http://mainichi.jp/articles/20160802/ddl/k29/040/517000c
福島県の親子らを奈良に招き、福島第1原発事故による放射能を気にせず遊んでもらう「福島の子ども保養プロジェクトinなら」が先月29日〜1日に開かれた。今年で5回目を迎え、小学生と家族計38人が参加。奈良公園を散策し、鹿と遊ぶなどして楽しんだ。主催する市民生活協同組合ならコープは「息長く続けていきたい」としている。【中津成美】
福島県生協連の呼び掛けに応じて2012年に始まった。これまでに延べ71家族198人を招いた。
今年は3泊4日の日程で、東大寺に参拝したり、大和郡山市の菓子工場であめの製作体験をしたりし、自由時間にはそろって奈良公園に出掛ける家族もいた。
最終日の1日は、子供たちが画用紙に一人一枚ずつ印象に残った思い出を色鉛筆で自由に描いた。鹿の絵を描く子供が多く、「可愛かった」などと感想を言いながら発表した。
福島市から母、妹の3人で来た小学6年の佐藤遥香さん(11)は「工場見学で作ったあめ作りが楽しかった」と笑顔。福島県郡山市の小学4年、大原古都乃さん(10)は「東大寺の大仏を夏休みの自由研究にしたい。お坊さんの説明をたくさんメモした。また来たい」と話した。
一方、保護者向けのアンケートには「福島では土は触らず、森に近づかないなどストレスも多い。思い切り深呼吸できる」「自宅を買った2年後に被災した。自主避難後、再び家に戻った。子供の健康を考えて定期的に県外保養に出ている」などと記され、東日本大震災から5年を経た切実な思いがうかがえる。
ならコープの上床匠子担当課長は「普段意識せざるを得ない放射能を忘れてもらうことが目的。被災者の声がある限り、できるだけ長く寄り添いたい」と話した。
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