2015/06/30

原発「自主避難者」住宅の無償提供が打ち切り

2015年06月30日 AERA編集部
http://toyokeizai.net/articles/-/75115
河井さん宅に取材に行ったのは午後3時ごろ。母の目線の先には、近所の子どもたちと遊ぶ娘の姿が。
子どもたちには「避難者」かどうかは関係ない(写真部・植田真紗美)
福島県は6月15日、いわゆる「自主避難者」への住宅無償提供を2017年3月で打ち切ると発表した。復興の加速と帰還促進を目指す国の意思だという。

「うるせぇ! 帰るところがあるヤツは、帰れ!」
スポーツセンターの広いロビーに、初老の男性の怒号が響いた。身をすくめる子どもたち。言葉を向けられた河井加緒理さん(33)も咄嗟(とっさ)に返す言葉がない。
「私たちは、認められない存在なんだ……」
そう自覚した瞬間だった。2011年3月下旬。栃木県内のスポーツセンターでのことだ。

東日本大震災に伴う原発事故からの避難者が身を寄せていた。誰もが同様の境遇なら、冒頭の発言はなかったかもしれない。だが、避難者は政府による避難指示の有無によって、自宅に帰りたくても帰れない「強制避難者」と、物理的には帰ることが可能だが避難を選んだ「自主避難者」に二分されていた。
「原発が爆発して、安全なはずがない」

と、当時5歳と3歳の子どもを連れて福島県いわき市の自宅を出発、この避難所へ来た河井さんは、後者だった。

1カ月後の4月に埼玉県へ。現在まで、災害救助法に基づく福島県による住宅の無償提供を受けて公営住宅に暮らしてきた。その無償提供が16年度いっぱいで打ち切られる。河井さんは言う。
「このままでは、追いつめられた親は子どもと路上生活するしかない。『もう大丈夫。ありがとう』と言える日まで、家を追い出さないでほしい」

自主避難者にとって今回の決定は、「2度目の切り捨て」とも受け取れるものだった。

最初の「切り捨て」は、政府が原発事故後、避難指示を出す基準を「年間被曝(ひばく)線量20ミリシーベルト」と定めたことだ。
 

国の避難指示出ると信じた
原発事故以前の日本の年間被曝限度は1ミリシーベルト。原発事故後は、これが20倍になった。自主避難者の多い福島県の中通りやいわき市の事故直後の放射線量は、この基準には達しないものの、平時の数百倍から1千倍。正確な放射線量や被曝の影響についての情報が錯綜(さくそう)する中、自分の住む地域にも避難指示が出ると信じて避難した人も多くいた。

6月15日の記者会見で内堀雅雄・福島県知事は無償提供打ち切りを「帰還や自立を促すため」と説明したが、戻る場所がないケースや自立できないケースも少なくない。

「原発離婚」という言葉がある。子どもの被曝リスクを減らすために避難を選択した妻と、避難は必要ないと考えた夫。避難生活を支えるために離れて暮らすうち、気持ちがすれ違ってしまった家族。取材の過程で多くの避難者に出会ったが、原発事故後に離婚したという夫婦は5組や10組ではない。

冒頭の河井さんも避難を巡る意見の食い違いで夫と離婚していた。栃木県内の避難所、親戚宅などを転々としてたどり着いた埼玉県の公営住宅。避難に否定的だった夫は同行せず、避難先での生活費も自分で工面するしかなかった。すぐに保育園と仕事を探し、病院の看護助手としてフルタイムで働き始めた。慣れない土地での生活。仕事をしながらの孤独な子育て。夜が来るたびに泣いて過ごす半年間を経て、11年11月に離婚した。

酒浸りになった時期もある。一番守りたかった子どもたちに一日中留守番をさせてでも働かざるをえず、精神的に追いつめられ、思わず子どもに手を上げかけた。そんな毎日を少しでも明るくしたくて、思いきってカーテンを買い替えたとき。新しいカーテンを見た近所に住む女性に投げかけられたのは、こんな言葉だった。
「避難者はいいわね、お金がもらえて」

そもそも自主避難者は、複数の共通する困難を抱えている。
ひとつは、経済的な困難。「すべての避難者には東京電力から高額な賠償金が支払われている」という誤解があるが、強制避難者なのか自主避難者なのかによって、受け取れる賠償金や支援には大きな違いがある。

例えば、帰還困難区域から避難している4人世帯の賠償実績は、2013年時点で1億円(財物・就労不能損害・精神的損害)。これが自主避難者の場合、18歳以下の子どもと妊婦は1人につき68万円、大人は1人につき8万円が基本。河井さんが手にしたのはこれにわずかな追加賠償を加えた約150万円のみだ。母子3人の避難生活を支える金額としては、あまりにも少ない。住宅の無償提供は、自主避難者に対するほとんど唯一の経済的支援だった。

2つ目は、孤独や孤立という困難。原発事故以前のコミュニティーから切り離され、河井さんがそうだったように、避難先では「勝手に避難してお金をもらっている人たち」という視線にもさらされている。

3つ目は、未来の生活を描けないという困難だ。自宅のある地域の放射線量は、今後どう推移するのか。どこまで下がったら戻るのか。このまま下がらなかったら、避難先に永住するのか。避難先の人に「いつ帰るの?」と聞かれて困惑したという話はよく聞く。

そして最大の困難は、避難に伴うあらゆることが「自己責任」とされてしまうことだ。
私のせいじゃなかったはず

磯貝潤子さん(41)は、2人の娘とともに福島県郡山市から新潟県に避難し、現在もそこで暮らしている。避難を決めた当時、自宅の放射線量は、原発事故前の30~50倍。部分的には500倍にもなった。「ここで子育てはできない」と判断した彼女の自主避難を、「自己責任」と片づけてしまっていいのだろうか。

福島県内で仕事を続ける夫の月収は、30万円に満たない。磯貝さんもパートで月に5万円ほどを稼ぎ二重生活を支えるが、自宅の住宅ローンの支払いも継続中で、保険を解約した払戻金や貯金を切り崩して、なんとか生活している。自宅売却も考えなければならないかもしれない。

そんな矢先の無償提供打ち切り。避難先で家賃を支払う余裕はとてもない、と磯貝さんは言う。長女は来春、新潟市内の高校を受験する予定。すぐには地元に帰れない。それでも郡山市から住民票を移さず税金を払い続けるが、いまは地元から見捨てられた気持ちだと言う。

「地元に住み続ける人がいる中、自分たちだけ支援してほしいなんて思っていないんです。でも、『自己責任』と言われるたびに、『私のせいじゃなかったはず』と思ってしまう」

3万6千人いるとされる自主避難者のうち、応急仮設住宅の居住者は2万5千人、およそ9千世帯と推計されている。住宅の無償提供費用は年に80億9千万円ほどとされ、1世帯にすると最高でも126万円ほどだ。一方で、居住制限区域では1世帯の除染費用が1億円に上るケースもあるという。

今回、無償提供打ち切りに代えて示されたのは、「福島県内への引っ越し費用の補助」「低所得者への家賃補助」「公営住宅確保」「コミュニティー強化」の四つだが、財源も開始時期も未定の状態だ。

磯貝さんと同様、福島県内の自宅のローンを抱えながら新潟県に自主避難中の男性(40)は、たとえ一家がそろっていても、
「貧困のリスクは高いですよ」
と話す。

原発事故直後の11年4月に妻の妊娠が発覚。「妊婦や子どもは放射線の影響を受けやすい」と知って避難を決めた。初産の妻を1人で避難させることは、当初から考えなかったという。
 

いま必要なのは社会全体の共感
その年の夏に新潟県に避難してNPO団体で働きはじめたが、収入は原発事故前の半分以下になった。その後、2人目の子どもも生まれ、一家4人月収20万円以下の切り詰めた生活が続く。

「自主避難者でかつ夫も避難しているケースは、『働き手がいるだろう』と支援の枠から外れやすい。時間の経過とともに『二重生活を続けるのは厳しい』と判断して母子の避難先に夫が合流するケースもあるが、年齢によっては思うように転職ができないなど、みんな厳しい」

災害対応を続けてきた津久井進弁護士は指摘する。
「いま必要なのは、それぞれの立場に対する社会全体の理解と共感。住宅支援は生活基盤に直結する最も大切な支援で、それを打ち切ることは避難者の生存権を奪うことにほかならない」
そして、続けた。
「避難者1人ひとりが置かれている状況は違う。避難の権利を認め、実情に応じてパーソナルサポートをしていくべきだ」

すでに打ち切りの決定は下ったが、撤回を求める署名活動が続いている。
(フリーライター:吉田千亜)


※AERA 2015年7月6日号

被ばく線量:避難誘導者、上限引き上げ 再稼働に備え検討

 2015年6月30日 毎日新聞http://sp.mainichi.jp/select/news/20150630k0000m040136000c.html

政府は、原発事故時に周辺住民の避難誘導や物資の輸送などに当たる地方自治体職員やバス運転手らの被ばく線量の上限を、現行の年1ミリシーベルトから引き上げる方針を決めた。東京電力福島第1原発事故では、現地対策本部に必要な職員らが集まらず避難や物流に支障が出た。原発の再稼働に備え、住民の着実な避難を進めるため上限の新たな基準を設定するものだが、原発周辺自治体では人員確保への懸念が広がりそうだ。

来月にも内閣府に作業部会を設置し、新基準の検討を始める。引き上げの対象は、警察や消防以外の地方公務員のほか地元のバス、トラック運転手ら。

原発事故時に住民避難の誘導などに当たる人員は、旧原子力安全委員会がまとめた見解(1999年)で、原発事故時の「防災業務関係者」と位置付けられた。このうち警察、消防、国家公務員などは省令などによって一般住民の被ばく上限(年1ミリシーベルト)を超える上限(緊急時100ミリシーベルト)が設定されている。一方、地方公務員や運転手らには、現在は被ばく上限の特別な基準はなく、緊急時も一般住民と同じ基準が適用される。

作業部会は、山下俊一・長崎大理事ら有識者7人で構成。内閣府や厚生労働省、原子力規制庁のほか、日本バス協会などの業界団体も加わる。福島事故時に敷地外で活動した自治体職員らがどの程度被ばくしたかなどを検証、それを踏まえて内閣府と厚労省が具体的な数値を決める。

被ばく上限の基準は、他に緊急時の原発作業員が100ミリシーベルト、除染作業員が年50ミリシーベルトなどと定められている。旧安全委の見解では、緊急時の防災業務関係者の上限を「50ミリシーベルトが適当」としていたが、基準決定前に福島事故が発生した。内閣府の担当者は「汚染が比較的高い場所で活動する可能性があり、効率的な避難誘導のためにも新たな基準が必要だ」と説明する。【酒造唯】

◇鹿児島県のバス会社「変更なら協力見直す」
政府は九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)など、原子力規制委員会の安全審査に合格した原発の再稼働を進める方針だ。川内原発の避難計画は昨年9月、政府の了承を受けたが、避難バスの手配や避難住民の除染態勢を巡って地元との調整が続いている。被ばく上限の引き上げは、これらの調整に影響を与える可能性がある。

原発の避難計画は国の審査の対象外だ。このため、政府は策定を支援するだけで地元自治体が責任を負う。安全審査を申請した川内原発以外の各原発では、各自治体が避難計画をまだ策定中で、審査に合格した関西電力高浜原発(福井県)も完成していない。

以前から原発事故時に大量の住民が避難する移動手段の確保は、避難計画のカギを握るとされてきた。職員の被ばく防護対策の充実という課題もある。難題が山積する中、避難住民の誘導を担う地方公務員らの被ばく上限が引き上げられることになれば、地元の反発を招きかねない。

今夏の再稼働を目指す川内原発で調整が難航すると、避難計画自体の見直しを迫られる可能性もある。政府は現在、上限を年1ミリシーベルトとする前提で、地元のバス会社などに協力を要請している。鹿児島県のバス会社は毎日新聞の取材に「『1ミリシーベルト』が引き上げられるなら、協力するかどうかゼロベースで見直す」と話す。【酒造唯】

[福島日報ダイジェスト] より「長野のコシアブラより352ベクレル」全国ダイジェスト5月25日 拡散可

5月25日に発表された「食品中の放射性物質の検査結果について(第931報)」によりますと、福島県を除く47の自治体の検査結果から入手した放射性セシウムの検出検査結果7,662件のうち、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体は12件でした。

その産地、品目、数値は次の通りです。

宮城県大崎市産の野生のゼンマイ 2件の中の1件から 170.6Bq/kg

宮城県大崎市産の野生のコシアブラ3件の中の1件から 201.4Bq/kg

宮城県丸森町産のタケノコ65件中の40件のの中8件から 123.3Bq/kg ~ 460.3Bq/kg

千葉県我孫子市産のタケノコ4件の中の1件から 130Bq/kg

長野県長野市産の野生のコシアブラ1件から 352.1Bq/kg


つづきまして、5月11日~22日に福島県が放射性ヨウ素及び放射性セシウムの検出検査を行ったところ、対象630件のうち、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体は2件でした。

その産地、品目、数値は次の通りです。

伊達市布川産のイワナ 1件から 112.5Bq/kg

葛尾村産の野生のフキ10件中の6件から検出され、その内の1件から 192.9Bq/kg


以上、厚生労働省発表「食品中の放射性物質の検査結果について(第931報)」の要約でした。
詳しくお知りになりたい方は、福島県のHPより「ふくしま新発売」、厚生労働省 および、 郡山市のHPより「食品中の放射性物質の検査結果について」をご覧ください。

福島/<お盆前帰還>楢葉町民と国の意識に溝

2015年06月30日  河北新報
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150630_63009.html
 
国と楢葉町民との懇談会。議論は擦れ違いが目立った=20日、いわき市

東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県楢葉町の町民に、国がお盆前に避難指示を解除する方針を説明した懇談会が28日、終了した。町内には「早く帰りたい」と解除を歓迎する声もあるが、19日から8回の懇談会では「時期尚早」などと反対する意見が多数を占めた。「解除」に対する国と町民との根本的な考え方の違いから、議論は擦れ違いが目立った。

「解除は『安全宣言』でしかない」。国の原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長らは懇談会でこう説明し「帰る自由を回復するだけ。帰還を強制するわけではない」と繰り返した。

根底には「避難指示は生命・身体の危険を回避するため」との考えがある。

12日に改訂された福島の復興指針では、避難指示は「生命・身体に危険が及ぶ状況が解消されれば(中略)速やかに解除」との方針を提示。解除の要件に(1)年間積算線量が20ミリシーベルト以下(2)生活インフラや医療などのサービスがおおむね復旧(3)自治体や住民との十分な協議-を挙げている。

懇談会でも、国側は「楢葉は生命・身体の危険が生じないレベル。原発事故前と同じ姿ではないが、安全は確保されている」と指摘。企業の進出が難しいなど避難指示の弊害を挙げ、「解除は復興の新たなスタート」と強調した。

これに対し町民からは「生活環境を整えて解除するのが筋だ」と反発が相次いだ。避難指示で古里、生活の場を奪われた町民にとって、「解除」は生命の危険がないことはもちろん、再び生活できる状態に戻してこそ、との思いがある。

20ミリシーベルト以下という基準、放射性物質への不安から「安全」に疑問を抱く町民も多い。医療機関や商業施設が復旧しておらず、防犯上の問題なども帰還意欲を鈍らせる。

町民が懇談会で「医療機関が町内にない。おおむね復旧と言えるのか」とだたすと、国側は「近隣の医療機関と協力するなど、総合的に生命・身体の危険が出ないようにしている」と回答。「除染廃棄物の仮置き場が不安だ」との声にも「生命に危険が及ぶという状況ではない」と答えた。

新たな福島の復興指針で、精神的損害賠償が一律2018年3月まで支払われるようになったことも「まず、帰りたい人が帰れるようにする」という国の姿勢を強くしている。

いわき市の会場で20日、男性が訴えたことが、国の考えと町民感覚の違いを象徴した。

「国の説明を聞くと、住める環境が一部整ったというだけ。なぜ、解除を急ぐのか。帰っても生活できる環境を整えてほしい」

福島/「子ども屋外プール」完成 本宮、体力向上に活用へ

2015年6月30日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/topic/150630/topic5.html 



落成した市子ども屋外プール


本宮市が本宮まゆみ小脇に整備を進めていた「同市子ども屋外プール」が完成し、29日、落成式が同所で行われた。平日は同小児童が使用し、土日や夏休みは一般向けに無料開放する。
同プールの整備は、国の「子ども元気復活交付金」を活用した。原発事故後、外遊びが減ったことなどによる肥満や体力低下などが懸念される中、子どもたちの体力向上につなげようと整備した。
式では、高松義行市長があいさつ。国分義之市議会議長が祝辞を述べた。また、高松市長らがテープカットを行ったほか、シドニー五輪銀メダリストの中村真衣さんが泳ぎ始めで模範泳法を披露した。
水深40センチから130センチまでの3種類のプールがある。総事業費は約3億2千万円。県が29日までに行ったプールの水の放射性物質検査では、検出限界値未満を示すNDだった。
 

2015/06/29

国の安全基準データはまやかし! 経済優先の復興アピールで避難指示解除を強いるのは尋常じゃない

2015年06月29日 週プレnews
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/06/29/49922/

再来年の3月までに、政府は福島原発事故による避難指示を一部を除いて解除する方針だ。しかし、特定避難勧奨地点を解除された南相馬市の住民らが国を相手に裁判を起こすなど国の安全基準に疑問を呈する声は多い。

国が安全基準として採用したのが、年間被曝量20mSv(ミリシーベルト)。この被曝量なら心配される子供の発がんリスクはないと見ているのだが、その根拠を詳細に調べると、実に恣意的な理屈が積み重なっているのがわかる。

低線量被曝が健康に影響しないとする説のひとつに、自然放射線量が高い地帯でがんは多発していないというものがある。

鹿児島大学大学院の秋葉澄伯教授らがそのうちの一ヵ所、インドのケララ州カルナガパリの住民7万人弱を対象に1998年からおよそ10年間、追跡調査をした。その結果、年間15mSv近い被曝をしている人たちでも発がん率は増えていないと結論づけている。

だが実はこの調査、対象としたのは30歳から84歳までで、子供と85歳以上の高齢者は含まれていない。29歳以下はがんになるリスクが低く、累積被曝量も少ない。また、85歳以上は悪性疾病の医療を受けることが少なく、データの確実性に欠けるという理由から除外したという。

つまり、このインドのデータからは福島の子供のがんのリスクについて語れないのだ。その疑問を秋葉氏に投げると「さらに研究をしないと明確な結論は出せない」とし、「インドのカルナガパリ以外にも自然放射線量が高く人口も多い地域がいくつかあるので、そのような地域で同様の調査をする必要がある」と回答。本人もまだ研究が必要なことを認めた。

事故後30年が経とうとしているチェルノブイリでは、今でも健康な子供が少ないという。2013年と14年にウクライナを訪れたOurPlanet-TVの白石草さんが説明する。
「免疫力、甲状腺機能、筋骨格、心臓、消化器の病気など多岐にわたる症状が出ています。現在の空間線量は毎時0.04から0.5マイクロシーベルト程度ですが、内部被曝、低線量被曝、遺伝疾患などが健康被害につながっているようです。チェルノブイリでは年間5mSvを超えると強制的移住でした。日本政府の20mSvはあり得ません」

国は国連のデータを基に福島原発の事故はチェルノブイリと比べてセシウム137の放出量が6分の1というが、それも数字のマジックにすぎない。国連の統計は日本全体と欧州全体で比べたため、日本より人口の多い欧州のほうが集団実効線量は高くなる。それを自治体ごとに計算すると、チェルノブイリの汚染に匹敵するのだ(『週刊プレイボーイ』13号「検証『美味しんぼ』鼻血問題」記事参照)。

それに「ストロンチウムやプルトニウムはほとんど放出されていない」というが、それも間違いだ。なぜなら文科省自身が2012年8月、福島原発事故で放出したとみられるプルトニウムが南相馬市、双葉町、浪江町、大熊町、飯舘村の計13地点から検出されたと発表している。しかもこの時、検出されたのは2度目だった。

今年4月から、いわき市の放射能市民測定室「たらちね」ではそれまで市民測定所レベルでは測れなかったストロンチウム90とトリチウムの測定を開始した。すると早速、大熊町で採れたお茶の葉から1kg当たり3ベクレル相当のストロンチウム90が検出された。

「ストロンチウム90は体内に入ると体がカルシウムと勘違いして骨に取り込まれ、細胞やDNAを壊す危険性が大きい。しかも生物学的半減期が50年以上もあるのです」(ベータ線放射能測定プロジェクト顧問で工学博士の天野光氏)

こんな現状で、一般住民に年間20mSvの被曝を適用するのはやはり尋常ではない。

2011年4月に文科省が学校の放射線量を年間20mSv以下に定めた時には米国に本部のある世界的組織、核戦争防止国際医師会議が高木文科相に宛てた書簡で「1mSv被曝すれば1万人に1人、固形がんにかかるリスクが増える」と言及。そして「(大人よりもリスクの高い)福島の子供たちにそのような有害なレベルの被曝を許容することは許し難く、子供たちと将来の世代を保護する義務の放棄」と強い調子で非難した。

だが、経済優先で復興加速化したい政府や地元自治体には、こうした声に耳を傾ける余裕すらない。となると結局、最後にリスクを背負うのは福島の住民だ。
(取材・文・撮影/桐島 瞬)

福島・楢葉の避難者、不安根強く 避難指示解除へ 「帰れる環境ではない」 

2015年6月29日 新潟日報
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20150629190032.html

一緒に町を訪れた新潟市の友人に町の様子を説明する渡辺光明さん(左)=福島県楢葉町
東京電力福島第1原発事故で避難区域となり、住民約7400人の全町避難が続く福島県楢葉町。本県にも60人余りが避難しているが、その1人、渡辺光明さん(62)に同行して20日に町を訪れた。政府は8月のお盆前までに避難指示を解除する考えを17日に示したが、住民の不安は根強い。町に戻っても安心して暮らせるかどうか疑問を感じた。(報道部・小柳香葉子)
    ◇    ◇
渡辺さんの自宅から500メートルほど離れた海沿いの地区に、ビニールシートで覆われた小さな台形の山がいくつもあった。かつては田んぼだったのだろう。不自然さを感じる緑色のシートの下には、放射性物質を含んだ汚染土などを詰めた「フレコンバック」(除染袋)があるという。

周囲にはコンクリートの土台や門の跡があり、津波被害に遭った場所だと分かる。近くには、除染廃棄物の仮設焼却施設ができる予定だ。

「ここは散歩をしたり、釣りに行ったりするときによく通った」。渡辺さんは変わり果てた景色を前にさみしそうに語った。

焼却施設が稼働したときの放射線量はどうなるのか、除染廃棄物がいつなくなるのか…。渡辺さんは不安を感じずにはいられない。「住宅の周辺には廃棄物などは見えないが、そこだけで暮らすことはできない。解除は時期尚早だ」と強調した。
    ◇    ◇
渡辺さんの自宅前には広大な畑が広がっている。原発事故前、渡辺さんはこの約3ヘクタールの畑でジャガイモやゴボウを育てていた。かつてはその下で、親戚とよくバーベキューをしたという庭の柿の木もあった。

線量計で空間放射線量を測ると毎時0・20~0・25マイクロシーベルトを示した。新潟市とは一桁違う高さだ。渡辺さんは毎年、干し柿にする柿の実を取った木を見上げながら「今はセシウムが出てしまうのかな」とつぶやいた。

渡辺さんは避難指示が解除されても新潟に住み続けるつもりだ。「楢葉では積極的に農作物を作る気にはなれない。廃棄物が片付くのを待っていたら年を取ってしまう」と話す。

自宅から少し歩くと除染廃棄物がある暮らしは普通とはいえない。住民の不安の声を政府は聞き、その上で復興を進めてほしいと渡辺さんは考える。「政府は急いで解除をして、何事もなかったかのようにしたいのだろうか」
    ◇    ◇
8月の避難指示解除に疑問を感じているのは渡辺さんだけではない。楢葉町には買い物できる商店が少なく、隣の富岡町に行くことが多かったというが、富岡町はまだ除染の途上だ。来年2月に県立の診療所ができるまで、病気になっても楢葉町外の医療機関を利用するしかない。

楢葉町を訪れた翌日、楢葉町の住民懇談会がいわき市で開かれた。政府は「雇用の場の確保に取り組んでいる。水道水は放射線量をしっかり測定しているので安全だ」などと説明した。しかし、参加した住民からは不安の声が相次いだ。

同市に避難する男性(67)は「解除後の防犯や急病人への対応が心配」と声を上げた。男性は解除後、楢葉町に帰って農業をしたいと考えている。だが、男性はきっぱりと言う。「水道水を飲むのは心配。まだ安心して住める環境ではないのに解除するのは反対だ」

2015/06/28

FoE Japanより/7/2住宅供与打ち切りおよび避難指示の解除について、政府交渉を開催

7月2日に、FoE Japanで住宅供与打ち切りおよび避難指示の解除について、政府交渉を開催しようと準備中です。当日はぜひご参集ください!

★渦中の楢葉町からの避難者で発言してくださる方を探しています!
お心当たりの方がいましたら、ぜひご紹介ください!

★記者会見では、避難指示解除が中心になりますが、後半の政府交渉は、住宅支援打ち切りと避難指示解除と、同じくらいの比重でやります。

12:00~13:00 記者会見
発言者(予定・調整中):
吉田由布子さん(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)
長谷川健一さん(飯館村在住/ヒダンレン)
坂本建さん(富岡町から神奈川県に避難)
武藤類子さん(福島原発告訴団)
伊藤和子さん(ヒューマン・ライツ・ナウ)
満田夏花(FoE Japan)など

政府交渉前の打ち合わせ:13:10~13:40
★署名提出:13:50~14:00:相手方 内閣府(住宅支援継続を求める署名)
★政府交渉:14:00~15:30:相手方 内閣府・復興庁・国土交通省
市民側:福島の被災当事者、支援者、弁護士など

15:30~16:30
一般向け集会~今後に向けて

7/4「郡山対話の会(コミュニケーションの”場”を作る会)」のお知らせ

福島県のフクシマン・マサです。
福島に生きる人にとっても、福島から離れて暮らす人にとっても、困難な状況が続いています。


おしどりマコ・ケンさんが、DAYS JAPAN 7月号に書いてくれた、渾身のレポートを読み、大きなショックを受けています。

県民健康調査検討委員会が、小児甲状腺異常"多発”を認める中で、国や県は、自主避難者への住宅支援の打ち切りを強行しようとしています。

こうした無情な措置に対し、放射能に不安を感じる同じ県民として、あまり力になることができず、大変申し訳なく思っています。

自分は今、子どもたちを被ばくから守りたいと願い、細々ですが3つの活動を行なっています。
1. 「食品に含まれる放射性物質検査のダイジェスト配信」
2. 「4年目のホットスポット(ホットスポットファインダーでの測定結果の動画配信)」
3. 「コミュニケーションの“場”づくり」

3番に関しては、一度だけですが、放射能に不安を感じる人たちのオフ会を開催させていただいたことがあります。

今日は、「コミュニケーションの“場”づくり」についての投稿をさせてください。
自分は今、郡山市で定期的に開かれている、「郡山対話の会」に参加しています。

郡山対話の会は、「福島で生活する人たちが、放射能のことを含め、さまざまな不安や、人に話しにくい小さな声を、安心して話せる『場』をつくりたい」と願う、一人の郡山市民と、それに応えて集まった仲間たちにより始まりました。

震災の翌年から始まり、これまでに14回、開催されてきました。(行政の援助は受けていません)。

今、福島では「リスクコミュニケーション」の名のもとに、「今の福島に放射能のリスクはない」という一方通行のコミュニケーションが行なわれている気がします。

放射能に不安を感じる人たちは、不安な気持ちを口に出せない・・・言いたいことが言えない・・・

私自身が「抑圧」されていると感じ、郡山に暮らしていますので、そうした人たちにこそ、「コミュニケーションの“場”」が、必要なのではないかと感じています。

しかし、福島に暮らし続けるという「選択」避難するという「選択」20ミリシーベルトまでは大丈夫なんじゃないかという「選択」1ミリを守ってほしいという「選択」抗議型の運動を展開すべきだという「選択」行政を敵に回すのではなく、行政と力を合わせて運動してゆくべきだという「選択」一人一人が選んだ「選択」が違うために、私たちはバラバラになってしまいました。

しかし、選択は違っても、その根っこにある「命をまもる」という願いは共通のはずです。

郡山対話の会は、違いを越え、同じ根っこの元につながりなおし、共に生きる社会という、大木を育てることを目的に、開かれています。

きたる7月4日(土)に、第15回の対話の会が開かれます。

難しいことを考える“会”ではなく「王様の耳はロバの耳~」と、言いたくても、なかなか言えなかったことを、自由にコミュニケーションしあえる“場”を目指していますので、
(別名…福島の王様の耳はロバの耳の会)
不安な気持ちを口に出せない・・・言いたいことが言えない・・・という悩みを抱えている皆さん、(私も主催者の一人として参加させていただくのですが、)もしよかったら、お気軽にご参加ください♪

PS.今、フクシマに暮らしていて思うこと・・・
それは、放射能のことに不安を感じるお母さん(お父さん)も沢山いるけれど、
そうでない人たちも沢山いるということです。

もしも、自分の知りたい情報しか見ず、話したい人としか、話さないでいたら、私たちは、裸の王様となってしまうかもしれません。

郡山対話の会では、放射能のことを不安に感じる人たちの声を大切にすると同時に、そうでない人たちの声も、大事にする必要性を感じています。

違いを越えて、共に生きる社会をを求める方なら、誰でも参加可能ですので、みなさん、お気軽にご参加くださいね♪


《開催日時》2015年7月4日(土) 11時~18時

《場所》  ミューカルがくと館  (和室)
      〒963-8851 福島県郡山市開成一丁目1番1号
      電話番号:024-924-3715
         
         http://www.city.koriyama.fukushima.jp/

《参加対象者》違いを越えて、共に生きる社会を求める方なら誰でも参加可能です。
       福島県内の方も、県外の方も、お気軽にご参加ください♪

《主催》   郡山対話の会
       ~ひとり一人の声に耳を傾けるダイアローグ~

《参加費》  会場費を参加者で割り勘 500円~1000円の間ぐらいです。

《申込方法》 当日の飛び入り参加も大歓迎!

       あらかじめ申し込み・お問い合わせいただく場合は、
       フェイスブック 郡山対話の会
       ~ひとり一人の声に耳を傾けるダイアローグ~
  
           https://www.facebook.com/events/839800712767540/
       から申込みいただくか、
       下記メールにまでご連絡下さい。
       masa219@willcom.com

《郡山対話の会運営メンバー》
 佐久間香里 

 郡山市在住の二児の母。避難から戻ったお母さんたちから始まり、 現在は参加者全てが安心して話せる居場所作りのサークルを仲間と活動中。

フクシマン・マサ
郡山市在住の社会福祉士。放射能について不安を感じ、ホットスポットの測定結果を動画にするなどの活動を続けている。

https://www.youtube.com/watch?v=EzZTOZAt3vQ

桐山岳大
個人、夫婦、家族、組織、地域の葛藤や混乱に向き合う東京在住の心理カウンセラー。プロセスワーカー。

山田主規
関東を中心に、福島県においても多数の企業の再建、活性化を手掛けてきたビジネスコンサルタント。

佐藤泰幸
会社員。宮城県在住。現在は主に東北で対話の場を起こして行こうと活動中。

《その他》 

※会場までの交通手段がない方は、主催者までご連絡ください。
 主催者や他の参加者さんとの相乗り等で、送迎を調整します。

※昼食について各自ご持参いただくか、会場から徒歩5分程度の所にレストラン及び

 コンビニがございます。

※託児について託児体制は整えておりませんが、お子さん連れの参加も歓迎します。
 その場合、参加者全員で自主的にお子さんの相手をさせて頂くことをご了承ください。
 私たちは、お子さんも大事な参加者のひとりと考えています。

福島/校庭を再び芝生に 原発事故で除去 児童ら苗植え付け

2015年6月28日 福島民報
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/06/post_11848.html


芝の植え付け作業に励む参加者
■桑折の伊達崎小
桑折町の伊達崎小で27日、校庭を芝生化する伊達崎グリーンプロジェクトが繰り広げられた。

平成22年6月、県のうつくしまグリーンプロジェクト事業を活用して校庭に芝生を整備した。しかし、翌年の東京電力福島第一原発事故に伴い、校庭の放射線量が上昇。刈り取りや洗浄などの対策を施したが効果がなく、芝を剥がした。

地域住民や保護者から再び芝生を整備してほしいとの声を受けて今年1月、伊達崎グリーンプロジェクト事務局が活動を始めた。苗は日本サッカー協会が提供した。

植え付け作業には児童と保護者、地域住民、教職員ら約350人が参加した。開会セレモニーで、高橋宣博町長が放射線対策の経緯を説明し、「皆さんの力で芝生化したい」と呼び掛けた。この後、一列に並んで校庭約50アールに苗を植えた。雨が降るあいにくの空模様の中、青々とした校庭の再現を目指して作業に励んでいた。

今後、芝生に水や肥料を与え、8月末ごろから校庭が使用できるという。秋には冬用の芝も植える。

県が事業に協力しており、28日は大玉村の大山小で実施する。

福島/<最終処分場>設置場所に疑問の声・富岡

2015年6月28日 河北新報 
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150628_61011.html


既存処分場の国有化方針などについて説明する環境省の担当者=27日午前、郡山市
福島県富岡町に計画されている東京電力福島第1原発事故に伴う指定廃棄物などの最終処分場をめぐり、環境省は27日、富岡町民を対象にした説明会を郡山、いわき両市で開き、既存の民間管理型最終処分場を国有化する方針や追加の安全対策などを示した。町民からは安全性や設置場所の選定に対する疑問の声が相次いだ。

郡山市での説明会には約70人が出席した。町の第2次復興計画策定委員を務めた遠藤秀文さん(43)は、処分場が町内でも放射線量が比較的低い区域にあることに触れ「町の再生は放射線量の低い場所からスタートする。町の玄関口に処分場を設置するのは違和感がある」と発言した。


須賀川市に避難する元日本原子力発電理事の北村俊郎さん(70)は「場所選定のプロセスやデータを示さず、ばかにしている」と批判。国有化についても「どこまで直営で管理して、いつまで管理するのか分からない」と意見を述べた。


約50人が出席したいわき市の会場では、僧侶の早川光明さん(64)が27、28両日の計4回で終了する説明会の在り方を問題視。「町の重要問題なのになぜ議論を急ぐのか。仮設住宅でも説明会を開くべきだ。アリバイづくりだと思わざるを得ない」と訴えた。


環境省の計画では、最終処分場は既存の産廃処分場「フクシマエコテッククリーンセンター」を転用する。「国の責任の明確化が不可欠だ」との町側の要望に応じる形で、同省は今月5日、国有化の方針を表明。地域振興策として町に自由度の高い交付金を措置する方針も打ち出し、説明会を1年ぶりに開催した。

東京/住民「安心できない」=福島・楢葉町の避難解除

2015年6月28日 時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015062800117

東京電力福島第1原発事故の影響でほぼ全域に避難指示が出ている福島県楢葉町の指定解除をめぐり、政府主催の住民懇談会が28日、都内で行われた。政府が示す「お盆前」の解除について、住民側からは「まだ安心できない」との意見が相次いだ。

懇談会は19~28日までの計8回で、358人が参加し終了。今後、政府が解除の時期について判断する。7月5日までと期限が迫っている準備宿泊については、延長が見込まれる。

福島県いわき市から参加した坂本修一さん(54)は「安全と安心がなければ、住みたいとは思わない。解除の前に環境を整えてほしい」と話した。

滋賀/原発避難者が生の声 彦根で勉強会

2015年6月28日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20150628/CK2015062802000012.html
 
写真
被災地から避難し体験を語る青田さん夫妻(右の2人)と高橋さん(右から3人目)=彦根市で
 東京電力福島第一原発事故の避難者を招いた勉強会が27日、彦根市小泉町のひこね燦(さん)ぱれすであった。市民団体「彦根・愛知・犬上 原発のない社会をつくる会」が主催し、近隣市町の市民70人が、避難者の生の声に耳を傾けた。

原発から二十~三十キロ圏内の福島県南相馬市で被災し、大津市に逃れた青田勝彦さんと、昨年十二月に小学生の子ども三人を連れて仙台市から京都市に移った高橋知美さんの二人が今の心情を話した。

事故以前から原発反対運動に関わってきた青田さんは、「国と東電が憎い。何も悪いことをしていない住民が、いまだに全国に散っている。帰還者には支援があるが、避難者には厳しい」と厳しい現状を説明。公の場で初めて話すという高橋さんは、「放射能の受け止め方が人によって違う」と自暴自棄になった日々や、「子どもを守りたい」と北海道などに自主避難し、離婚を決断せざるを得なかったことなどを振り返った。「自分の身になって分かったこと。想像してもらえたら」と訴えた。

つくる会の会員はこの日、四百四十二人に。今後も勉強会を随時開く。
(河辺嘉奈子)

[福島日報ダイジェスト] 福島食品モニタリングダイジェスト5/27・29

(フクシマンの福島リポート http://ameblo.jp/masa219koro/  からメルマガ登録できます。子ども全国ネット)

5月27日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、いわき市、平田村などで、農産物、水産物など237検体について放射性セシウムの検出検査が行われました。

その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。

全体の約13%に当たる31件の検体から測定下限値を超える数値が検出されました。主な品目、産地、数値は次の通りです。


富岡町産のシロメバル1件から 65.4Bq/kg
福島市天戸川(あまとがわ)産のイワナ1件から 62.9Bq/kg
福島市手沢(てざわ)産のイワナ1件から 38.5Bq/kg
金山町沼沢湖(ぬまざわこ)産のヒメマス1件から 37.6Bq/kg
西郷村阿武隈川産のイワナ1件から 14.6Bq/kg
西郷村堀川産のヤマメ 1件から 12.4Bq/kg
福島市阿武隈川産のギンブナ1件から 9.97Bq/kg


つづきまして、5月29日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、二本松市、三春町、大玉村などで、農産物、水産物など48検体について放射性セシウムの検出検査が行われました。

その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。

全体の約8%に当たる4件の検体から測定下限値を超える数値が検出されました。その品目、産地、数値は次の通りです。


相馬市産のワラビ1件から 19Bq/kg
昭和村産の露地栽培の原木シイタケ1件から 18.5Bq/kg
大玉村産の野生のモミジガサ1件から 9.99Bq/kg
大玉村産の野生のウワバミソウ1件から 9.95Bq/kg

以上、福島県発表「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」をダイジェストにしてお伝えしました。

詳しくお知りになりたい方は、福島県のHPより「ふくしま新発売」、厚生労働省 および、 郡山市のHPより「食品中の放射性物質の検査結果について」をご覧ください。

※過去の動画が見たい方は、こちらへ・・・
英語版「4年目のホットスポット ~通学路編~」
https://www.youtube.com/watch?v=JumdkC3NC8E
英語版「4年目のホットスポット ~公園編~」https://www.youtube.com/watch?v=B9GMOquaXLQ
「4年目のホットスポット ~通学路編~」http://www.youtube.com/watch?v=aP4JkpSyrqY
「4年目のホットスポット ~公園編~」https://www.youtube.com/watch?v=EzZTOZAt3vQ
「フクシマの桃源郷 花見山 放射能測定」http://www.youtube.com/watch?v=z_epBHwjdxY&sns=em


※現在厚労省ダイジェスト福島県版は、ココラジ(郡山市のコミュニティーラジオ)で放送中の、「放射性物質検査結果報告」の放送原稿をお借りして、投稿させていただいています。

ココラジ(FM79.1Mz)の、「放射性物質検査結果報告(厚労省ダイジェスト・ラジオ版)」の放送時間は、毎週「月曜~金曜」の、「午後16時40分」になります。

参照:
http://www.kocofm.jp/

※スマホやパソコンから全国での視聴も可能です。


※過去のダイジェストが見たい方は、こちらへ…
http://ameblo.jp/masa219koro/
(アメブロにアドレスから入れない方は、タイトル「フクシマンの福島リポート」で検索してみて下さい)

2015/06/27

<セシウム>福島沿岸の魚介類 全検体国基準下回る

 2015年6月27日
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150627_63042.html

福島県が沿岸海域で実施している魚介類の放射性セシウム濃度のモニタリング検査で、4、5月と2カ月続けて全検体が国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を下回った。県水産試験場が26日、いわき市であった県漁連組合長会議で報告した。

基準値超の検体は2月もゼロ、3月は一つだけで、6月も22日までゼロとなっており、試験場は「魚介類の汚染は収束しつつある」と分析している。各月とも700検体前後を調べた。

検査は2011年4月から行われ、基準値超の検体の割合は11年39.8%、12年16.5%、13年3.7%、14年0.9%と下がった。14年6月以降は、基準値超が1%未満の1~5検体で推移し、15年2月に初めてゼロを記録。不検出(検出限界値未満)の割合も80~90%が続いている。

県漁連は1キログラム当たり50ベクレル以下の独自基準を設け、試験操業で捕れた魚介類を出荷している。26日の組合長会議では、5月18日~6月22日の997検体のうち、3検体が51~66ベクレルだったと報告されたが、いずれも国が出荷を制限し、試験操業の対象外の魚種だった。

県水産試験場は「確実にセシウム濃度が下がっている。今後も基準値超の検体がゼロかゼロに近い傾向は変わらない」とみている。

北海道/福島県の子どもたち招く、今年は8月4~10日に

2015年6月27日 北海民友
http://www.minyu.ne.jp/digitalnews/digitalnews.htm

福島第一原発事故による放射能漏れのため現在も屋外活動を制限されている福島県南相馬市の子どもたちを紋別に招き、安心して外遊びを楽しんでもらう企画「わくわく体験オホーツク」。主催する南相馬の子供達を招く会(桒原務緒実行委員長)は、3年目となるこの企画を8月4日~10日に行う。しかし東日本大震災の発生から4年が過ぎ、被災地以外での関心や公的機関などからの支援は、年々縮小しているのが現状。同会では「オホーツクの子どもたち、市民の方々との交流を通じて被災地の現状を知っていただき、行政、民間団体、企業、多くの地域住民との協力関係をつくり、共助を基本とした社会づくりに寄与したい」として、事業に対する物心両面での支援者を募っている。

今年は25日までに小学5・6年生の女子児童11人の申し込みがあった。

子どもたちは8月4日に南相馬を出発し、バス、フェリー(船中泊)、バスを乗り継いで5日午後7時ごろ紋別に到着する予定。さっそく歓迎パーティを開き、紋別のボランティアと交流する。

6日から8日までの3日間は豊富な自然体験メニューを用意。特に8日(土)は朝からコムケ湖でカヌー体験などの水遊びを中心に野鳥・植物の観察も楽しみ、そのまま湖口近くにある三室番屋に宿泊する。

このほか6日にはスカイタワーやゴマちゃんランド、オホーツクタワー、ガリンコ号などの観光スポットを巡り、7日には興部町での各種体験講座を計画している。昨年は興部町のバイオガス活用施設も見学し次世代エネルギーへの関心を高めた。

9日は午前9時に三室番屋を出発し、帰路に就く。


(25日に紋別市総合福祉センターで開いた実行委員会。桒原実行委員長が進捗状況などを報告した=写真=)

栃木/原発事故で客足減って つり場の母“奮戦” 自慢の魚や山菜商品化

2015年6月27日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150627/CK2015062702000138.html


地元産の食材で作った商品を手にする塩生美智子さん=日光市で



 「つりコン」が企画された背景には、原発事故の影響で減った客足を何とか取り戻そうという思いがあった。「三依渓流つり場」を家族で営む塩生康幸さんの母、美智子さん(61)も必死に歩んできた。

東日本大震災と原発事故は、康幸さんが東京での会社勤めを辞め、後継ぎとして地元に戻り両親と経営を始めようとしていたところで起きた。放射線の風評被害で誰も釣り場を訪れず、客数、売り上げともに半減した。地元産の山菜やキノコも売れなくなった。

「三依に独身者が多く、お嫁さんが来なかったこともあり、釣りに来てくれるお客さんと女性の出会いの場もつくりたかった」と美智子さん。

原発事故から一年四カ月後の二〇一二年七月に「つりコン」を初めて開催。美智子さんは康幸さんと話し合い、自慢の川魚や山菜を使った商品を次々に考案した。

マスの身を削った自家製ふりかけ、サンショウのつくだ煮など商品はどれも手作り。震災前から作っていたイワナ、ヤマメ、マスの甘露煮の数も増やした。美智子さんは「息子が、私の作ったものをみんなに食べさせたいというので、仕事がどんどん増える」と苦笑する。

商品は釣り客がお土産に購入してくれるほか、インターネットでの問い合わせも増えた。苦境からの創意工夫で遠のいた客足を取り戻し、現在は客数や売り上げが震災前の八割まで回復しているという。

フクシマからの報告:/3 帰還 阻む放射線/除染進まず11万人今も避難 

 2015年6月27日 毎日新聞http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20150627ddlk46040293000c.html

東京電力福島第1原発事故などにより、福島県内では約11万2000人(県内避難約6万6000人、県外避難約4万6000人)が避難。広大な面積が放射線物資によって汚染され、立ち入りや宿泊が制限されている。

避難指示区域は年間積算放射線量に応じ、立ち入り制限の帰還困難区域(50ミリシーベルト超)と、宿泊が制限される居住制限区域(20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)と避難指示解除準備区域(20ミリシーベルト以下)に分けられている。

居住制限区域と避難指示解除準備区域については、国が直轄で除染を行っているが、放射線量の高い帰還困難区域の大部分は除染をどうするか4年経過しても決まっていない。同原発が立地する双葉町と大熊町は、約96%が帰還困難区域で今も全町民が避難している。

双葉町の伊沢史朗町長は「役場や学校などの拠点エリアの除染を拡大すれば、町に戻ることも可能だと思う」と町存続を模索するのだ。

除染自体もはかどってはいない。同じく全町民が避難している浪江町は、49行政区のうち三つしか除染は終わっていない。

6月上旬に、同町内で除染の状況を取材したが、宅地は草を刈り表土を約5センチ削り、屋根は拭き取るという作業が黙々と続けられていた。一般的な庭、駐車場付きの2階建て民家1棟で作業は延べ約2週間かかるという。

国は居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を2017年3月までに解除する目標を決めた。同町の馬場有町長は「除染ができないとインフラ復旧が始まらない。除染を2年足らずで全部できるか少し疑問」と懸念する。

除染が終わり避難指示が解除されても、帰還が進むとは限らない。昨年10月に避難指示が解除された川内(かわうち)村東部地区。帰還人口は約12%で、いち早く12年1月に「帰村宣言」を打ち出し同村は全体でも約6割にとどまる。

その要因に、除染されても残る放射線への不安▽周辺が解除されないと、医療、福祉、教育、雇用などの生活・商業圏が分断されたまま▽避難先で根づいた生活−−などがあげられる。また、広大な山林は除染の対象外だ。

同村の50代女性は、避難生活で体調を崩したという夫といわき市内の仮設住宅で2人暮らし。「川内村に帰っても、病院に夫を連れていくのに時間がかかる。息子夫婦も放射線の子どもへの影響を心配して帰っていない」と話す。

双葉町などでは13年と14年に、住民の帰還意向を調査した。「戻りたい」「判断がつかない」と帰還を諦めていない層が27・7%から40・2%に上昇した。伊沢町長は「ふるさとに対する思いと、我々がある程度町の将来を示せるようになったことだろう」と話す。
    ◇   ◇
被災地を走ると、「いつの日か 我が家に戻るその願い 心に秘めて除染中!」などと除染作業を鼓舞するのぼりが目につく。その「いつの日か」が悲しい。【宝満志郎】
==============
 ■ことば
 ◇放射線被ばく
 国の基準値(自然放射線や医療は除く)は年1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)。国際放射線防護委員会(ICRP)の指針では、年1〜20ミリシーベルト。広島・長崎の原爆による被ばく調査では、累積100ミリシーベルトを超えるとがんで死ぬ率が高まるとされているが、100ミリ以下でもどこまで安全かという科学的目安はないという。

群馬/福島第1原発事故 みなし仮設、無償打ち切りに悲痛な声 自主避難者「生活できぬ」

2015年06月27日 毎日新聞地方版http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150627ddlk10040083000c.html

東京電力福島第1原発事故の避難者が暮らす「みなし仮設住宅」を巡り、福島県が自主避難者への無償提供を打ち切る方針を示している。県内の自主避難者からは「生活できなくなる」と悲痛な声が漏れ、「支援を受けられる強制避難者との溝がさらに深まってしまうのでは」との懸念も聞こえてくる。【尾崎修二】

 ◇「強制」との溝に懸念も
福島県いわき市から県内に避難し、市営アパートの「みなし仮設」で暮らす女性(43)は、保育園と小中学生の子供3人を1人で育てる。保険外交員の仕事と、市からの児童扶養手当を加え、何とかやりくりしているのが現状だ。

女性は震災直後、栃木や群馬を転々とし、いったんいわきに。12年1月に群馬に移住したが夫はいわきに残り、12年秋に離婚した。今回の打ち切り決定について「自主避難者が受けている唯一の支援なのに」と落胆する。打ち切りは自主避難者の帰宅を促すのが狙いの一つとされるが、「職場にも慣れて友達もできた。戻るにしても家を探さないといけない。行政は子育て世帯を受け入れる姿勢をもっと見せてほしい」と訴える。

福島県中通りから避難した別の女性(52)は、これまで多くの知人が強制避難者への恨みを口にするのを耳にしてきた。「国が決めた線引きのせいで、近くの町の人が毎月10万円をもらう様子を見れば、どうしてもうらやましくなる。みなし仮設の支援打ち切りは、強制避難者と自主避難者との溝を広げてしまうのでは」と心配する。

県内の避難者が国と東電に損害賠償を求めている集団訴訟でも、多くの自主避難者が原告に入る。弁護団の関夕三郎事務局長は「自主避難者には、子供のために仕事を辞めたり離れて暮らしたりする人も多いのに賠償は手薄。『福島の人は多額の賠償をもらっている』と誤解されており、決定は残酷だ」と話す。

26日は集団訴訟の口頭弁論が前橋地裁(原道子裁判長)であり、原告11人が本人尋問に立った。ある自主避難者の男性は「故郷を離れた精神的苦痛は自主も強制も同じだ」と述べた。

県危機管理室によると、6月3日現在、1289人が県内で避難生活を送っている。自主、強制避難者の割合は集計していない。

福島県は15日、みなし仮設住宅の自主避難者への無償提供を17年3月末で打ち切る方針を決定。強制避難者は追加延長を個別に判断するという。強制避難者には東電から毎月10万円が支払われているが、自主避難者は行政による住宅提供がほぼ唯一の支援となっている。

2015/06/26

栃木・塩谷町、現地調査急ぐ環境省に改めて「NO」

 2015年6月26日 テレビ朝日


放射性物質を含む指定廃棄物の処分場候補地に名指しされた栃木県塩谷町が、現地調査を急ぐ環境省に改めて「NO」を突き付けました。

塩谷町によりますと、25日、環境省が突然、処分場建設の前提となる住民への説明会の開催と現地調査を町に文書などで申し入れたということです。これに対し、塩谷町側は強く反発し、申し入れ文書を小里環境副大臣に返却しました。塩谷町は、処分場の在り方を巡って有識者会合が見直し作業を進めているにもかかわらず、環境省が塩谷町での処分場建設にこだわっていると反発を強めています。


塩谷町“指定廃棄物”巡り環境省の説明拒否

2015年6月26日 読売テレビ
http://www.ytv.co.jp/press/mainnews/TI20177645.html


福島第一原発事故に伴って発生した放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分を巡り、栃木県内の処分場の候補地に指定された塩谷町が、環境省の説明を改めて拒否した。

塩谷町の職員は、小里環境副大臣に見形町長の名義の文書を手渡した。文書では、処分場の建設を前提とした環境省の説明を改めて拒否している。

塩谷町は福島第一原発事故に伴って発生した栃木県内の「指定廃棄物」の処分場の候補地に指定されており、環境省は25日、塩谷町を訪れ、処分場の必要性を説明する場を設けてほしいと求めていた。

一方、指定廃棄物を、それぞれの都や県の中で処分するという政府の方針などについて議論する会議が開かれた。方針についての異論は出なかったが、塩谷町のように処分場の候補地に指定された自治体が建設に反対する動きは、栃木県や宮城県などで起きている。

 

韓国、水産物禁輸崩さず 政府間協議は平行線で終了

 2015年6月26日朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH6T5QJHH6TUHBI01P.html

 東京電力福島第一原発事故からの汚染水流出を受けて、韓国が福島など8県の水産物の輸入を禁止している問題で、25日、日韓両政府の二国間協議がスイス・ジュネーブであった。非公開で前日から続いた協議は妥結せずに終わった。日本側が規制撤廃を求めたのに対し、韓国側は応じず、協議は平行線のままだった。

韓国は2013年9月から、福島第一原発の汚染水流出による放射能汚染の可能性を理由に、福島、茨城、群馬、宮城、岩手、栃木、千葉、青森の8県の水産物の輸入を禁止。この影響で12年に2万3233トンだった韓国の日本産水産物の輸入量は、13年は2万723トン、14年は1万8285トンに減った。

日本側は、韓国の規制には「科学的根拠がない」などとして規制の撤廃を求め、今年5月下旬に世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きに入った。今回の協議はこの紛争解決手続きの一環として開かれ、交渉関係者によると、韓国側は規制について「国民の健康のための措置で、WTOの規則に沿ってとられている」などと主張し、従来の姿勢を崩さなかった。

両国は昨年12月と今年1月、共同で福島県、北海道、青森県の魚介類の放射性物質を調査。日韓どちらの調査結果でも基準値(1キロあたりセシウム100ベクレル)を上回るものはなかった。危険性が高いストロンチウムやプルトニウムは、日本側の調査では検出されず、韓国側の調査でもごく微量だった。

こうした結果が出ても、韓国では、日本産水産物に対する国民の根強い不安がある。

一方で、韓国政府内には、禁止措置には科学的な根拠が乏しいとの意見も出ていた。昨年9月には消費者団体らが参加する専門家委員会を設け、科学的な妥当性の検討を開始。日本産水産物に対する世論の動向も見ながら結論を出そうとしていた。ただ、日本側がWTOへの提訴手続きに入ったことで、韓国側が態度を硬化させた。

韓国産業通商資源省次官補は22日の記者会見で、「放射能の潜在的な脅威から韓国民の生命と健康を保護するための措置だ」と改めて説明。「措置の正当性の証明に最善を果たす」と譲らない姿勢を見せていた。

日本側交渉筋は「結果を持ち帰って精査した上で今後の対応を決める」としているが、交渉期限の7月20日までに妥結しない場合、紛争処理を扱うWTOの小委員会に判断がゆだねられるとみられる。その場合、日本側はWTOへの正式提訴に移り、手続きは最短で9月に完了する見通しだ。

(松尾一郎=ジュネーブ、東岡徹=ソウル、大畑滋生)

福島/楢葉町学校再開検討会 避難世帯に意向調査

2015年6月26日 福島中央テレビ 
http://www.fct.co.jp/news/news_30792544.html?url_day=201506261212
写真
 
国がお盆前までに避難指示を解除したいとした楢葉町の学校再開を検討する会がきのう開かれ、来月末にも結論を出すことになった。

楢葉町の3つの学校と認定こども園は、いわき市内に仮設校舎を設けていて、180人ほどが通っている。

故郷での学校再開を話し合う検討会には、保護者などが参加し、来月上旬に子どもと県内外に避難しているおよそ450世帯に意向調査をし、来月末までに学校の再開の時期などの考えをまとめることを決めた。

*楢葉町学校再開検討委員会・矢内賢太郎副委員長
「再開にあたってはいわきの仮設の校舎は閉校する」
子どもたちは故郷に戻るか、避難先の学校に転校するか判断を迫られることになりそう。

県外自主避難者への支援打ち切りで追い詰められる「母子避難者」

2015年06月25日 週刊プレイボーイ
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/06/25/49730/

6月15日、原発事故による自主避難者への住宅無償支援を2017年3月で打ち切る方針を福島県が発表した。

対象となるのは、およそ2万5千人。内堀雅雄知事は「これから2年間で区切りを、という国の考え方もある」と国の意向を強調した。

「自主避難者」とは原発事故を機に国の避難指示のない地域から自らの意思で避難した人々を指す。事故直後の11年4月、政府は福島県内の年間被曝線量の上限を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げ、20ミリ以下の地域は避難の必要はないとした。

とはいえ、事故前と比べると放射線量が10倍から数百倍という地域もある。そこに住む人々、子供の健康被害を不安視する子育て世帯が自ら避難を決断したのだ。

この「自主避難者」と、20ミリシーベルトを超えるとされる避難指示区域から避難した「強制避難者」とでは賠償や支援に大きな差がある。自主避難者にとっては、災害救助法による住宅の無償提供が唯一の支援ともいえるものだった。

今回、それが打ち切られることが決まり、自主避難者はふたつの選択を迫られている。17年4月以降、家賃を支払って避難を続けるか、それとも事故以前に生活していた福島の自宅に戻るか(すでに住居を引き払ったケースもある)だ。

こうした中、難しい局面に立たされているのが「母子避難者」だ。夫を福島県に残し、母と子は県外で暮らすという二重生活を続ける家族や離婚を経て県外で自主避難を続ける母子もいる。支援打ち切りの発表に肩を落とす、逃げ場のない母子避難者たちの窮状を聞いた。

【ケース1】五十川理沙さん(仮名)。長女(14歳)、次女(13歳)と福島県郡山市から新潟県に避難中

尋常ではない子供の鼻血、外遊びができない不自由さから12年3月に避難を決意。福島に残る夫とも行き来がしやすい新潟を選んだ。

「今、自分たちがどうやって生活を維持しているのか、不思議なくらいです。会社員の夫の収入は30万円以下で、私の稼ぎは事務のパートで数万円程度。そこから家のローン、水道光熱費や食費を支払っています。二重生活ですから家のローン以外は倍かかってきます。夫にお小遣いも渡せないですし、医療保険も解約しました。ここに家賃が発生するなんて…」

と、五十川さんは途方に暮れる。放射線の影響を考えると子供を連れて福島に戻るという考えはない。震災後に購入した放射線量計で郡山の自宅を測定すると、今でも事故前より数十倍、局所的には100倍近い放射線量がある。「高校は新潟で選びたい」という子供の気持ちも尊重して二重生活は続けるつもりだ。

郡山の自宅は「夢のマイホーム」だった。築7年のわが家はもうすぐ住まなくなった期間のほうが長くなる。好みの家具をひとつずつそろえていた。今は夫がひとりでそこに暮らす。

「いざとなったら手放すしかないと思っています。惜しくて決断できなかったけれど、住宅の支援を打ち切られたら家を売って、夫には郡山の実家に住んでもらうしかない」

と表情には苦悩がにじむ。避難先での生活再建もうまくいっているとはいえない。求人に応募しても「避難者だからいずれ帰るでしょう」と雇ってもらえないこともあった。

「これまで全国の自主避難者の方たちと一緒に『住宅支援を打ち切らないでほしい』と訴えてきました。でも、福島県は『国と協議中』と言い、一方の国は『福島県の意向が届いていない』と責任の所在も明らかにせず、なすりつけ合いのような対応を繰り返してきました。

同じ国に住んでいるのになぜ自主避難者たちと真剣に向き合ってくれないのか。私たちは『棄民』なんじゃないかと思ってしまうこともあります」

●発売中の週刊プレイボーイ27号では、さらに二組のケースを紹介しているので、ぜひお読みください!

(取材・文/吉田千亜)

2015/06/25

(核リポート)「甲状腺がんは原発のせい」韓国訴訟の輪

2015年6月25日朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH685SK9H68PTIL02K.html

甲状腺がんは、原発のせいだ」
韓国の裁判所で、こんな判決が出たのをきっかけに、原発周辺に暮らす
甲状腺がん患者やその家族が続々と、原発を動かす公営企業を相手に裁判を起こしている。
 
写真・図版
韓国の商業炉で初めて「廃炉」が決まった釜山市の古里原発1号機(右端)=2014年7月、中野晃

韓国で最初にできた釜山市の古里(コリ)原発。1978年に1号機が稼働を始め、現在は6基の原子炉建屋が日本海(韓国名・東海)沿いに並ぶ。この原発から約7・7キロのところに20年ほど暮らす李真燮(イ・ジンソプ)さん(51)の一家が起こした裁判が、甲状腺がん患者らが次々と立ち上がる「起爆剤」になった。

2011年、東京電力
福島第一原発事故が起きたころ、李さんは直腸がんになった。約1年後には妻(49)も甲状腺がんと診断された。長男は先天性自閉症の障害を持って生まれた。韓国でも連日報じられた福島の原発事故の惨状を見て、李さんは「家族の病気や障害は、原発がまき散らした放射性物質のせいではないか」と考えるようになった。事故翌年の12年、李さん一家は韓国にあるすべての原発を管理運営する公営企業「韓国水力原子力(韓水原)」を相手に、損害賠償の支払いを求める裁判を釜山地裁に起こした。

支援者もほとんどいない「孤独な闘い」を約2年続け、14年10月、判決の日を迎えた。しかし、「当然敗訴するだろう」と思われたのか、取材に来るメディアも支援する
環境保護団体のメンバーもいなかったという。

「被告は、1500万ウォン(168万円)を妻に支払え」。裁判長は、李さんと長男の訴えは「原発の放射線放出との間に因果関係を認めるには証拠が足りない」として退ける一方、妻の
甲状腺がんについては「原発付近に居住し、相当期間、原発から放たれた放射線にさらされた。このため、甲状腺がんと診断を受けたとみるのが相当だ」として原発と甲状腺がんの因果関係を認めたのだ。

福島の原発事故を機に、韓国では原発周辺の住民が詳しい健康診断を受けるようになった。2012年2月に
甲状腺がんと診断された李さんの妻も、そうした一人だった。

釜山地裁判決がポイントとして挙げたのは次のような点だ。

甲状腺がんの発生には、放射線にさらされることが決定的な要因として作用することが知られている。

○女性は原発から10キロ圏に20年近く暮らし、放射線に長期間さらされてきたとみられる。

○女性の
甲状腺がんの発生には、原発から放出された放射線以外に、原因があると思える明確な材料がない。

○原発周辺地域の住民の
疫学調査の結果、原発から5キロ~30キロ離れた地域でも、遠く離れた地域よりも1・8倍高い発生率を示している。女性が暮らしてきた地域を、原発から流出した放射線の影響を受けない地域とみなすのは困難だ。

○ほかのがんと異なり、
甲状腺がんの場合、原発からの距離と発生率とに相関関係があるという調査結果が出ている。

さらに、韓国の司法関係者が注目したのは、別の公害訴訟で大法院(
最高裁)が示した加害企業の賠償責任に関する判断基準を、原発にもあてはめたことだ。

裁判所は「加害企業は技術的、経済的に被害者よりもはるかに原因の調査が容易な場合が多いだけでなく、原因を隠蔽(いんぺい)するおそれがある。このため、加害企業が有害な原因物質を出し、それが被害者に及んで損害が発生すれば、加害者側で無害だと証明できない限り、責任を免れられないとみることが社会均衡の理念にもあう」と指摘した。

今回、古里原発は、福島のような重大事故を起こしたわけではないが、裁判所は、原発の稼働そのものが「放射線の放出」という被害を生み出していると認めた。さらに、原発が「無害だ」と証明できない限り、賠償責任が生じると断じたのだ。

     ◇

「原発が
甲状腺がんの原因だ」と結論づけた韓国初の判決はすぐに、ソウルを拠点に「脱核(脱原発)」に取り組む弁護士らに伝わった。福島の原発事故を機に「脱核」を掲げる法律家グループを立ちあげた金英姫(キム・ヨンヒ)弁護士は、「ほかの原発でも勝訴できる」と考えた。
写真・図版
原発周辺の甲状腺がん患者の掘り起こしを進めるソウルの金英姫弁護士。福島第一原発事故後、
「ひまわり」という愛称の脱原発を目指す弁護士の会を結成して代表を務める=本人提供
原発推進政策をとる韓国には、朝鮮半島東岸の日本海(東海)側に3カ所、西岸の黄海側に1カ所、計4カ所に計23基の原発がある。そのすべてを、釜山地裁で賠償を命じられた公営企業、韓国水力原子力が管理運営している。金弁護士らが各地の環境保護団体や住民団体と連絡をとると、原発周辺に長年暮らしたり、暮らしたことがあったりする住民の中に甲状腺がんと確定診断された患者が次々と見つかった。

     ◇

韓国南東部の慶州(キョン・ジュ)市。
ユネスコ世界遺産に登録されている仏国寺や石窟庵で知られ、かつて新羅の都があった古都の日本海沿いには、5基の原子炉が並ぶ月城(ウォルソン)原発がある。

3月中旬、原発前で数十人の周辺住民らが「1号機を
廃炉にせよ」と声をあげていた。韓国の原子力安全委員会が2月末、月城原発1号機を「設計寿命」とされる30年を超えて稼働期間を延長することを認めたためだ。この1号機の「寿命延長」問題はここ数年、韓国の原発推進派、反対派双方にとって重大な関心事のひとつだった。福島第一原発事故後、韓国で「設計寿命」を迎えた原発をさらに延長運転させるかどうかを決める最初の事例になるからだ。反対派は「廃炉」を求めたが、国の原子力安全委は、韓国水力原子力の申請を受けて「さらに運転を続けても問題はない」と判断した。
写真・図版
月城原発の正門に通じる道路沿いに付近住民らが籠城(ろうじょう)するテント。
住民らは1号機の即時廃炉を訴えている=3月、韓国・慶州市、中野晃撮影
原発から約915メートルの所に住む農業の黄粉熙(ファン・ブンヒ)さん(67)は連日のように、原発正門前での住民集会に参加している。黄さんも甲状腺がん患者で、14年末、韓国水力原子力を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。月城1号機が商業運転を始めた1983年ごろから30余年、この原発に最も近い集落で暮らしてきた。「原発といってもよく分からず、電気をつくる工場ぐらいに考えていた」と振り返る。

転機になったのはやはり、福島第一原発の事故だった。「原発の危険性に気づき、健康のことがいっぺんに心配になった」。事故から間もないころ、健康診断を受けると甲状腺にしこりが見つかった。さらに1年後の検査で「がん」と診断され、すぐに摘出手術を受けた。以来、毎日薬をのみ、定期検査も受けなければならなくなった。集落では、ほかにも
甲状腺がんの患者が見つかった。「原発のそばに長期間住んでいるからではないか」。不安が日増しに膨らんだ。

写真・図版
原発側を相手に裁判を起こした黄粉熙さん。月城原発(後方)の近くに三十余年間暮らし、
3年ほど前に甲状腺がんの摘出手術を受けた=3月、韓国・慶州市、中野晃撮影
昨年10月、釜山市の古里原発の周辺に住む甲状腺がん患者の女性が韓水原を訴えた裁判で勝ったと伝え聞いた。「私も原発の被害者だ」。弁護団が原告を募っていることを知って連絡をとり、裁判に踏み切った。

黄さんの暮らす集落で使う飲料用の地下水や雨水、一部住民の体内からは、検査で、水素の放射性同位体である「三重水素」(
トリチウム)も見つかっている。原発から数十キロ離れた慶州市中心部の地下水や雨水、住民の検査では検出されておらず、月城原発との関連の可能性が指摘されている。

黄さんには、一緒に暮らす2人の孫がいる。「日本では福島の子どもに
甲状腺がん患者が出ている、というニュースも見た。孫たちのためにも、原発に頼らないような社会にしてほしい」と訴える。

黄さんをはじめ、韓国4カ所の原発のそばに長年暮らしていたり、かつて暮らしたことがあったりする計545人の
甲状腺がん患者が昨年12月~今年4月、韓国水力原子力に損害賠償を求める訴訟を相次いで起こした。ほとんどが原発から10キロ圏内での居住歴がある人で、原告は家族を含めて2500人を超える大規模訴訟に発展した。

原告弁護団では、原発周辺の
甲状腺がん患者の掘り起こしをさらに進め、原告団の規模を大きくしていく方針だ。引き金役となった李真燮さん一家の訴訟は、原発公営企業の韓水原側が控訴し、釜山高裁で控訴審が続いている。韓水原は「甲状腺がんの発病要因には遺伝などほかの要因もある。また、法令基準内で運営される原発から放出された放射性物質によって原発付近の住民が甲状腺がんになり得るという研究結果は世界的にも皆無だ」と主張し、全面的に争う構えだ。

これに対し、原告側弁護団の金英姫弁護士は「原発が『有害』であるのは明らかで、原発側が『無害』と証明するのは困難だ」と勝訴の維持に自信をみせる。また、韓国でも福島の事故後の健康診断で多くのがん患者が見つかったことから、「日本でも原発ごとに周辺住民の実態調査をすべきであり、患者が見つかれば、
電力会社に損害賠償を求める集団訴訟をすべきだ」と訴える。福島第一原発事故後、福島県では事故当時18歳以下の約38万5千人を対象に甲状腺の検査を続けている。県はこれまでに計103人が甲状腺がんと確定診断されたことを公表しているが、県検討委員会は「事故による被曝(ひばく)の影響とは考えにくい」との立場だ。

韓国の原子力安全委の委員(野党推薦)も務める金益重(キム・イクチュン)・
東国大学医学部教授は今年3月、事故から4年を迎えた福島県でのシンポジウムに招かれて参加し、被災地を回って違和感を覚えたという。行政も住民も日本政府がいう「放射性物質は基準値以下なら安全」という言葉を信じこまされ、「復興」だけが過度に強調されていると感じたからだ。「私からみれば、福島復興運動というのは『国民被曝(ひばく)量増加運動』でしかない。政府の掲げる復興方針に表だって反対する声や動きもないように見えた。福島が直面する問題の核心は、住民の放射能汚染の問題のはずだ」。金教授は、福島から戻って間もないソウルでそう語った。

韓国での原発訴訟の火付け役となった李真燮さんは「
脱原発」を掲げる市民団体に招かれ、福井など各地で講演をしている。大阪市内で開かれた1月末の集会で、李さんは「福島の事故後も韓国政府は原発を増やし、日本政府は原発の再稼働を急いでいる。私たちの安全と健康のためにも、訴訟の輪を広げたい」と訴え、民衆レベルの協力を呼びかけた。

韓国政府は6月8日、第7次電力需給基本計画案を公表し、原発増設路線を維持する姿勢を鮮明にした。すでに既存の原発での増設や新規候補地での建設が公表されている分もあわせると、20年代末までに現状より13基も原発を増やす構えで、「脱核(
脱原発)」を訴える市民勢力は反発を強めている。

写真・図版

月に韓国慶尚北道の盈徳(ヨンドク)であった「脱原発」を訴える街頭パレード。福島の原発事故から4年を機に、原発の新規候補地に挙がる海辺の町に韓国各地の市民団体が集まった=中野晃撮影
一方、トラブルの多発で周辺住民らから「廃炉」を求める声があがっていた釜山市の古里原発1号機について、韓国政府は6月12日、運転許可期限である2017年6月以降は継続運転させないと、運営する韓水原に勧告することを決めた。朴槿恵(パク・クネ)大統領は、父の故・朴正熙(パク・チョンヒ)大統領時代に運転を始めた韓国最初の商業炉の「廃炉」を決断したのだ。背景には、福島の原発事故後、韓国でも原発問題への市民の関心が高まり、「老朽原発」の運転の是非が政治課題になったことがある。また、原発の周辺住民は原発が身体に及ぼす危険性に目覚め、大規模な裁判闘争に立ちあがった。

日本の原発周辺で、同じような健康被害が起きていても決しておかしくないはずだが、日本政府や立地自治体は原発の再稼働を急いでいるように見える。その影で、「ないこと」にされてしまっている住民の健康被害は本当にないのか。徹底的な調査こそが、福島原発事故を抱える日本がいま、真っ先に取り組むべき課題ではないだろうか。

     ◆

なかの・あきら 1994年入社。
東日本大震災直後の2011年4月にソウル支局。  3年間の韓国駐在を経て14年4月から大阪社会部・核と人類取材センター。
(大阪社会部(核と人類取材センター)・中野晃)
 

日韓水産物協議を延長

2015年6月25日 テレビ東京
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/news/post_92469

韓国が、東京電力・福島第一原発の事故を理由に、日本からの水産物の輸入を規制している問題で、日韓両政府は24日、ジュネーブで、WTO=世界貿易機関の協定に基づく2国間協議を開きました。協議は、25日も続きます。韓国は、2011年3月の原発事故を受けて、食品の放射能汚染を警戒し、福島県など8つの県からの一部の水産物の輸入を禁止しました。その後、2013年9月からは、対象を、全ての水産物に拡大していました。これに対し、日本側は「科学的根拠がない」として、輸入規制の撤廃を求めてきましたが、韓国側が応じないため、先月、WTOに提訴しました。24日の協議では、双方の主張の溝は埋まらなかったもようで、25日まで日程を延ばし、引き続き協議します。

日韓、水産物協議を延長=禁輸解除、溝埋まらず-WTO

2015年6月24日 時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201506/2015062400820&g=soc

【ジュネーブ時事】福島など8県の水産物の輸入禁止措置をめぐって日本が韓国を世界貿易機関(WTO)に提訴していた問題で、日韓両政府は24日、WTOの紛争解決手続きに基づく2国間協議をジュネーブのWTO本部で行った。ただ、双方の主張の溝は埋まらず、25日まで日程を延ばして協議を続けることになった。

韓国は2011年3月に東京電力福島第1原発の事故が発生した後、食品の放射能汚染を警戒し、8県の一部水産物の輸入を停止。13年9月には対象を全ての水産物に拡大した。日本側は科学的根拠がないとして禁輸解除を求めてきたが、韓国側が応じないため、5月21日にWTOへの提訴に踏み切った。

25日の協議も不調に終わり、期限の7月20日までに妥結できない場合、日本はWTOの紛争処理小委員会(パネル)の判断を仰ぐ見通しだ。

2015/06/24

骨抜き自主避難者住宅支援 国「苦肉の策」

2015年6月24日 毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/select/news/20150624k0000m040173000c.html

東京電力福島第1原発事故の自主避難者に無償提供されている「みなし仮設住宅」の代替策として公営住宅に応募しやすいようにする住宅支援施策を巡り、国が2013年10月、「抽選なし」での入居としないよう都道府県に伝えていたことが分かった。
       ◇
自主避難者の公営住宅への応募をしやすくする「公営住宅の入居円滑化」施策を巡る、「骨抜き」の実態。発案に関わった国の担当者らは「苦肉の策だった」と口をそろえ、その言葉通り、施策の運用から8カ月が過ぎてもほとんど知られておらず、必要な書類の発行はわずか50件。避難者を受け入れたい自治体にとっては逆に施策が足かせになっており、施策の体をなしていないのが実情だ。

関係者によると、この施策は復興庁の担当者が2013年初めに発案し、公営住宅法を所管する国土交通省が制度設計した。民主党政権時に成立した「子ども・被災者生活支援法」に基づき、公営住宅法で規定されている入居要件を緩和する内容。しかし、自主避難者が公営住宅への入居を希望しても、抽選がない「特定入居」を原則認めなかったため、結局は抽選で当たらなければ入居できない。

復興庁の当時の担当者は「自主避難者にとっては無償の『みなし仮設住宅』がベストだろうが、いつまでもというわけにいかない。上から言われて他の方策を検討する中で思いついた」と振り返る。国交省の当時の幹部も「自主避難者は微妙な存在。完璧な制度を作れば自主避難を推奨することになりかねず、人口流出を恐れる福島県にも配慮した」と明かし、「骨抜き」にしたことを事実上認めた。

自治体側の対応はさまざまだが実効性のあるケースは乏しい。東京都は今年5月に都営住宅の応募受け付けを始めたが、13年度の抽選倍率は平均23.6倍と全国一高く、部屋によっては700倍以上。埼玉県は1月に受け付けを始めたが、原則的に元々の居住者しか応募を認めない条例を改正せず、いまだ県のホームページにすら掲載していない。避難者を過度に優遇したくないとの「本音」が垣間見える。

一方、滋賀県は2月、県内にいる避難者からの要望を受けて条例を改正し、福島県から新たに避難したい人を受け入れる姿勢を示した。鳥取県も同月、福島県内からの避難者らを対象に18年度末まで県営住宅を無償提供する方針を明らかにする一方、入居円滑化施策は見送った。担当者は「同じ公営住宅なのに無償と有償の施策が両方あるのは矛盾するため」と話した。【日野行介、町田徳丈】

          ◇

自主避難者の多くが入居する「みなし仮設住宅」は2017年3月末で提供が打ち切られる。その代替策とされる公営住宅の入居円滑化施策について、福島市から東京都郊外の都営住宅に自主避難する女性(33)は「結局はここを追い出したいだけではないか」と不信感をにじませる。

仮に応募して当選しても今の場所は退去しなければならず、家賃もかかる。そもそも都営住宅の倍率は高く、当選するかも分からない。隣県の多くは条例で元々の住民に応募資格を限っているため、応募すらできない所もある。女性は、4人いる子供の環境を変える転校も避けたい。福島県は今後、みなし仮設の代替策を別途検討するとしているが「一方的に打ち切るのだから期待なんかできない。ただひたすら困っている」とうつむいた。

福島/子どもの被ばく、国や県は棄却求める 第1回口頭弁論 地裁

2015年6月24日毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/area/fukushima/news/20150624ddlk07040253000c.html

第1回口頭弁論を前に横断幕を掲げ福島地裁の前を歩く原告ら=福島市花園町で
原発事故当時に県内に住んでいた親子75人が国や県、福島市など県内6市町を相手取り、子どもが低線量被ばくによる健康不安のない環境で教育を受ける権利の確認と、被ばくに伴う1人あたり10万円の慰謝料を求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。国や自治体は原告の訴えを却下や棄却するよう同地裁に求めた。

原告側は福島、郡山、いわき、伊達、田村、川俣の計6市町と県に対し、各自治体には小・中学校と特別支援学校に通う児童生徒を、年間追加被ばく線量0・3ミリシーベルト未満の「安全な地域」で教育する義務があると主張。郡山市から静岡県に小学生の息子らと避難する父親らが意見陳述し、「原発事故さえなければ私たちも福島県にいることができた。県内にいる人たちは今も被ばくの不安にさらされている」と訴えた。

これに対し、県などは答弁書の中で、「『安全な地域』の範囲が原告から示されておらず、この裁判で行政側の措置が具体的に決まることはない」などと主張。原告側が子どもの被ばくに対し慰謝料を求めていることについても争う姿勢を示した。

次回口頭弁論(9月10日)からは追加提訴した会津若松市の親子ら原告67人も同じ裁判で審理されるため、会津若松市も被告に加わる。【土江洋範、宮崎稔樹】

トラック積荷表面の放射性物質汚染密度「限界値未満」

(積み荷の表面線量が有意に上がるなど、よほどでなければあり得ません。それだけを測定してお茶を濁すのは作為的とすら思います。トラック等の車両が増えた場合に懸念されるのは、積み荷の付着ではなく、タイヤに巻き込むなどして持ち込まれる高線量の土砂ではないかと思います。事故直後、福島県から続く幹線道路沿いにある新潟県内のガソリンスタンドで、洗車のために側溝に溜まっている土砂が高線量だった例があります。参照:http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1312322550522.html 子ども全国ネット)


2015年6月24日 (水) LOGISTICS TODAY
http://www.logi-today.com/170356


経済産業省は24日、帰還困難区域を含めて常磐自動車道、国道6号を通過するトラックの積荷に放射性物質がどの程度付着しているかを調査した結果、表面汚染密度は検出限界値未満だったと発表した。

積み荷の表面汚染密度の計算評価上の最大値は、1回通行あたり常磐道で0.0017ベクレル(1平方センチあたり)、国道6号で0.076ベクレル。実測では、荷台後部ドア、荷台内壁、積荷表面、積荷内部の表面汚染密度がいずれも計算値と同等以下に設定した検出限界値未満となった。

常磐道と国道6号は現在、帰還困難区域部分を通行証なしで通行することが可能となっており、物流業界で利用の増加が見込まれている。

周辺のモニタリングポストで得られている空気中の放射性物質濃度は低く、同区間を通行するトラックなどの積荷への放射性物質の付着はほとんどないと考えられているが、測定によって実態を確認するため、付着量を計算評価するとともに、宮城県トラック協会の協力を得て実測した。

避難指示解除で本当に安心が最優先? 危惧される子供や女性のがん多発

2015年06月24日 週プレニュース
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/06/24/49724/

福島原発事故以降、放射能から逃れて避難生活を続ける人はいまだに11万人を超える。そんな中、政府は再来年3月までに(一部を除き)避難指示を解除する方針を打ち出した。

健康被害に不安を抱きながらも補償を打ち切られて帰らざるを得ない住民に対し、国は「安心を最優先し、年間被曝量20mSv(ミリシーベルト)の基準を採用した」という。しかし、そもそも国がいう「安心」の基準とは何か。

経産省が2013年3月にまとめた「年間20mSvの基準について」によると、避難の基準を年間20mSvにしたのは、ICRP(国際放射線防護委員会)の放射線防護の考え方を取り入れたとある。「住民の安心を最優先し」、事故1年目から年間20~100mSvの間で最も厳しい数値を避難指示の基準として採用したという。

そして広島、長崎の原爆被爆者の疫学調査の結果から、
(1)100mSv以下の被曝による発がんリスクはほかの要因による影響に隠れるほどとし、
(2)長期間の継続的な低線量被曝ではより健康被害が小さく、年齢による発がんリスクの差を明らかにした研究もない
と断言している。

つまり、福島の放射線は健康被害に結びつくリスクが低いと言っているのだ。だがこれは都合のよい情報だけを選び、意図的な解釈をしていると考えざるを得ない点が至るところにある。

まず、年間20mSvの部分。ICRPは2007年勧告のなかで被曝参考レベルを3段階に分けている。最も高いのは被曝低減対策が崩壊している緊急時で20~100mSv。次が事故後の復旧段階の1~20mSv。そして平時の公衆被曝1mSv以下だ。

国が復興を加速するというのであれば、まず1mSv以下に近づける努力を最大限にしてから住民を帰すべきだ。ところが現実は緊急時の20mSvで問題なしとなってしまっている。

100mSv以下の被曝による発がんリスクは少ないとする国の主張に臨床データを挙げて反論するのは、放射線医学総合研究所で主任研究官を務めたこともある医学博士の崎山比早子氏だ。

「旧ソ連の核製造工場から排出された核廃棄物がテチャ川に流され、流域住民が平均40mSvの被曝をしました。約3万人を47年間追跡調査したところ、線量に比例してがん死者が直線的に増えたのです。1グレイ(約1Sv)被曝すると、被曝していない人に比べて固形がんで亡くなる人は1.92倍、慢性リンパ性白血病を除く白血病は7.5倍にはね上がりました。

また、イギリスの高線量地域では、4.1mグレイ以上の被曝から小児白血病が有意に増えることもわかっています。低線量被曝だから安全だという根拠はないのです」

崎山氏によると、そもそもICRPの委員長自身が2011年9月に開かれた国際専門家会議で放射線に安全量はないと話しているという。

「被曝リスクをゼロにすると社会的なコストが一気に上がる。そこで、原発を使い続けるなら1万人に1人が被曝でがんになってもそれを受け入れましょうというのがICRPの考え。そもそも成人の放射線従事者が実質的に被曝許容とする年間20mSvを放射線への感受性の高い子供や女性にも一律に当てはめるのはおかしい。国が20mSvで帰還を進めようとするのは犯罪的ともいえます」

福島で原発事故当時18歳以下だった約38万5千人のうち、甲状腺がんが確定したのは現在103人。福島県は「現時点で事故の影響は考えにくい」というが、チェルノブイリでは事故後、小児甲状腺がんが多発した。

このままでは大勢の子供たちを危険に晒(さら)すことになるが、本当に国は安心を最優先にしていると言えるのか?
(取材・文/桐島 瞬)

福島/来月上旬から助成申請 甲状腺検査県負担は約1000人 県議会一般質問

2015年6月24日福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015062423630

東京電力福島第一原発事故当時、18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、治療や経過観察が必要となり県から医療費の全額負担を受ける対象は約1000人となる。7月上旬から助成の申請を始める。23日開かれた6月定例県議会本会議の一般質問で、西山尚利議員(自民、福島市)の質問に鈴木淳一保健福祉部長が示した。

県は3月31日現在、甲状腺検査の二次検査で「B」や「C」の判定を受けた1694人のうち、経過観察措置となった約900人、手術を受けた約70人が公費負担の対象になると見込んでいる。

甲状腺がんの手術費は被保険者の所得によって異なるが3万~30万円、経過措置の医療費は1万円前後と県はみている。

対象者には7月10日ごろに案内文書を送付する。医療機関で「診療情報個人票」に診断内容などを記入してもらい、これまでに支払った医療費を証明できる書類などと合わせて県に提出する。

甲状腺検査は超音波を使った一次検査、血液や細胞などを調べる二次検査とも受検者に医療費の負担はない。ただ、二次検査で甲状腺に一定以上の大きさのしこりなどが見つかり、経過観察や手術のための通常診療に移行した場合、医療費や手術費は原則、自己負担となる。

県は原発事故後、18歳以下の医療費を無料化しているが、19歳以上になった受診者は経済的な負担を余儀なくされてきた。このため、甲状腺検査を受け始めた時点にさかのぼって県が費用を支払う。避難などで県外に住民票を移した人も対象とする。




甲状腺治療費を負担へ 福島県

2015年6月23日 産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/150623/afr1506230020-n1.html

東京電力福島第1原発事故の当時18歳以下だった福島県の全ての子供に対する甲状腺検査で、県は23日、治療や経過観察が必要とされた人の医療費の自己負担分を全額支援すると発表した。

対象は、詳細調査で甲状腺にしこりなどが見つかり、がんの疑いがあるとされた人やがんと確定した人で、県は今年3月末時点の調査から900人程度と見込む。

7月上旬から申請を受け付ける。これまでに負担した医療費を証明できる書類のほか、甲状腺がんが増えているかどうかを調べる目的で、診療データの提出も求める。





福島県、甲状腺治療の費用負担 診療データ収集も

2015年6月23日 47ニュース

http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015062301001800.html

東京電力福島第1原発事故の当時18歳以下だった福島県の全ての子どもに対する甲状腺検査で、県は23日、治療や経過観察が必要とされた人の医療費の自己負担分を全額支援すると発表した。

対象は、詳細調査で甲状腺にしこりなどが見つかり、がんの疑いがあるとされた人やがんと確定した人で、県は今年3月末時点の調査から900人程度と見込む。

7月上旬から申請を受け付ける。これまでに負担した医療費を証明できる書類のほか、甲状腺がんが増えているかどうかを調べる目的で、診療データの提出も求める。



甲状腺の治療費全額補助へ


2015年6月23日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6055794781.html
県は現在、18歳以下の子どもについては、医療費を無料にする措置を取っていますが、原発事故を受けて進めている甲状腺検査で異常が見つかった子どもについてはその後、19歳以上になったり、県外に避難したりしても来月から治療費を全額、補助することになりました。

原発事故で放出された放射性ヨウ素は、甲状腺に蓄積してがんを引き起こすおそれがあるとされていて、県は事故当時、18歳以下だった人を対象に検査を進めています。

福島県内では現在、18歳以下の子どもについては、医療費を無料にする措置が取られているため、甲状腺の治療についても無料でしたが、19歳以上になったり、県外に避難したりした場合は、通常の医療費負担が求められていました。

このため、県はこうした甲状腺の治療費については、事故当時、18歳以下だった人であれば、誰でも全額の補助を受けられる事業を来月から始めることになりました。

県の甲状腺検査は、これまでに2回行われていて手術が必要だったり、経過観察が必要だったりする人はことし3月末の時点で1694人にのぼっていて、このうち、今回の補助の対象になる人は1000人程度だとみられるということです。

県は、この補助の申請に必要な書類の発送を来月から始めるということです。

福島の避難解除 きめ細かな対応を望む

 2015年6月24日 岩手日報論説
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2015/m06/r0624.htm

東京電力福島第1原発事故被害に対する政府の福島復興指針が改定され、新たな方針が打ち出された。

「帰還困難区域」に比べて放射線量が低い「居住制限」「避難指示解除準備」両区域の避難指示を2016年度末までに解除する。

これに伴い、両区域の精神的損害賠償(慰謝料)の支払いを17年度末で一律終了とする。一方で16年度までの2年間、集中的に事業者の自立支援を図る期間として取り組みを充実させる。

賠償から生活再建支援への政策の転換だが、当事者がどう受け止めるかはさまざまだろう。

早く故郷に戻りたいと歓迎する人もいる。ためらう人には慰謝料打ち切りの不安がのしかかってくるに違いない。放射能汚染による健康被害の不安を抱く人もいるだろう。事業再建にしても商圏自体を失っており、再生は容易ではない。

それを踏まえれば、避難指示の一斉解除や一律の慰謝料打ち切りは強引に映る。解除時期や賠償金について、きめ細かな対応が求められてしかるべきではないか。

現在、居住制限、避難指示解除準備両区域の人口は約5万4800人。16年度末までに解除されても、その時点で帰還を選ばない人は相当数に上る可能性がある。

既に避難指示が解除された地域でも、思うようには帰還が進んでいないのが実情のようだ。時間の経過とともに帰還意欲が減少していることも指摘される。

準備区域の中で動きがあった。全町避難が続く楢葉町に対して、政府はお盆前に指示を解除する方針を示した。解除されれば全町避難の自治体では初となる。

同町では帰還に向けて長期滞在できる「準備宿泊」を4月から行い、一部世帯が実際に宿泊している。しかし、一度自宅に戻っても、すぐ引き揚げた住民もいる。

「安心して帰れる環境ではなく、お盆前とはあまりにも時期尚早」との声が聞かれる。避難している間に家屋の損傷も進んでいる。

故郷は再興されなければならない。ただ、他の震災被災地と異なる原発事故禍の特殊な状況下では、より慎重に事を運ぶべきで、それに伴う住民支援も必要だろう。

国内各地で原発の再稼働計画が進んでいる。新基準合格といっても「リスクがゼロと確認したわけではない」というのが原子力規制委員長の見解だ。

もしも過酷事故が起きたらどうするのか。福島の今後は、本県を含めて全国に暮らす避難者のみならず、原発立地地域の住民が注視しているに違いない。

栃木/イワナの出荷制限解除 日光の渡良瀬川、昨年5月以来

2015年6月24日 東京新聞
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150624/CK2015062402000154.html

県は二十三日、日光市足尾町の渡良瀬川上流のイワナについて、放射性物質による国の出荷制限が同日付で解除されたと発表した。

県生産振興課によると、三~五月の検査で、基準値の一キログラム当たり一〇〇ベクレルを超える放射性セシウムが検出されず、県が解除を申請していた。

足尾町の渡良瀬川では、二〇一三年十二月に一回目の解除が行われたが、昨年春の検査で、基準値を上回る一キログラム当たり一四〇ベクレルのセシウムを検出。昨年五月三十日付で、再び国から出荷制限が指示されていた。

栃木/海の汚染考える 那須塩原で28日シンポ

 2015年6月24日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150624/CK2015062402000153.html

東京電力福島第一原発事故による海洋汚染への理解を深めようと、シンポジウム「海の放射能汚染と食生活 海の汚染の真実を知ることの大切さ」が28日、那須塩原市桜町のいきいきふれあいセンターで開かれる。入場無料。

原発事故では、大量の放射性物質が太平洋に放出されたとされており、発電所施設から流れ出る汚染水の問題は、現在も収束していない。政府は、国内で流通する水産物の安全性を強調しているが、今も30以上の国と地域で、魚介類を含む日本産食品が禁輸措置などの対象となっている。

今回の催しは、こうした現状を心配する子育て世帯らによる「那須塩原 放射能から子どもを守る会」が企画。福島県で放射能汚染の実態を調査してきた獨協医科大の木村真三准教授、海洋汚染の研究者で福島大環境放射能研究所の青山道夫教授、福島県の漁業者の立場から海の現状を伝える相馬双葉漁業協同組合の阿部庄一参事が講演する。

シンポジウムは午後1時開場、午後1時半開始で、申し込み不要。講師への質疑の時間も設ける。ボランティアによる託児サービスは1歳以上が対象で、25日までの予約制。託児の予約や問い合わせは、放射能から子どもを守る会副代表の森田省一さん=電090(1375)0361=へ。

自主避難者支援の公営住宅 国「抽選で」

2015年06月24日 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20150624ddm001040197000c.html

東京電力福島第1原発事故の自主避難者に無償提供されている「みなし仮設住宅」の代替策として公営住宅に応募しやすいようにする住宅支援施策を巡り、国が2013年10月、「抽選なし」での入居としないよう都道府県に伝えていたことが分かった。みなし仮設は17年3月末に打ち切られるが、仮設を出た被災者が公営住宅への入居を希望しても抽選で当たらなければ入居できないことになる。避難者政策に詳しい識者は「福島への帰還促進のために支援施策を意図的に『骨抜き』にしたことは明らか」と批判している。

 この施策は「公営住宅の入居円滑化」。民主党政権時の12年6月に成立した「子ども・被災者生活支援法」に基づくもので、同法は自主避難者も被災者と認め、居住、避難、帰還のいずれを選んでも国が住宅支援などを行う。一方、公営住宅法では収入上限額や持ち家の有無などの要件を厳しく設定しており、入居円滑化施策はそれらを緩和するもので、13年10月11日に閣議決定された支援法の基本方針に盛り込まれた。

この閣議決定の前日、復興庁と国土交通省は同省に東京都や埼玉県、新潟県など避難者を多く受け入れている自治体の担当者を呼び会議を開催。複数の自治体が作成した会議録を毎日新聞は情報公開で入手した。

会議録によると、復興庁の担当者は「基本は福島への帰還」とした上で、支援法と基本方針の案を説明し、入居円滑化施策について自治体の質問に答えた。

埼玉県などが「みなし仮設」の提供終了後に公営住宅入居を望む自主避難者への対応を尋ねると、国交省の担当者は「『特定入居』(抽選のない入居)ではなく通常の募集で対応してほしい」と答えた。また、施策に対する避難者のニーズを問われた担当者は、「どのくらいあるかは不明」と答え、避難者の意向調査に基づかない施策であることを示唆した。

公営住宅への応募資格は条例で元々の住民に限定している自治体が多く、その場合、他の自治体から応募はできない。このため条例改正の必要性を尋ねる質問も出たが、担当者は「改正してほしいとは考えていない。解釈・運用で対応してほしい」と回答した。

その後の14年6月、国交省は施策のQ&A(質疑応答事例)集を自治体に配布。抽選のない「特定入居が可能になる事由」を厳格に規定した。Q&Aは非公表で、情報公開で入手したが、公表文書では特定入居に一切触れていない。

施策は14年10月に運用が始まり、復興庁によると40の都道府県・政令市で受け付けているが、周知不徹底などから応募書類の発行は50件のみ。国交省の担当者は「特定入居を認められている強制避難者と同じ扱いにはできない。どういう方法を取るかは最終的に自治体の判断」と話している。

約2万5000人と推計されている自主避難者への住宅支援を巡っては福島県が15日、みなし仮設打ち切りとともに県独自の支援策を検討する方針を表明しており、この中には「住宅確保(公営住宅等)への取り組み」との項目もある。【日野行介、町田徳丈】


◇避難者の住宅問題に詳しい津久井進弁護士の話
会議録を読むと、国が意図的に実効性のない施策を発案したのは明らか。関係省庁の担当者たちは自主避難者支援に取り組むポーズを取りたいだけなのだろう。国と福島県は応急仮設住宅を打ち切る一方、代替策が不十分なら福島に戻らざるを得ないと思っているのかもしれないが、このようなやり方は不信感を強め、逆効果になりかねない。

◇みなし仮設住宅
災害救助法に基づき被災者に無償提供される応急仮設住宅のうち、民間賃貸住宅や公営住宅の空き部屋を充てたもの。応急仮設は本来、プレハブの建設型を想定しているため「みなし仮設」と呼ばれる。福島県は原発事故直後、全域に同法が適用されたため、避難指示区域外からの自主避難者も提供対象。入居期間は原則2年で激甚な災害の場合は1年ごとに延長できるが、同県は2017年3月末での打ち切りを表明した。

福島/福島第1原発事故 甲状腺検査19歳以上も全額助成へ

 2015年6月24日 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20150624ddm012040075000c.html

東京電力福島第1原発事故の影響を調べるため福島県が当時18歳以下の子供を対象に行っている甲状腺検査で、県は23日、「がん」や「がんの疑い」と診断された子供らの医療費について、19歳以上も全額助成すると発表した。7月上旬から申請を受け付け、これまでかかった医療費もさかのぼって助成する。住民票を県外に移した避難者も甲状腺検査を受けていれば、自治体の医療費助成がなくなる年齢から対象とする。

福島第1原発事故 子どもの被ばく、 国や県は棄却求める 第1回口頭弁論 地裁 /福島

毎日新聞 2015年06月24日 地方版


原発事故当時に県内に住んでいた親子75人が国や県、福島市など県内6市町を相手取り、子どもが低線量被ばくによる健康不安のない環境で教育を受ける権利の確認と、被ばくに伴う1人あたり10万円の慰謝料を求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。国や自治体は原告の訴えを却下や棄却するよう同地裁に求めた。

原告側は福島、郡山、いわき、伊達、田村、川俣の計6市町と県に対し、各自治体には小・中学校と特別支援学校に通う児童生徒を、年間追加被ばく線量0・3ミリシーベルト未満の「安全な地域」で教育する義務があると主張。郡山市から静岡県に小学生の息子らと避難する父親らが意見陳述し、「原発事故さえなければ私たちも福島県にいることができた。県内にいる人たちは今も被ばくの不安にさらされている」と訴えた。

これに対し、県などは答弁書の中で、「『安全な地域』の範囲が原告から示されておらず、この裁判で行政側の措置が具体的に決まることはない」などと主張。原告側が子どもの被ばくに対し慰謝料を求めていることについても争う姿勢を示した。

次回口頭弁論(9月10日)からは追加提訴した会津若松市の親子ら原告67人も同じ裁判で審理されるため、会津若松市も被告に加わる。【土江洋範、宮崎稔樹】

第1回口頭弁論を前に横断幕を掲げ福島地裁の前を歩く原告ら=福島市花園町で