http://www.minpo.jp/news/detail/2016080633461
自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部が5日に示した帰還困難区域の素案を巡っては、同区域の放射線量や地理的条件が関係市町村によって異なるため、首長らの受け止めはさまざまだ。住民の居住が可能な「復興拠点」を設けるかどうかの判断も分かれており、政府に柔軟な対応を求める意見もある。
富岡町の宮本皓一町長は「与党として責任ある対応を示してもらった」と評価した上で、「区域全体の将来が展望できるよう、町の考えを伝える。同区域を含む町全体が再生されなければならない」と強調した。
浪江町の馬場有町長も「復興の姿が見えるようになる」との認識を示し、「帰還困難区域の除染計画を早急に示してほしい」とコメントした。双葉町の伊沢史朗町長は「最終的には帰還困難区域全域の避難指示が解除されるよう、国が責任を持って取り組んでほしい」と注文した。
一方、南相馬市や葛尾村、飯舘村の帰還困難区域は範囲が比較的狭く、山間部にある。菅野典雄村長は「飯舘村や葛尾村は帰還困難区域が村の中心部にはない。自治体の置かれている立場が違うのに一律の方針はおかしい」と疑問を投げ掛ける。
葛尾村の松本松男総括参事兼復興推進室長は「帰還困難区域の野行地区は葛尾村の端にあり、復興拠点に位置付けるのは難しい」として、「避難指示解除、居住制限の両区域と同じように除染や被災家屋の解体などを進めてもらいたい」と訴える。
大熊町の渡辺利綱町長は「報告を受け取ったばかりで何とも言えない。近く、町議会を通して町としての方向性を協議していく」と述べるにとどめた。
■自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部が示した帰還困難区域の取り扱いについての素案
(1)帰還困難区域のうち、5年をめどに、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す「復興拠点」を各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定・整備する
(2)6号国道沿いをはじめ、広域的なネットワークを構成する主要道路についても除染などの整備を行う
(3)市町村は復興拠点などを整備する計画を、県と協議の上で策定。国は整備計画を認定する
(4)整備にあたっては、除染・インフラ整備を一体的・効率的に行う
(5)区域見直しはせず、整備がおおむねできた段階で、避難指示を解除する(必要な運用の見直しは行う)
(6)これを実現するため、国が法制度・予算を措置する
(7)その他の地区については、線量の低下状況や復興拠点などの復興の進捗(しんちょく)を踏まえ、その扱いを検討する
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