2015/07/16

御前崎の小学校 初めての原発授業/静岡

2015年7月16日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20150716/CK2015071602000039.html
原子力について学ぶ児童たち=御前崎市第一小学校で
中部電力浜岡原発が立地する御前崎市の小学校で十五日、児童たちが原発や原子力防災について学ぶ原子力学習会があった。市内の児童たちが原子力を学ぶのは、浜岡原発の立地が決まった一九六七年以降初めて。県や市の担当者が、原発の歴史や発電の仕組み、原子力災害への対応などを教えた。

市内五校の六年生が対象で、今年中に各校で開く。これまで市教委は、子どもたちの不安をあおるなどの理由で、原子力について教えていなかった。東京電力福島第一原発の事故を受け、正しい知識を教える方針を決めた。

初回となった第一小学校の学習会は、六年生百二十一人が、県危機管理部原子力安全対策課の小沢謙一主査と市原子力政策室の斎藤誠室長から授業を受けた。

浜岡原発の歴史では、国策の原発を受け入れたことで農業中心の貧しかった地域が豊かになり、原発関連交付金が地域の活性化につながっていることなどを説明した。放射線の測定方法や体への影響、浜岡で原子力災害があった場合の身の守り方や避難方法などをスライドを使って教えた。

児童からは「原発がなくなるとどうなるの」「放射線を体に浴びると、どんな影響があるの」など多くの質問があった。半数以上が原発に興味を持ったと答え、山下実依さんは「初めて知ることがたくさんあった。原発について前より心配がなくなった」、石津武流君は「まだ分からないことがあり、もっと詳しく知りたい」と話した。

今後、市教委は東北電力女川原発が立地する宮城県女川町の教諭らを招いた意見交換会や、中学生への学習会、原子力災害を想定した学校防災訓練なども検討している。篠田暁美教育長は「福島の事故で原発の安全神話は崩れた。原発立地市の子どもとして正しい知識を得て、自分の考えで判断する大人になってほしい」と話した。
(夏目貴史)

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