2016/10/13

栃木の指定廃棄物、再測定で半減 環境省、集約処理は変えず

2016年10月13日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB12HFD_S6A011C1L60000/?n_cid=TPRN0011

東京電力福島第1原子力発電所事故で生じた栃木県の指定廃棄物について、環境省が放射性物質の濃度を再測定して推計した結果、従来の半分程度の6千~7千トンに減っていることが分かった。ただ、宮城、茨城など他県に比べるとかなり多く、同省は県内1カ所に集約して処理する方針は変えない見通し。17日に県内の市町長を集めた会議で正式に伝える。

放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超える場合、指定廃棄物となるが、濃度は時間がたつにつれて薄れる。栃木県内に保管されている指定廃棄物は約1万3500トンで、原発事故から約5年後の2016年1月に9680トンに減ると推計していた。

だが環境省が16年5~8月に、栃木県内で一時保管している約160カ所のうち約40カ所で焼却灰、下水汚泥、牧草、稲わらなどを再測定。個々の濃度の下がり方の集計を基に、約160カ所の指定廃棄物の量を6千~7千トンと推計した。

今後、環境省は保管している市町の合意が得られれば指定の解除を進める。その場合一般のごみと同じように処理できるようになる。

ただ、指定廃棄物が6千~7千トンに減ったとしても、環境省は茨城県のような分散保管は難しいとみており、これまで通り県内1カ所での集中処理を求める方針。茨城県の指定廃棄物は約千トンしかなく、複数の自治体で分け合えば、既存の公的なごみ焼却場などに保管しておける。それに対し栃木県は数量が多いため、専用の処分場が必要という判断だ。

環境省は17日、宇都宮市内で県内25市町の首長を集めた会合で、再測定結果と今後の処理方針を説明する。同省は14年に周辺の集落の有無、飲料水や農業用水の取水口からの距離などから塩谷町を処分場の候補地に選んでおり、引き続き同町に対して環境などの詳細調査を求めていく方針だ。

今後の焦点は、処分場の候補地となっている塩谷町の対応に移る。指定廃棄物の量が半分になれば、必要な処分場の規模も小さくなるため、同町を説得する糸口になる可能性がある。

ただ塩谷町は15年9月の関東・東北豪雨で浸水したのを根拠に「選定要件を満たさないため、候補地の選定結果を返上する」と主張している。今年8月の町長選挙では処分場の反対派と連携してきた見形和久氏が再選された。

こうした状況で塩谷町との交渉が円滑に進むかどうかは不透明だ。

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