2015/05/26

原発事故4年 自主避難者「打ち切り」におびえ みなし仮設、期限判断へ 国・県、来年度末以降も視野に

2015年05月26日 毎日新聞 
http://mainichi.jp/shimen/news/20150526ddm041040140000c.html


「みなし仮設」の都営住宅で子供と暮らす自主避難者の女性


東京電力福島第1原発事故で避難者に無償提供される応急仮設住宅について福島県は近く、現在は今年度末となっている供与期限の延長の可否を判断するとみられるが、このうち県外の「みなし仮設住宅」に住む自主避難者に打ち切りへの不安が広がっている。「来年度末まで1年延長し、その後打ち切り」との案も出る中、県と国は反発の声にも考慮して、さらなる延長を含めて協議を進めている模様だ。

みなし仮設は、災害救助法に基づき被災者に無償提供される応急仮設のうち、既存の公営住宅や民間賃貸住宅などを充てるもの。原発事故では福島県全域に同法が適用されたため、同県の避難指示区域外から首都圏などに逃れた自主避難者らも提供対象となる。提供期限はこれまで3回、1年ごとに延長され、現在の期限は2016年3月末。

東京都中野区の都営住宅で暮らす女性(41)は原発事故直後、福島県中通り地域から1人で自主避難した。事故2日前に妊娠が分かり、日ごとに大きくなるおなかを抱えて首都圏を転々とする中で出産し、母子でこの都営住宅に落ち着いた。

当初理解を示した夫からは次第に子供と一緒に戻るよう求められたが、放射線の影響が大きいとされる乳児を連れて帰ることに踏み切れず、昨年夏に離婚した。現在は元夫が支払う月7万円の養育費などで暮らす。「住宅が無償だからぎりぎりで生活が成り立っている」という。

仮に住宅提供を打ち切られると、都内の民間賃貸住宅は仕事のない母子家庭には家賃が高過ぎ、改めて都営住宅に応募しても倍率が高いため入居できる保証はない。「ここを追い出されたら行き場がない。せめて子供が手を離れて、仕事もできるようになるまでは続けてほしい」と女性は訴える。

福島県が4月に公表した避難者意向調査では避難者の48・7%が住宅提供の延長を希望し、前年比で8・3ポイント増えていた。こうした被災者の声を受け、行政も打ち切りに慎重な姿勢を見せる。災害救助法を所管する山谷えり子防災担当相は19日の記者会見で「打ち切りを促すことはない」と繰り返した。

一方で昨年4月以降、同県の田村市都路や川内村東部などで避難指示が解除されたが、帰還は進んでいない。こうした地域からの避難者はいわゆる強制避難者ではなくなっているものの、自主避難者として扱うことには反発も予想され、課題は複雑化している。

0 件のコメント:

コメントを投稿