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「8月解除」について政府の説明を聞く楢葉町民ら。 若い母親たちの姿もあった=会津美里町の宮里仮設住宅団地で |
◇政府、理解求める
政府の原子力災害現地対策本部は19日、楢葉町の避難指示解除に関する町民向けの住民懇談会を始めた。17日の町議会全員協議会と同様、「8月のお盆前」に解除する考えを示し、後藤収・副本部長らが「避難指示が出たままでは、住宅再建など復旧・復興を進めるにも限界がある。帰りたい人から帰れる環境にするための規制緩和だ」と理解を求めた。参加した住民たちの心には、早期解除への不安や期待が交錯していた。【栗田慎一、岡田英】
19日は、除染を終えた楢葉町の町立あおぞらこども園と、会津美里町の宮里仮設住宅団地で開催。楢葉町の会場では避難指示解除に向けた準備宿泊に参加する町民を中心に約50人が、会津美里町の会場は仮設住宅で暮らす約45人が出席した。
後藤副本部長らは「楢葉町が安全になったと示すことで企業も活動しやすくなり、復興が進む」とし、避難指示を解除しても生活に支障が出ないよう精神的賠償の支払いや仮設住宅の無償提供期限を延長するなど支援策を拡充していると説明。準備宿泊に参加している町民らに戸別訪問で聞き取った結果、解除への不安がある一方で、早期解除を求める声もあるとし、解除日を「お盆前」に定めた理由を述べた。
しかし、楢葉町の会場では質問した6人全員が反発。「除染廃棄物の仮置き場があるのに生活環境が整ったと言えるのか」「再び原発事故が起きた時にどうするのか」「高齢者は病院が整備されるまでは安心できない」などと訴えた。
一方で、質問しなかった住民の中には早期解除を求める声もあり、80代女性は「賛成だと声を上げにくい雰囲気があるけど、(準備宿泊のように)登録せずに自由に自宅で暮らしたいと思っている年寄りは多い」。70代男性も「お盆前の解除は大歓迎。早く帰って、自分でできることからやっていきたい」と語った。
会津美里町の会場では、質問した9人が「町に戻ってデイサービスが受けられるのか」「周りに人がいないから怖い」と帰還後の生活を想定した具体的な課題を指摘。10歳と2歳の子を持つ母親(32)は「子どもへの放射線の影響を考えると不安は拭えないが、夫とは『働く場があれば帰りたいね』と話している」と話した。
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