2015/07/07

福島/楢葉町の避難指示解除 9月上旬に



福島/楢葉町の避難指示解除 9月上旬に

2015年7月6日 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150706/k10010139901000.html






東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県楢葉町に出されている避難指示を解除する時期について、政府は、当初目指していたお盆の時期からことし9月上旬まで遅らせる方針を固め、6日にも地元に伝えることにしています。原発事故に伴いすべての住民が避難している自治体で避難指示が解除されるのは初めてです。

町のほぼ全域が避難指示区域に指定され、およそ7400人が避難している楢葉町について、政府はことし8月のお盆の時期までに避難指示の解除を目指す方針を示していました。

これに対し、住民からは「医療など生活環境が未整備で放射線も不安だ」などと反発する声も上がったため、政府は改めて検討を進めた結果、当初の目標より遅らせてことし9月上旬に行う方針を固めたことが分かりました。

原発事故に伴う避難指示の解除は、一部の住民が避難していた田村市と川内村で行われていますが、すべての住民が避難している自治体では楢葉町が初めてとなります。政府は最終的な調整を経て6日にも避難指示解除の具体的な日程を地元に伝える方針で、今後、住民の根強い不安にどう応えていくかが課題になります。

楢葉町 解除されれば3例目に

原発事故に伴う避難指示の解除は、これまでに、田村市都路地区で去年4月に、川内村の一部で去年10月にそれぞれ行われていて、楢葉町で解除されれば3例目になる見通しです。先行した2つの自治体では、対象となる住民が合わせておよそ600人だったのに対し、楢葉町はおよそ7400人と最も大きな規模になります。これで避難指示が出ている地域に住むおよそ8万人のうち、1割の住民に対する避難指示が解除されることになります。

避難の長期化を避けるため、政府は帰還困難区域を除いたすべての地域の避難指示を再来年、平成29年3月までに解除する方針を先月打ち出していて、残る9つの市町村でも今後、検討が本格化する見通しです。


楢葉町は9月5日解除=全町避難で初めて-


原発事故の避難指示・政府

2015年7月6日 時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015070600447&g=soc


政府は6日、東京電力福島第1原発事故の影響で、ほぼ全域が避難指示区域に指定されている福島県楢葉町について、9月5日に避難指示を解除する方針を町側に伝えた。全町避難した県内7町村で避難指示が解除されるのは初めて。
6日午後、高木陽介経済産業副大臣らが同町を訪れ、松本幸英町長らに伝えた。今後、政府の原子力災害対策本部で正式決定する。

高木副大臣は、町側が要望していた医療施設への無料バスの運行拡大などを追加で実施する考えを示し、「解除日は既に提示しているお盆前を変更し、追加対策の見通しが立った9月5日としたい」と述べた。

解除対象は2704世帯7401人(6月1日現在)。既に解除されている同県田村市都路地区と川内村東部を大きく上回り、最大規模となる。




「子育て環境にない」=若い世代、不安強く
-避難解除の楢葉町

2015年7月6日 時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015070600564&g=soc


東京電力福島第1原発事故で全町避難した福島県楢葉町で9月5日に避難指示が解除され、住民の帰還が始まる見通しになった。除染やインフラ整備の状況を踏まえ、政府は「生活できる環境が整った」と判断したが、幼い子を持つ母親らの間では放射能への不安が根強い。「子育てできる環境にない」との声が聞かれ、若い世代の帰還は少数になる可能性が高い。

政府や町は住民の帰還を支援するため、企業の誘致を図り、専門チームが避難した会社を訪れ相談に乗るなど雇用の確保に力を入れる。政府の担当者は「雇用の側面で復興を進め、住民にとって魅力あふれる町にしたい」と話す。

だが、子育て世代の関心は除染で、政府や町の支援策と食い違う。避難先の同県いわき市で小学生の子供3人を学校に通わせる主婦(35)は、「政府がどんなに安全と説明しても、除染が行われていない地域は存在する。不安は拭えない」と帰還に否定的だ。

政府主催の住民説明会では「年配の人たちを気にしてしまい、発言しづらい」と打ち明け、「小さい子供を持つ親たちが気軽に話し合える座談会のような場を設けてもらいたい」と訴える。



楢葉町避難解除へ:副経産相「安心は心の問題」

2015年07月06日 
毎日新聞 

政府の原子力災害現地対策本部(本部長・高木陽介副経済産業相)は6日、東京電力福島第1原発事故(2011年3月)で全町避難となった福島県楢葉町に、避難指示を9月5日午前0時に解除すると伝達した。町民の間には水道水源のダム湖に高濃度の放射性セシウムが沈殿したまま解除されることへの不安が強いが、高木氏は伝達後の記者会見で「安心は心の問題だと思う」と述べ、町民の間に不信感が高まっている。

政府は先月、「8月のお盆前」の解除方針を示していたが、町議会や町民から「生活環境の整備が不十分」との反発が強く、無料バスの運行本数拡大など「追加支援策」の準備を理由に約1カ月間遅らせた。避難指示の解除は昨年4月の田村市都路(みやこじ)地区、同10月の川内村東部に続き3例目で、全町村避難の県内7町村では初。政府は楢葉町を双葉郡復興の拠点と位置づけ、残る自治体の避難指示解除を急ぐ。

一方、会見で水道水源を巡る町民の不安について質問された高木氏は、水道水の放射性セシウムは検出限界値未満であることなどを指摘し「放射線の考え方は人それぞれ異なる。安心と思うかは心の問題だと思う」と述べた。

この発言に町民は反発を強めている。帰還に向け住宅再建を終えた60代男性は「帰る気持ちがうせる発言だ。住民の自己責任だと言うつもりだろうか」と批判した。50代女性も「古里に戻りたいという気持ちを理解できるのなら、あんな発言は出てこない」と話した。【栗田慎一】


福島県楢葉町議会の全員協議会で「避難指示解除の環境は整った」と
語る政府原子力災害現地対策本部の高木陽介本部長=楢葉町で
 
















◇安全への不信、帰郷の壁

昇汰君と古里・楢葉の話をする遠藤昇さん。
昇汰君は「友達を連れて行けるなら戻りたい」と言った
=東京都武蔵野市で


 












「やっぱり政府は信用できない」。楢葉町から避難し、小学3年の一人息子と実家のある東京都武蔵野市で避難生活を送る遠藤昇さん(43)がため息をついた。町民の安全・安心を求める声に、政府が耳を傾けていないと思うからだ。

震災直後、妻克子さん(40)は仕事の都合で単身、福島県いわき市にとどまった。一方、楢葉町内の「道の駅」で調理師として働いていた昇さんは、幼稚園児だった長男昇汰君(9)の健康を考え「父子避難」を決めた。

昇汰君は今、避難先の学校が楽しくて仕方ない。仲の良い友達がたくさんできて「武蔵野の学校を転校したくない」と言う。震災から4年以上たち、避難生活が日常生活に変わりつつある。

一方で、「古里に帰って家族で暮らしたい」との思いは日に日に強まる。6月下旬に政府が東京で開いた解除に向けた住民懇談会に昇汰君を連れて参加したのは、息子にも楢葉の現状を知ってもらい、帰郷への思いを忘れないでほしいとの願いからだった。

しかし、政府の対応には違和感を覚える。水道水源のダムの底には1キロ当たり1万ベクレル超の放射性セシウムが沈殿しているとされる。

昇さんは訴える。「政府に水道に使う上水は安全だと言われても安心できますか。子を持つ僕らの世代が戻らないと、古里は復興しない。だからこそ、戻りたいし、政府には安全な環境を全力で整えてほしい」【栗田慎一】



福島/9月5日楢葉避難解除 
安心安全「心の問題」に反発 住民「あきれた」

2015年07月07日 毎日新聞 
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20150707ddlk07010120000c.html


安心安全は「心の問題」か−−。政府原子力災害現地対策本部の高木陽介・本部長(副経済産業相)らが6日、楢葉町役場を訪れ、松本幸英町長らに町の避難指示解除日を「9月5日午前0時」とする最終判断を伝えた。伝達後に記者会見した高木氏は、多くの町民が水道水や放射線への懸念から帰還に不安を抱いていることについて、「心の問題だ」と再三強調した。町民からは「あまりにも無責任な発言」と疑問の声が出ている。【栗田慎一】

高木氏の発言は、子を持つ親たちが放射性セシウムの沈殿する木戸ダムの水を使った水道水に安全を感じることができず、「戻れない」と考えていることへの感想を問われた際に飛び出した。

高木氏は、不安の声があることについて「心の問題だと思う」と繰り返し述べ、「生活環境は整った」とする政府の立場を強調。「放射線の考え方は人それぞれ異なる」と価値観の違いを指摘する一方、水道の蛇口に放射線を測定する機器を取り付ける追加支援策に言及し、「科学的知見に基づく正しい知識を(町民に)伝えるよう努力する」と語った。

だが、木戸ダムの水を使った水道水を「安全ではない」と訴えてきた住民たちは反発している。

自宅の再建を終えたばかりの60代男性は、「住民の自己責任だといわんばかりで、帰る気持ちがうせる。町民を実験動物扱いしているのではないか」。50代の女性も「古里に戻りたいとの願いは当たり前。そうした気持ちを想像できる人ならば、そんな発言は出てこない」とあきれた。別の60代女性は、「早く帰還させようという副大臣の心の問題でしょう」と切り捨てる。

これに先立つ伝達式には、高木氏のほか住民懇談会で住民の声を聞いてきた対策本部の後藤収・副本部長らが、町からは松本町長や青木基・町議会議長らが、県からは鈴木正晃・副知事が出席した。

高木氏は解除日を伝え、「4年4カ月にわたる不自由な生活を町民に強いた」と陳謝。「戻りたい人への規制を緩和し、企業の活動を広げ、復興をさらに進めたい」と解除の理由を述べた。

そして、6月の住民懇談会で示した▽精神的賠償の支払い延長▽放射線相談に乗る対策チーム発足▽仮設住宅の無償期限延長など9項目の支援策に加え、新たに▽無料デマンドバスの本数や行き先の拡大▽町内スーパーの宅配サービス開始など3項目を追加。準備のため解除日を1カ月延ばしたとし、解除が双葉郡復興の本当のスタートだと位置づけた。

政府の説明について、松本町長は「町民から聞いた生の声を勘案した結果」と評価。一方で「失われた安心は容易に取り戻せない」と述べ、政府の息の長い復興への関与を求めた。

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