2016/10/01

【報道まとめ】除染対象外の汚泥、全額国費で撤去/福島

<原発事故>側溝堆積物撤去 国が支援

2016年10月01日 河北新報 

東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の影響で福島県内の側溝の汚泥処分が滞っている問題を巡り、政府は30日、堆積物を撤去、処理する市町村への支援方針を明らかにした。国は処分費用の全額を負担し、処分先や仮置き場の確保に向けて協力する。

対象は放射性物質汚染対処特措法に基づく除染実施計画を作成した43市町村のうち、側溝堆積物で路面冠水や悪臭などの実害が発生している地区。国や市町村の除染事業で堆積物が撤去された箇所は除外する。福島県外の自治体は「要望を受けていない」(復興庁)として対象外とした。

1キログラム当たり8000ベクレル超の堆積物は、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設(福島県双葉町、大熊町)か指定廃棄物最終処分場(同県富岡町)に搬入する。8000ベクレル以下の場合、市町村が主体的に処分先を確保し、国や県は廃棄物処理業者に処理の働き掛けを行う。

処分先に搬入するまでの間の仮置き場は放射能濃度にかかわらず、市町村が主体となって確保し、国と福島県はそれに協力する。

総事業費は100億円台を見込む。福島再生加速化交付金で2分の1を補助、残る市町村負担分は震災復興特別交付税を充てる。

市町村が自主的に堆積物を搬出したケースでは、原則としてさかのぼって財政支援しない。いわき市がモデル的に行う側溝汚泥除去事業に関しては「作業工程を調整し、国事業を適用できる所は極力支援する」(復興庁)方針。

側溝堆積物の撤去を巡っては福島、郡山、いわきなど10市町村が復興庁に財政支援を要望していた。

清水敏男いわき市長は記者会見し、「モデル事業という形で行動を起こしたことが結果として国を動かした。(モデル事業に)国の財源が充当できるよう、開始時期を含め国と協議する」と述べた。

小林香福島市長は「復興が一層加速化する」と強調した上で、8000ベクレル以下の堆積物の仮置き場などについて「市町村での確保は困難で、引き続き中間貯蔵施設に搬入できるよう国に要望したい」と話した。



側溝堆積物撤去に国費 市町村、処分場確保に課題も/福島

2016年10月1日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161001/ddl/k07/040/339000c

東京電力福島第1原発事故で道路側溝にたまった汚染土砂などについて、復興庁は30日、市町村による撤去の費用を全額国費で負担する方針を発表した。側溝の堆積(たいせき)物は、時間の経過で空間放射線量が下がって国費による除染の対象外となるなどし、県内各地で撤去できない事態となっていた。国費で撤去や処分が行われることが決まり、財政支援を求めていた市町村は一定の評価をした。一方で国は放射性物質の濃度が低い堆積物は、市町村が最終処分場を確保するよう求めており、周辺住民や業者の理解を得るのには困難が予想される。【土江洋範】

国費での堆積物撤去を決めたのは、側溝がふさがり豪雨時の冠水や悪臭、害虫が発生するなど実害が出ているからだ。今年度から財政支援を始め、各地区1回限りとする。復興庁は、中通りを中心に20自治体程度が支援を利用し、事業費は100億円台になると見込んでいる。

堆積物の放射性物質濃度が、国の指定廃棄物レベルに相当する1キロ当たり8000ベクレルを超えれば、中間貯蔵施設(大熊、双葉町)か指定廃棄物の最終処分場(富岡町)に搬入できる。一方、8000ベクレル以下なら、市町村が最終処分場を確保する。仮置きや処分にかかる費用も国が負担するほか、処分場の周辺住民への説明などで協力するとしたものの、市町村が処分先を確保できるかは不透明だ。

30日に記者会見した福島市の小林香市長は「側溝堆積物には放射性物質が入っており、(処分場がある)地域住民からなかなか理解を得られない」と述べ、全て中間貯蔵施設に搬入するよう国に要望する考えを示した。郡山市の担当者は「処分先は民間業者への依頼も含め場所を検討しないといけない」と話した。
    ◇
福島市西部にある小学校正門前の側溝。原発事故前は、周辺住民が清掃に取り組んできたものの、事故後に除染の対象となったため清掃活動を中断した。

だが、年月がたち、空間放射線量は国が除染基準とする毎時0・23マイクロシーベルトを下回ったことで堆積物が撤去されず、たまり続けている。

雨水がうまく流れず泥状になった土砂からは雑草が生い茂る。夏場は蚊がわき、側溝に殺虫剤をまく住民もいる。近くに住む60代の主婦は「子どもたちが、感染症などにかからないか心配で、市に堆積物の撤去をお願いしてきた。撤去が決まって、安心して暮らせる環境ができる」と喜んだ。



福島県内の除染対象外の汚泥、全額国費で撤去へ

2016年9月30日 TBSニュース
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2881229.html

東京電力福島第一原発事故による放射性物質で汚染された福島県内の道路の側溝に溜まった泥や土砂について、政府は、全額国費で撤去する方針を発表しました。

福島県内の道路の側溝にたまった泥や土砂については、時間の経過により空間放射線量が基準値を下回ったことで国による除染の対象から外れた地域があり、撤去が遅れ豪雨の際の道路の冠水や夏場の悪臭などが問題になっていました。

政府は、今回こうした泥や土砂について、復興庁の福島再生加速化交付金と総務省の震災復興特別交付税交付金を充てることにより、全額国費で撤去する方針を発表しました。対象となるのは除染実施計画を作成している福島県内43の市町村で、国費による撤去は1つの地区につき1回限りで行なわれます。

政府は、「震災前のように地方公共団体による撤去活動が再び行なえるようこの5年間で溜まったものをいったんクリアにする必要がある」と説明しています。






側溝汚泥 国費で除去へ

2016年10月01日 読売新聞 

東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質で汚染され、側溝にたまった汚泥について、政府は除染の対象外でも、県や市町村による除去や処分にかかる費用を国費で全額支援する方針を決めた。今村復興相が30日の閣議後記者会見で表明した。国に要望し続けてきた自治体からは「ようやく動いてくれた」と歓迎する声が上がった。

県内では事故後、側溝の汚泥に放射性物質が付着したため、各地で側溝の清掃が中断した。国の除染基準(地上1メートルの空間放射線量が毎時0・23マイクロ・シーベルト)以上なら国費で除染できたが、時間の経過とともに、基準を下回って除染対象外になるケースが多発。仮置き場や処分先が決まらないまま汚泥がたまり続けたため異臭や害虫発生の苦情が住民から多数寄せられ、各自治体が国に支援を求めていた。

国は、県内43市町村を支援対象とし、除去・処分費用は福島再生加速化交付金などで賄う。また、汚泥の処分先は、放射性物質濃度が1キロ・グラムあたり8000ベクレル超が、富岡町にある国の産廃処分場か、大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設。8000ベクレル以下は各自治体で処分場を確保する。

汚泥の処理に頭を痛めてきた自治体の首長らは、国の方針に一安心している。

いわき市は自力での除去を目指し、8月の臨時市議会に事業費約5億7000万円を盛り込んだ補正予算案を提出。小名浜地区の市道約78キロ・メートルの側溝にたまる推計約2410立方メートルを今年度中に除去する計画だった。清水敏男市長は「先んじて行動を起こしたことが国を動かした。事業費を国の補助金に振り替え、小名浜以外も除去したい」と語った。

福島市では、これまでの除染で総延長3500キロ・メートルの側溝にある汚泥や土砂の約9割の除去にめどがたった。今回の国費処理の対象になるのは少なくとも約6300立方メートルと見込んでおり、小林香市長は「仮置き場を確保し次第、年度内に除去したい」と話した。

ただ、8000ベクレル以下は自治体で処分するとした国の方針については、「住民の理解が得られない」として、中間貯蔵施設で保管するよう国に要望するという。

線量の低い市東部などが、ほぼ手つかずの郡山市では、国費投入で残る地区の除去もかなり進むとみている。品川万里市長は「現時点で最善の方針」と評価した。

一方、県は、国の方針を受け、県道などの側溝にたまった汚泥の除去が必要か調査を進める。県除染対策課は「国が財政支援を含む方針を示したことは、大きな前進だ」と話している。
土砂などを除去できず、雑草が生えた側溝(30日、福島市で)



「道路側溝土壌」撤去へ前進 国が全額支援、評価や懸念の声も

2016年10月01日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20161001-116014.php 

東京電力福島第1原発事故の影響で汚染された道路側溝にたまった土壌が全額国費で撤去する財政支援を正式発表した30日、対応に頭を悩ませていた市町村からは評価の声が上がった。ただ、土砂の行き先など具体的な処分の仕組みは不透明で、仮置き場の確保など、新たな負担の発生を懸念する声も聞こえる。

国の方針決定に先行し、12月からいわき市小名浜地区で堆積物撤去のモデル事業に乗り出すことを決めている清水敏男市長は「手厚い手当てを評価したい」と話す。同市は国の支援を活用するため、今後、事業の開始時期を調整する考えだ。

郡山市は市民に土壌の撤去の自粛を求め、基準を下回った側溝の土砂に手を付けられずにいた。品川萬里市長は「大きな課題の一つに、現時点で最善の方針を示してもらえた」と国の対応を歓迎する。

一方、国の方針では、放射性物質で汚染された指定廃棄物(1キロ当たり8000ベクレル超10万ベクレル以下)の基準を下回った土壌を保管する仮置き場や最終処分場は、市町村が確保しなければならない。方針には仮置き場の確保に向けた国や県の協力が明記されているが、除染廃棄物用仮置き場の使用の長期化や、新たな仮置き場の確保は住民負担増加につながりかねない。

福島市に28ある自治振興協議会のうち、ある地区の協議会長を務める男性は「(除染用)仮置き場は苦渋の選択で決断した。中間貯蔵施設への搬出期限も過ぎている。一日でも早く元通りにしてほしい」と仮置き場の解消を訴える。

同市の小林香市長は、新たな仮置き場の確保などについて「住民の理解は得にくい。土壌についても、国に中間貯蔵施設への搬入を強く要望する」と話す。

土壌の安全性の確保や臭気なども不安材料に挙がる。いわき市のある行政区長の男性は「国や県、市が住民説明会などを通して、住民に直接説明すべき問題」と指摘する。県は、県道の側溝にたまった土壌の撤去について市町村と一緒に対応を協議する方針。担当者は「撤去が進む仕組みを早くつくりたい」としている。
国が財政支援を決めた道路側溝の土壌撤去。
市町村は仮置き場確保などの対応が求められる


除染対象地域外の汚泥 国が費用負担し撤去へ

2016年9月30日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160930/k10010712881000.html

政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質で汚染された福島県内の側溝の土砂や汚泥について、空気中の放射線量が国の基準を下回り除染の対象となっていない地域でも、費用の全額を国が負担して撤去を進める方針を固めました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質で汚染された福島県内の側溝の土砂や汚泥について、空気中の放射線量が国の基準を下回り除染の対象となっていない地域では、国の費用負担がないことから撤去が進んでいません。

これを受けて政府は、除染の対象から外れた地域でも、費用の全額を国が負担して撤去を進める方針を固めました。

政府は今後、対応が必要な地域を把握したうえで、市町村と連携して速やかに土砂の撤去に着手することにしていて、費用は、被災した福島県内の自治体などを財政的に支援するための福島再生加速化交付金などから充てるとしています。

これについて、今村復興大臣は閣議のあと記者団に対し、「基準値という線引きがあって、こんにちまできたが、とにかく、一回きれいにしようということで踏み切った」と述べました。




福島県内側溝の汚泥、国費で除去 除染対象外の地域

2016年9月30日 東京新聞

政府は30日、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染され、福島県内の道路側溝にたまった汚泥や土砂について、市町村の除去費用を全額国費で負担する方針を発表した。時間の経過で空間放射線量が基準を下回り、国による除染の対象外となった地域などを支援する。

国の補助がないために除去が進まず、豪雨時の道路冠水や夏場の悪臭などが問題となっていた。

福島再生加速化交付金の対象に側溝の汚泥の除去を加え、除去費用の半分を補助。残る半分については震災復興特別交付税を充て、自治体の実質的負担をゼロとする。
(共同)

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