2015/05/27

福島/復興業務人件費、全額国費で継続 政府方針 孤独死対策など対象

2015年5月27日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015052723038

復興庁は、平成27年度で終了する震災等対応雇用支援事業(緊急雇用事業)に代わり、復興に必要な業務の人件費を全額国費で継続するため新たな予算措置を講じる。竹下亘復興相が26日、都内で開かれた政府の復興推進委員会で明らかにした。県が要望している被災者の見守りや、避難先でのコミュニティー形成などを対象事業に想定している。

復興庁によると、28年度以降も全額国費負担とする対象について、仮設住宅や災害公営住宅で暮らす住民の孤独死対策、避難先でのコミュニティー形成、避難区域内の防犯パトロール、県民健康調査に係る関連業務などの人件費が浮上している。
 
本県をはじめとする被災地では有効求人倍率が高止まりで推移しているため、雇用政策としての予算措置はいったん終了する。その上で国の復興特別会計で新たに予算枠を確保するほか、事業を再編成するなどして対応する方針だという。
 
一方、県と市町村が強く要望している放射性物質測定や商工会の復興に向けた取り組みに関わる人件費については、内容を精査した上で、必要な予算の確保に向けた検討が進められるもようだ。
 
復興推進委員会で、竹下復興相は「(被災者の)見守りや県民健康調査、コミュニティー形成などこれから重要になる事業は、(緊急雇用事業から)形を変えるが、全てより充実する形で対応したい」と明言した。
 
県内では、緊急雇用事業が27年度で打ち切られ、翌年度以降も復興関連事業を続ける場合、県と市町村分を合わせて約80億円の財源不足が生じる見通しとなっている。

■「任期付職員」も国費で
 
竹下復興相は復興推進委員会で、県や市町村が復興業務の増加に伴い採用している「任期付職員」の28年度以降の人件費について、全額国費負担を続ける方針を表明した。
 
復興庁はこれまで、総務省を通じて全国の自治体から派遣される職員の人件費については引き続き国費負担との方針を明らかにしていたが、任期付職員については検討中としていた。竹下復興相は「マンパワー不足は深刻。引き続き、全て(国費で)対応したい」と話した。
 
県は今年度、約300人の任期付職員を採用。県によると、東京電力福島第一原発事故の避難区域が設定された12市町村にいわき、相馬、新地の浜通りの3市町を加えた15市町村では、南相馬、飯舘など7市町村が約30人を採用している。
 
委員会終了後、内堀雅雄知事は記者団に対し、「復興相から、緊急雇用の衣替えや、被災自治体のマンパワーの財源を継続していくと前向きな答えがあった。前進した部分だった」と評価した。
   ◇  ◇
竹下復興相は復興推進委員会で、復興事業費をめぐる自治体の負担割合や金額についての素案を来週中に公表する考えをあらためて示した。さらに、素案を基に被災地の県や市町村と意見交換する場を設けるとした。


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