2015年6月15日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150615/k10010115241000.html
東京電力福島第一原発の事故で避難指示が出されている地域の外から全国各地に自主的に避難している住民に提供されている借り上げ住宅について、福島県は再来年3月で無償での提供を打ち切ることを決めました。福島県は所得に応じて家賃を一部補助するなど新たな支援策を検討するとしています。
福島第一原発の事故では避難指示区域の外から3万人余りが東京など全国各地に自主的に避難していて、福島県は民間のマンションやアパートを借り上げ住宅として無償で提供しています。
この支援策について福島県は家賃を実質的に負担している国と協議した結果、期限を再来年3月まで1年、延長したうえでそれ以降については打ち切ることを決め、15日福島市で開かれた会議で報告しました。
田村市や川内村など、すでに避難指示が解除され、自主的な避難となっている住民についても同じ再来年3月で無償での提供を打ち切るということです。
福島県は、打ち切りに伴って住民が福島県内に帰還する際の引っ越し費用の補助を行うほか、所得に応じて家賃を一部補助するなど新たな支援策を検討するとしています。
「県内支援を重視」との声も
福島県で東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故によって避難している人は、今も11万2000人余りにのぼります。このうち原発事故にともなう避難指示区域の外から避難している人は、およそ3万3000人で、その大部分が放射線による影響などを避けようと避難した、自主避難者と見られています。こうした人たちには、4人以下の世帯には6万円、5人以上の世帯には9万円を上限に国が家賃を負担してきました。自主避難している人たちからは、支援が打ち切られ家賃が自己負担になると経済的に苦しくなるとして、支援の継続を求める声があがる一方で、福島県内で生活する人からは県内の支援を重視すべきだという指摘も出されていました。
知事「新たな支援へ」
福島県の内堀知事は「国からは、住宅の無償提供について来年度1年間の延長は同意が得られた。その一方で公共インフラの復旧や除染、災害公営住宅の整備などで徐々に復興が進み、災害救助法に基づく支援を続けることが難しくなってきた。県としては1年間延長し、新たな支援策への移行に踏み切るという判断に至った」と話しています。
住民団体「打ち切り撤回を」
原発事故で福島県から都内など全国に避難している住民で作る「ひなん生活をまもる会」が15日夕方、東京都庁で記者会見しました。この中で、団体の代表で福島県いわき市から都内に自主避難している鴨下祐也さんは、福島県が15に住宅を無償で提供する支援をさ来年3月で打ち切る方針を決めたことについて「長期間、無償で住宅を提供してほしいという私たちの要望に真っ向から反していて、決して認めることができない」などと述べました。そのうえで、福島県が打ち切りに伴い帰還や生活の再建に向けて新たな支援策を検討していることについて「原発事故で家が汚染され、避難指示の区域外からであってもやむをえず避難している。経済的に余裕がないため、新たな支援策ではなく、打ち切りを撤回してほしい」と述べ、これまでどおりの支援の継続を求めました。
0 件のコメント:
コメントを投稿