2015年06月20日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150620k0000m040214000c.html
東京電力福島第1原発事故で飛散して河川にたまった放射性セシウムの濃度は季節によって変動し、春に高くなることが、東京農工大のチームによる福島県・阿武隈川の調査で判明した。春にかけて放射性物質を含む落ち葉などが河川に流れ込むことが原因とみられ、秋に比べて最大5倍になった年もあった。20日から京都市で開かれる日本環境学会で発表する。
尾崎宏和・東京農工大特任助教(環境汚染解析学)らは2012〜14年の3年間、原発から40〜50キロの阿武隈川中流域(同県二本松市)の35地点で春と秋の2回、川岸などにたまった堆積(たいせき)物を採取して分析した。
その結果、全地点を平均した放射性セシウム137の1キロ当たりの濃度は、1450ベクレル(12年春)▽1270ベクレル(同秋)▽2700ベクレル(13年春)▽451ベクレル(同秋)▽1080ベクレル(14年春)▽600ベクレル(同秋)−−と、春に高くなっていた。最高濃度は2万2800ベクレル(13年春)だったが、地点によるばらつきが大きかった。
チームによると、森林の落ち葉や生物の死骸には放射性物質が濃縮され、それらが川へ流れ込み、堆積物の放射性セシウム濃度が上がっているという。また、春から秋は梅雨や台風によって降水量が増えていた。このため、この時期は川の流量が増え、堆積物が下流へ流されることによって濃度が下がり、結果として春に測定する濃度が高くなっていると考えられる。
尾崎特任助教は「放射性物質は、食物連鎖を通じて魚などの生き物に濃縮する可能性があり、河川の状況を把握することは重要。こうした追跡調査は例が少なく、今後も継続したい」と話している。【千葉紀和】
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