2015/07/24

(Re:お答えします)がんと被曝、影響どう判断?

2015年7月24日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/DA3S11877235.html

東京電力福島第一原発事故に伴う被曝(ひばく)の健康影響をみる福島県の甲状腺検査で、事故当時18歳以下だった計103人が甲状腺がんと診断されました。事故の影響は考えにくいとのことですが、なぜそう言えるのでしょうか。(広島県 女性)

■推定被曝量、他の事故と比較
甲状腺検査は、事故当時18歳以下の福島県民約38万5千人を対象に、昨年3月末に1巡目の検査が終わりました。この結果と、現在実施されている2巡目以降の検査で、主にがん発生がどう変化するかで被曝(ひばく)の影響を評価します。

今年3月末時点で、1巡目の98人、2巡目の5人が手術を受けてがんと確定しました。国内で大規模な検査が実施されたことはなく、多いのか少ないのかはわかりません。103人のうち100人は、進行が遅く経過もいい「乳頭がん」でした。乳頭がんはなっても生涯気づかないケースがあります。3人は、乳頭がんよりは進行が少し早い「低分化がん」でした。

県の県民健康調査検討委員会は「現時点で事故の影響は考えにくい」としています。理由の一つとしてチェルノブイリ原発事故と比べて、放射性ヨウ素の推定被曝量が少ないことを挙げています。

甲状腺がんは甲状腺局所の被曝が100ミリシーベルト以上で明らかに増えることがわかっています。

チェルノブイリの避難民の甲状腺被曝量は平均500ミリシーベルト。汚染区域の住民では平均100ミリシーベルトで、影響を受けやすい乳幼児はその2~4倍被曝したと推計されています。一方、福島県の子どもの被曝は、国連科学委員会や放射線医学総合研究所の推計ではチェルノブイリより1桁は少ないとの結果が出ています。

また、チェルノブイリでは、事故当時0~5歳だった乳幼児に甲状腺がんが多発しました。県内では今のところ、事故当時、5歳以下だった子どもからは見つかっていないことも挙げています。

ただ、チェルノブイリでは事故の4~5年後から甲状腺がんが急増しました。甲状腺検査の実施責任者を務める福島県立医科大の大津留晶教授は「きちんと検査し、長期的に見守っていきたい」と話しています。
(富田洸平)

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