東京電力福島第一原発事故で、避難指示を受けていない「自主避難者」の住宅について、2016年度で無償提供を終了するとの新聞報道を受け25日、福島から県外に避難している被災者らが福島県庁に署名を提出した。被災者らは「国に支援を要請してください」と詰め寄ったが、県側は「支援を要請するかどうか、国と協議していて何も言えない」と繰り返し述べた。
福島の被災者らを支援する活動を展開している環境NGO「FoEジャパン」が17日の報道後、インターネットなどを通じて集めた署名は6159筆。避難者ら15人ほどが福島県の避難者支援課を訪問し、「住宅は避難者たちのいのち綱をきらないでください。無償提供を打ち切らないで」と福島県知事あての署名を手渡した。
福島から岡山に避難している大塚愛さんは「避難している人は誰も福島県が嫌いになって避難したわけではない。原発が起きて、被害から子どもを守りたい一心で、決断をした。」「安心して戻れる時期はわからないが、避難した私たちが前向きになれるよう、選択を認めて欲しい」と、生後7ヶ月の赤ちゃんを抱えながら訴えた。また、去年12月に特定避難勧奨地点の指定から解除された南相馬市の菅野秀一さんも「解除されても子どもは帰って来ない。あまちに国は一方的に解除した。」「原発事故は私たちの責任ではなく、国と東電の過信でおきた人災だ。二重生活が続くので、まずは被災者の声を聞いて欲しい」と政府の対応を批判した。
県の避難者支援課の福島県避難者の菅野主幹は、「報道があってから、沢山の方から声が寄せられている。福島県として特別な経験を受けている。そういった切実な声、ひしひしと伝わってくる」と述べたが、公聴会を開催して欲しいとの要望に対しては、手続きなどが難しいなどの理由で対応が難しいとの考えを示した。「延長かどうかとの条件としては、市町村の復興の状況がある。インフラの復興の状況などを考えながら、延長について検討したい」
(2016年度で打ち切りとの)朝日新聞記事は間違っているのかという問いに対しては、「どこから出た話かわからない。どこまで進んでいるのか分からない。延長という話も、打ち切りという話もある。自主的なに避難している人ももいるし、避難地域の人もいる。そういったことも含めて、この制度を考えるということとなっていまるので、それら全てを含めて協議している」と述べるにとどまった。
内堀知事、国に「住宅支援の延長」求めず
東京千代田区の都市センターホテルでは、ちょうど同じ時刻、復興庁主催の「復興推進委員会」が開催され、福島県の内堀知事も出席した。内堀知事は、今月15日に復興庁が示した来年度以降の復興方針案に対し、復興事業費の一部を自治体負担とすることについて、前日の被災12市町村の首長との意見交換を受け、「復興が遅れる」などと反発があがっていることを伝えた。また、緊急雇用創出事業などの復興事業が打ち切りになることに対しても、存続を求めた。
しかし、国からも市町村からも明確な考えや方針が示されず、政策決定プロセスそのものが不透明な「自主避難者の住宅支援」については、触れなかった。
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