2016年8月18日 京都新聞
http://s.kyoto-np.jp/politics/article/20160818000047
東京電力福島第1原発事故で京都に自主避難している人たちが、国や福島県に対し、住宅の無償提供の継続などを求める署名活動を続けている。県が方針通り来年3月末で無償提供を打ち切ると、母子家庭や、妻子が夫と離れて暮らす二重生活の家庭は経済的な負担に耐えられず、「望まない帰還を強いられる」と訴える。
署名を呼び掛けているのは、福島市から木津川市へ自主避難した宇野朗子さん(44)が共同代表を務める「原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会」。避難者や支援団体の代表、作家やジャーナリストが名を連ねる。
福島県は県内外への自主避難者に対し、災害救助法に基づき避難先の住宅の無償提供を行ってきた。京都府も県の要請を受け、公営住宅を「みなし仮設」として無償で提供してきた。
宇野さんは福島県内の除染や、避難の権利を認めた子ども・被災者支援法の具体化が不十分と指摘する。「現時点では帰還できないと思っている人は多い。私たちの生活実態を把握しないまま、国や県は命綱である住宅支援をやめることを決めた」と憤る。
福島市から宇治市に自主避難した菅野千景さん(51)も、住宅支援の打ち切りを「経済的に弱い立場の人につけ込んでいる」と批判する。福島市にあった自宅の裏山には、除染した土を保管している黒い袋が山積みになっている。「安全を確保できないのに帰れるわけがない。支援の打ち切りは、まるで兵糧攻め。強引に避難者をゼロにするやり方はおかしい」と話す。
京都府議会で「東日本大震災による避難者の住宅支援継続を求める意見書」が全会一致で可決された7月15日、自主避難者や支援者ら有志約20人が京都市下京区の街頭で署名活動をした。
宇野さんは「原発事故による汚染のリスクを負って被災地で生活する人、避難した人、それぞれの支援をお願いしたい。一人一人の命を守る国になってほしい」とマイクで訴えた。
住宅の無償提供の継続を求め、街頭で署名活動をする原発事故の自主避難者ら (京都市下京区) |
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