原発事故当時に県内に住んでいた親子75人が国や県、福島市など県内6市町を相手取り、子どもが低線量被ばくによる健康不安のない環境で教育を受ける権利の確認と、被ばくに伴う1人あたり10万円の慰謝料を求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。国や自治体は原告の訴えを却下や棄却するよう同地裁に求めた。
原告側は福島、郡山、いわき、伊達、田村、川俣の計6市町と県に対し、各自治体には小・中学校と特別支援学校に通う児童生徒を、年間追加被ばく線量0・3ミリシーベルト未満の「安全な地域」で教育する義務があると主張。郡山市から静岡県に小学生の息子らと避難する父親らが意見陳述し、「原発事故さえなければ私たちも福島県にいることができた。県内にいる人たちは今も被ばくの不安にさらされている」と訴えた。
これに対し、県などは答弁書の中で、「『安全な地域』の範囲が原告から示されておらず、この裁判で行政側の措置が具体的に決まることはない」などと主張。原告側が子どもの被ばくに対し慰謝料を求めていることについても争う姿勢を示した。
次回口頭弁論(9月10日)からは追加提訴した会津若松市の親子ら原告67人も同じ裁判で審理されるため、会津若松市も被告に加わる。【土江洋範、宮崎稔樹】
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