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内閣総理大臣殿
「自主避難者」に対する住宅支援打ち切り方針に抗議し、撤回を求める申し入れ
2015年5月21日
福島原発震災情報連絡センター
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
連絡先:佐藤和良(いわき市議会議員)
福島県が「自主避難者」の避難先の住宅の無償提供を2016年度で終える方針を固めたとの報道がなされています。住宅提供は災害救助法の枠組みでなされており、国の意向も反映されたものだと伝えられています。
これは「自主避難者」だけの問題だけでなく、特定避難勧奨地点の解除など、高すぎる線量基準を基にした国の一連の帰還政策と一体のものであり、事故の風化・矮小化をはかって被災者を見捨てようとするものであると言わなければなりません。
しかし、避難元の地域の線量は事故前の基準に比べればまだ高いところも多く、多くの自主避難者、特に小さな子どもたちを抱える親たちは帰るに帰れず、避難の継続を希望しています。また、私たちをはじめ、避難者を支援する団体、さらに避難者を受け入れている多くの自治体も、住宅借上制度の複数年延長やその柔軟な運用を求めてきました。
また、「原発事故子ども・被災者支援法」(以下「支援法」)では、「原子力発電所の事故により放出された・・当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」ことを明確に認め、支援策について、被災者ひとりひとりが「居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができる」ように、「そのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」と謳っています。当事者やそれを支えてきた市民や自治体の意向を無視した今回の方針は、支援法の理念に背くものであり、到底容認することはできません。
避難者の生活の最も重要な基盤のひとつとなる住宅への支援策は、本来、現在のように災害救助法に基づく「みなし仮設」として1年ごとに延長するのではなく、同法で想定されていなかった原発事故汚染に対処するため、「支援法」に基づく抜本的な対策や法制度が必要でした。また、今後の住宅支援策として打ち出されている「公営住宅への入居円滑化」も、その需給の把握すらなされておらず、入居を保障するものでもありません。有償で倍率も高い公営住宅に、当該地域の住民と競合する形で起こりうる問題なども懸念され、本質的な解決につながらない、きわめて場当たり的なものです。
抜本的な対応策を怠った上に、現行法での不十分な枠組みさえ打ち切ろうとするのは、支援法の理念ばかりでなく、憲法が保障する生存権を否定するものだと言えます。
私たちは、避難当事者や多くの支援者・団体とともに、福島県と国の方針に対して強く抗議し、撤回を求めるとともに、国に対し、抜本的・継続的な住宅支援が可能な法制度の確立を求めるものです。
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