http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161030_11019.html
東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理を巡り、宮城県内にある焼却施設での一斉処理に向けて県が市町村との本格的な調整に乗り出した。首長からは事態打開への期待と、住民理解を得られるか懸念の声が交錯している。
<いら立つ知事>
村井嘉浩知事は26日、大崎市の県合同庁舎で県北の首長らを集めて非公開の意見交換会を開いた。28日には大河原町の県合同庁舎で、県南の2市9町の首長らとの直接対話に臨んだ。
基準以下の廃棄物約4万トンと、環境省が実施した放射能濃度の再測定で基準を下回った未指定の廃棄物について、市や広域行政事務組合が持つ焼却施設で全県一斉に処理を進める考えを説明し、理解を求めた。
28日の会合後、取材に応じた村井知事は「みんなで一緒に一歩踏み出したい。これでうまくいかなければ解決しようがない」と停滞にいら立ちをにじませた。
ある県南の首長は「今回できなければ、国の財政支援もなくなる。混焼割合や処理年数などの方法論は、試験焼却の様子を見てからになる」と話し、県の提案に前向きな姿勢を示す。
<風評の払拭を>
一方、県南の別の首長は「全県一斉で進める方針は評価する」と歓迎しながらも、「住民への十分な説明なしに不安は払拭(ふっしょく)できない。処理施設の周辺では風評問題も出るだろう」と懸念材料を指摘した。
多くの廃棄物を抱える県北の首長は、放射能濃度が濃縮される焼却灰の処分を不安視する。「すき込みやたい肥化といった減容化を進め、できるだけ焼却量を減らすのが得策」との意見も出ている。
県は11月3日の市町村長会議で、正式に方針を説明し、理解を求める構えだ。ある首長は「『みんなでやろう』との掛け声に表立って異論は唱えにくいが、それぞれに事情を抱える。簡単に進むかどうかは分からない」と疑問を呈した。
県南の首長たちとの意見交換会に向かう 村井知事=28日、県大河原合同庁舎 |
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