http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150616/CK2015061602000162.html
申し立てを行う前の会見で、栃木県内の汚染状況を示しながら 福島県内と同水準の賠償を求める住民側=県庁で |
「事故から四年が過ぎたにもかかわらず、七千人が声を上げたということを、国や東電は真摯(しんし)に受け止めてほしい」。申し立てに先立ち、住民を支援する尾谷恒治(おたにこうじ)弁護士はこの日午前、県庁で住民とともに会見し、厳しい表情で語った。
弁護団によると、全申立人の三割に当たる二千二百六十四人は事故当時に十八歳以下だったか、事故後に生まれた子どもで、子育て世代の不安が根強いことが分かった。住民側は当面、ADR参加者の追加募集をせず、今回の協議に専念するという。
福島県では、子どもの甲状腺を国費で検査している。検査体制のない関東で、寄付を基に甲状腺検査を続ける「関東子ども健康調査支援基金」(茨城県守谷市)によると、栃木県内で年数回行う検査では毎回、一週間ほどで百人超の受診希望が集まるという。
県が設置した有識者会議によると、二〇一二年一~三月、県北を含む十市町で約三千人の子どもを対象にした被ばく量検査では、二カ月間の累積線量が〇・四ミリシーベルト以上の子どもが三人いた。会議は「健康影響が懸念されるような状況にない」と結論づけたが、一般人の被ばく線量限度である年間一ミリシーベルトを超えたのでは、と不安視する声もある。
栃木県内外で、ボランティアで甲状腺検査に協力している島根大医学部の野宗(のそう)義博外科教授は取材に、「子育て世帯の不安を減らすには、実際の検査しかない。本来は行政が責任を持って実施するべきだ」と考えを語った。 (大野暢子)
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