2015年07月31日 毎日新聞
東京電力福島第1原発事故のあった福島県の子どもらがのびのび遊べるようにと、津山市に招待する「保養プロジェクト」を同市のボランティア団体が開いている。この夏に招いた13家族45人が29日に到着し、10日間の日程で川遊びや日帰り温泉などを楽しむ予定。幼い子を連れた母親の姿が目立ち、「放射能の心配をせず、自然の中で遊んでほしい」と切実な思いを吐露していた。【五十嵐朋子】
◇「虫取りや水遊び楽しみ」
東日本大震災後に結成されたボランティア団体「さよなら原発ママパパ美作ネットワーク」などが主催した。2012年からプロジェクトを始めて7回目になるが、今回は参加受け付けを開始後、すぐに定員に達したという。同ネットワークの和泉富美子さん(67)は「ニーズは多いが、こうした催しを主催する団体が減ってきているのでは」と話す。
今回はほとんどが福島県から来た人たちで、本格的な日程が始まった30日は、同市神代の研修施設「倭文の郷・久米ロッジ」で、地元住民が歓迎のために用意した流しそうめんを楽しむなどした。
就学前の3人の子どもを連れた福島市の女性(28)は、各地の同様の催しに参加してきたが、津山市は初めてという。地元では、除染作業が終わった自宅の庭や公園で子どもを遊ばせているが、除染されていない茂みなどには怖くて近付けない。「山の中なので虫取りをしたい。子どもは水遊びも喜んでいる」と笑顔を浮かべた。
義理の娘と孫と一緒に参加した同市の安斎よしいさん(65)は「(岡山に来て)ほっとした」。除染作業の廃棄物を詰めた黒いビニール袋が山積みにされた光景を見るたび、「孫が大きくなった頃、どうなっているのだろう」と気持ちがふさぐという。「ここ(津山)では皆さんが支えてくれて、感動した。被災地のことをずっと忘れないでもらいたい」と話した。
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