2015/07/03

茨城/避難者の自殺・孤立死把握できず 県内自治体の4割弱

2015年7月3日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150703/CK2015070302000170.html


原発事故の避難者支援団体がアンケート結果などを報告した連絡会議=県庁で

東京電力福島第一原発事故などによる避難者の支援のあり方について、支援団体と行政が話し合う連絡会議が二日、県庁で開かれた。支援団体が県内の全四十四市町村に行ったアンケートで、避難者が自殺したり、孤立死したケースを把握できない自治体が四割弱あることが示された。 (林容史)

アンケートは、県内で暮らす福島県などからの避難者を支援している「ふうあいねっと」(代表・原口弥生茨城大教授)が六月に実施した。避難者の自殺や孤立死の状況を聞いたところ、いずれも発生は確認されなかったが、十七自治体が「把握できる体制にない」と回答した。

原口教授は、二〇一四年の茨城大の調査に回答した避難者の48%が、「話し相手や相談相手がいない」と答えたことから、今後、災害孤立死が増える事態を懸念。「地域社会で長期的にサポートする仕組みを、今作っておかなければ手遅れになる」と、行政側に呼び掛けた。会議では、補償などで住民票を福島県内から異動できなかったり、住民票を移して避難者名簿から外れ、被災地の情報が得られなくなったりと、さまざまな課題も指摘された。

取手市の担当者は、原発事故から四年がたち、子どもが成長してアパートが手狭になったが、法制度上、応急仮設住宅は住み替えできない実情を訴えた。福島から水戸市内の小学校に派遣されている相談員は「教育環境を変えたくないため、ほとんどが福島に帰らない」と複雑な心境を吐露した。
福島県から県内外に避難している人は、いまだに約十一万二千人に上り、茨城には三千四百五十四人が避難している。

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