http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OS0FB20150612
6月12日、政府は、東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島の復興政策の指針改定を閣議決定した。
写真は福島第1原発1号機。2014年11月撮影 (2015年 ロイター/Shizuo Kambayashi/Pool) |
福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島の復興政策の指針改定を閣議決定した。「居住制限」と「避難指示解除準備」の2区域(約5万5000人)に対する避難指示を、事故から6年後となる2017年3月までに解除することが改定の主眼。
ただ、解除する際の放射線量の目安など被災地の住民からは不安の声が根強い。
東電が1人当たり月10万円を支払っている精神的損害に対する賠償は18年3月末で終了する。先行して避難指示が解除された地区も同様の扱いとする。第1原発から近く、放射線量が高い「帰還困難区域」(約2万4000人)については「引き続き地元と検討を深める」とした。
<営業・風評被害への補償は16年度まで>
避難によって事業や生業が休止に追い込まれている被災者の生活を再建する目的で、政府は16年度までの2年間に集中的な支援策に実施する。官民一体となり、避難中の事業者(約8000社)を戸別訪問し、支援策の拡充について検討を行うとしている。
賠償を行う東電は今月、商工業者向けの営業・風評被害に対する賠償について、年間逸失利益の2倍相当額、実質2年分の賠償金を支払うと提案。政府の集中支援に対応した賠償実施を表明することで、同社の負担になっている賠償金の「終期」を視野に入れる構えだ。
<避難指示解除、年20ミリは妥当か>
避難指示解除に当たっての放射線量の目安について政府は、「空間線量率で推定された年間積算線量20ミリシーベルト以下になることが確実なこと」と定めている。電気、水道、ガスなどのインフラや医療・介護など生活関連サービスが復旧すること、県や市町村、住民と十分協議することも解除の要件に挙げている。
1986年に旧ソ連ウクライナで発生したチェルノブイリ原発事故では、5年後の1991年に「チェルノブイリ法」が成立。ソ連解体後もロシア、ウクライナ、ベラルーシが引き継いだ同法では、年間5ミリシーベルト超で移住義務を課し、同1ミリシーベルト超で移住か居住継続の選択肢を住民に与えている。
福島原発事故における被災者対策で、参考にできる唯一の事例といえるチェルノブイリ事故における対応と比較すると、日本政府が避難指示解除の目安としている20ミリシーベルトは高すぎるとの見方が少なくない。
今月7日、内堀雅雄・福島県知事や高木経済産業副大臣らが出席して開かれた「福島県損害対策協議会」で、医療・福祉施設団体の関係者から、「20ミリシーベルトは緊急時のやむを得ない目安だ。徹底して福島県からセシウムを取り除く政策がなければ、帰還といってもだれも信用しない」と批判の声が上がった。
日本の帰還政策は、旧ソ連が設定した基準に比べて放射線リスクの問題で住民の不安に十分に対応しているのか。
被災者支援を担当する内閣府の戸高秀史参事官は12日の記者会見で、「20ミリでいいということではない。除染、モニタリングで被ばく線量をなるべく低減し、長期的に1ミリになるよう取り組んでいく」などと説明した。
<帰還問題、行政と住民に深い溝>
避難指示解除準備区域である福島県楢葉町から同県いわき市に移り避難生活を続けている金井直子さん(49)はロイターの取材で、「たくさんの労働者が流入して、防犯や治安面で以前とまったく違う、変貌した楢葉町になっている。住民が求めている元通りの生活と行政側が目指す自治体の再生・復興は違う。私は当面は帰らない」となどと話した。
(浜田健太郎)
福島の復興加速へ 新指針まとまる
2015年6月12日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150612/k10010112341000.html
政府は12日、原子力災害対策本部を開き、福島県内に出されている避難指示について、遅くとも再来年・平成29年3月までに「帰還困難区域」を除く区域では解除できるようにすることなどを盛り込んだ、復興の加速に向けた新たな指針をまとめました。
総理大臣官邸で開かれた原子力災害対策本部には、安倍総理大臣や宮沢経済産業大臣ら関係閣僚が出席し、原発事故からの復興の加速に向けた新たな指針をまとめました。
新たな指針では、住民に不便な生活を長期にわたり強いている避難指示を速やかに解除する必要があるとして、福島県内の避難指示が出されている区域について、平成29年3月までに「帰還困難区域」を除く区域では避難指示を解除できるよう環境整備を加速するとしています。
さらに、避難している人の事業の再建を来年度までの2年間に集中的に支援するとして、国や県それに民間による合同チームがおよそ8000の事業者を個別に訪問し、事業の再建計画の策定を支援することなどが盛り込まれています。
対策本部で安倍総理大臣は「福島の復興は大きく動き始めているが、本格的な復興に至るためにはまだまだ多くの課題を解決しなくてはならないことを実感している。関係閣僚においては密接に連携し、被災された方々の自立、再生の道筋を具体化していただきたい」と述べました。
0 件のコメント:
コメントを投稿