2015/07/02

福島原発:原子力被災者700万~チェルノブイリと同規模

(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子さんは、長くチェルノブイリの被害実態を追い続け、福一の事故後も、福島の現状を追い続けています。1ミリシーベルトの法的根拠などについても、教えていただきました。先日の、子ども・被災者支援法制定3周年シンポジウムの際にも発表してくださいましたが、昨日の避難解除についての政府交渉の場で、より詳細な資料を発表されまして、OurPlanetTVでまとめてくださいましたので、お知らせします。今回は、汚染重点調査地域に住む人口ということですが、それでも、これだけの人数になる、それはチェルノブイリに匹敵するということです。 子ども全国ネット)

2015年7月2日 OurPlanetTV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1934

東京電力福島第一原発事故に伴う「原子力被災者」とは誰なのかー。
その人数規模はー。
 
「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークは2日、チェルノブイリと同じ条件で、福島第一原発事故の「原子力被災者」を試算したところ、705万人にのぼると発表した。政府が2019年3月までに居住制限区域の避難解除を行うとの方針に抗議する記者会見の中で明らかにした。
  
「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子さんによると、土壌汚染が37,000Bq/m2以上(被曝線量年間1mSv)の地域を「被災地域」として指定しているチェルノブイリと同様の定義で、福島原発事故の被災者を試算すると、「原子力被災者」は705万人にのぼると発表した。
 


試算方法は、事故1年目に年間1ミリシーベルト以上だったために、環境省から「汚染状況重点調査地域」に指定された104の自治体と避難区域12自治体と福島第一原発の作業員人数を合算したもの。
 
県別に試算すると、原子力被災者が最も多いのは、福島県の178万8016人。次いで、福島原発から100キロ以上離れているものの、人口の多い千葉県の177万0518人、茨城県58万3872人、栃木県58万3872人、群馬県44万6082人と続く。さらに、宮城県が39万6790人、岩手県25万1669人、埼玉県が19万6713人となる。原発事故前の2010年10月の国勢調査をもとに試算した。
 
チェルノブイリ原発事故の場合は、事故後早い時期に30キロ圏内で作業をした除染作業員やバス運転手、警察や軍隊など全ての人を「リクビダートル(事故処理作業員)」として、最も被害の大きな「被災者」と定義し、最も多い賠償金を支払い、健診などを実施しているが、福島原発事故では、オフサイトでの作業従事者を包括的に把握していない。
 
吉田さんによると、705万人という被災者の人数は、国連科学委員会(UNSCEAR)が試算したチェルノブイリ事故の被災者704万人とほぼ同数。さらに、同じく国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書を比較すると、被曝線量もほとんど変わらないと指摘した。
 


避難解除を進めている内閣府の原子力被災者生活支援チームは、これまで様々な会議において、ICRP(放射線防護委員会)のジャック・ロシャール氏が紹介したべラルーシの「エートスプロジェクト」の資料を紹介してきた。これに対し吉田さんは、そこで示されてる「母親たちが自主的に決めた線量」を日本語訳すると、毎時1マイクロシーベルトは、危険な地域とされていると説明。20ミリを正当化できる資料にはなっていないと批判した。
 

チェルノブイリでは、事故3年目にソ連共産党機関紙の「プラウダ」が汚染地図を公表。当初は年間5ミリシーベルト、一生で350ミリシーベルトを安全基準としてた。しかし、ウクライナやベラルーシの各共和国から「非人道的だ」との意見が相次ぎ、年間1ミリ生涯70年で70ミリという基準を設定。避難したい人は避難できる「避難の権利」ゾーンが設定された。
 
これに対し、福島原発事故では、事故直後に決めた年間20ミリシーベルトが今なお継続されている。年間20ミリシーベルトは70年間の生涯線量にすると1400ミリシーベルトとなる。
 
このほか、避難解除に関する政府交渉では、2016年度末に、除染を終了するとの政府方針に対し、飯舘村の住民が、「飯館村では農地除染はこれから。村は、除染が終了しなくても、避難解除すると言ってるが、そうなのか?」政府関係者を追及。しかし、環境省の担当者は言葉を詰まらせながら、「2016年度末までに努力します」と明確な回答を避けた。
 
(動画および資料のダウンロード先は、http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1934 より)
 

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