2015年10月23日 毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/area/fukushima/news/20151023ddlk07040052000c.html
県内を訪れている原子力規制委員会の田中俊一委員長は22日、南相馬市の桜井勝延市長と同市で会談した。田中委員長は福島第1原発の廃炉に向けた汚染水問題や使用済み核燃料の取り出し作業などの課題について、住民の不安を取り除く作業を続けていることなどを説明し、自治体側に理解を求めた。
規制委は、2013年に南相馬市で収穫したコメから国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性物質が検出された問題について、第1原発のがれき処理で飛散した放射性物質との因果関係を否定する見解を示している。桜井市長は「原因がはっきりしないことが作付け再開の最大の障害になっている」と述べ、田中委員長の見解を再度ただした。
田中委員長は「放射性セシウムが植物に移行するのは水に溶けた状態でしかありえない」とがれき処理が原因との見方を再度否定し、「原因をはっきりさせるのは農林水産省の役割だ。意見を踏まえて再度伝える」と述べ、農水省に原因究明を求めていく考えを示した。
桜井市長は同市小高区など避難指示区域の避難指示を解除する要件の一つとして政府が年間積算放射線量を20ミリシーベルト以下としていることについて、「規制庁として安全と判断する放射線量の数値を明確に示してほしい」と求めた。だが、田中委員長は「どこまで下がれば安全ということは断言できない。住民それぞれが判断するしかない」と述べ、議論はかみ合わなかった。【大塚卓也】
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