を汚染土の再利用基準にすること)は現実的に考えると難しいというのは資料の通り」と話した。
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