http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201608/CK2016082402000155.html
東京電力福島第一原発事故を地元の福島県で経験した高校生八人が、脱原発を決断したドイツでの研修旅行を終え二十三日、豊島区内で帰国報告会を開いた。風化しつつある体験を今後も伝えるとともに、ドイツで学んだことを必ず生かすと誓っていた。 (増井のぞみ)
この研修旅行は、福島県の子どもを支援する宮崎市のNPO法人「アースウォーカーズ」が「福島・ドイツ高校生交流プロジェクト」として主催した。日程は今月十二日から十二日間。
ドイツでは、風力や太陽光で発電している企業などを巡った。福島の事故の経験を現地の高校生らに英語で語る機会もあった。
二〇一一年の事故の後、ドイツは二二年末までに原発を全廃することを法制化した。一方の日本では、事故などで全ての原発が運転を停止したものの、現在三基が再稼働している。福島市の高校二年、森瑛春(えいしゅん)君は「家の周りではまだ除染作業が続いているのに、再稼働させるのは矛盾だ」と訴えた。「ドイツの生徒は、積極的に手を挙げて意思表示する。原発反対の思いは表現しなきゃ伝わらない」
福島県田村市出身の高校二年、渥美藍(あい)さんは、福島の事故の後、兵庫県に移住した。「放射能を気にするかどうかで、友人関係に溝ができ、両親は離婚した」と明かした。
ドイツでは、意見の違いで戦争は起き、意見の違う人を殺そうとしたのがヒトラーだと学んだ。
「日本では、放射能への意見の違いで、心の戦争が起きている」と実感したという。「これまでの経験を生かし、困っている人と一緒に解決策を見つけるカウンセラーになりたい」と将来の夢を朗らかに話した。
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