2016年10月2日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161003/k00/00m/040/054000c
日本原子力研究開発機構は、自然放射線の一つで宇宙から降り注ぐ「宇宙線」による被ばく線量を国別に推計し、日本では1人当たり年間0.27ミリシーベルトと発表した。230の国・地域の中で153番目。
宇宙線は、地球の磁場の影響で赤道付近より北極や南極の方が強い。標高が低い場所は、厚い大気に遮られ弱くなる。同機構のチームは、緯度、経度、標高などから世界各地での宇宙線による被ばく線量を計算。人口分布も考慮し、国ごとの1人当たりの被ばく線量を推計した。
最も高かったのは、標高が高い都市に人口が集中する南米ボリビアで年間0.81ミリシーベルト。最低は赤道付近のシンガポールで0.23ミリシーベルト。日本では0.86ミリシーベルト(富士山頂付近)〜0.24ミリシーベルト(沖縄県波照間島)で、人口分布を考慮した平均値で0.27ミリシーベルトとなった。世界27カ所での実測値との差は10%程度だった。
世界平均は0.32ミリシーベルトで、現在指標とされている国連放射線影響科学委員会の値(0.39ミリシーベルト)より低くなった。
宇宙線は、自然放射線の約16%を占めるとされる。同機構の佐藤達彦・研究主幹は「原発などの放射線の影響を調べるには自然放射線との比較が重要で、より正確に評価できるようになった」と話している。(共同)
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