2015/06/15

原発ADR:栃木7000人申し立てへ 東電賠償の対象外

原発ADR:栃木7000人申し立てへ 東電賠償の対象外

毎日新聞 2015年06月15日毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150615k0000e040087000c.html
東電の賠償対象外となっている栃木県那須塩原市、大田原市、那須町

























東京電力福島第1原発事故をめぐり、栃木県北部の那須塩原市、大田原市、那須町の住民ら7128人が15日午後、東電に対し、総額18億5308万円の損害賠償を求め、国の原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介手続き(原発ADR)を申し立てる。弁護団が同日午前、栃木県庁で記者会見して明らかにした。弁護団によると、東電がこれまで住民に賠償をしていない地域からの初の集団申し立てで、福島県浪江町(約1万5000人)に次ぐ規模という。

3市町では、原発事故で福島県中南部と同程度の空間放射線量を計測した地域があったが、東電による賠償の対象になっていない。今回申し立てるのは、東日本大震災が起きた当時に3市町に住んでいた住民と事故後に生まれた子供。東電に対して▽精神的苦痛への慰謝料(1人につき12万〜72万円)と生活費増加分の支払い▽申立人への謝罪▽健康調査や除染実施のための基金の設立−−などを求める。今年3月時点での弁護団のまとめによると、申立人の内訳は▽10代未満16%▽10代14%▽30代18%▽40代14%▽60代13%−−などで子育て世代やその子供たちが目立っている。

会見で、申立人の1人で小学生の子供がいる手塚真子さん(45)は「事故当時は何の情報もなく、庭先の線量も知らないまま子供たちに生活を送らせてしまった。東電から何らかの説明があると思ったが、4年たっても謝罪も説明もない」と話した。

弁護団の尾谷恒治(おたに・こうじ)弁護士らは会見で「栃木県北部は(福島第1原発事故の放射性物質により)福島市や郡山市と同等の汚染被害が認められるのに、4年間いっさい賠償がなされていない」と話した。【田内隆弘】

【ことば】原発ADR
原発事故による賠償に関する国の指針を策定する「原子力損害賠償紛争審査会」の下部組織「原子力損害賠償紛争解決センター」による裁判外の紛争解決手続き。東京電力との交渉が不調に終わった被災者が申し立てを行い、調査官が被災者と東電から提出される証拠を整理。仲介委員が和解案を作成し、双方が合意すれば和解が成立する。調査官と仲介委員はいずれも弁護士が務める。今月5日現在、1万6511件の申し立てがあり、うち1万1242件の和解が成立した。




栃木3市町住民、東電に賠償申し立て 
「県境で区別、不合理」

2015.6.16 産経新聞
http://www.sankei.com/region/news/150616/rgn1506160071-n1.html


東京電力福島第1原発事故による放射性物質汚染で15日、大田原、那須塩原、那須の3市町の住民が東電に賠償を求めて申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)。県庁で記者会見した住民団体「県北ADRを考える会」の西川峰城(みねき)代表は「県北と福島県中通りは変わらぬ汚染被害を受けている。東電は申し立てを真摯(しんし)に受け止め、和解案を出してほしい」と訴えた。また、栃木県北原発被災者弁護団長の尾谷恒治弁護士は「県境による区別は不合理」と指摘した。

和解仲介手続申立書によると、平成23年3月11日の福島第1原発事故当時、県内でも放射性物質汚染濃度が高い那須地域3市町に住んでいた計7128人の住民は、原子力損害で福島県の自主的避難等対象区域に認められたのと同等の賠償を求めている。

申し立ての理由として、東電は、原発事故により生じた将来の健康に対する不安と、日常生活が阻害された慰謝料、生活費の増加分を補償することなく、福島県と県境による不合理な区別をしてきたとしている。

損害額の算定を、事故発生から同年12月まで、18歳以下だった者と妊婦が40万円、かつ避難していた者が60万円、その他8万円とした。さらに24年1~8月、生活費増加分などで18歳以下だった者と妊婦12万円、その他4万円として、合計を18億5308万円とした。

東電には賠償にとどまらず、那須地域の除染と住民の健康管理を進めるため、自治体と協議の上、基金の設立と十分な費用の拠出を求めている。

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