2015/10/30

トリチウム事故前と同水準 県内の海水、南相馬の河川

2015年10月30日 福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2015103026360

東京電力福島第一原発事故で拡散した放射性物質トリチウムの濃度を県内の沿岸部の海水と南相馬市の河川で調査した結果、原発事故前とほぼ同水準にまで低減していることが、福島大うつくしまふくしま未来支援センターの島長義特任研究員の研究で明らかになった。時間の経過とともに攪拌(かくはん)されるなどして希釈されたためとみている。

県内沿岸部の調査地点は相馬市尾浜、南相馬市原町区、富岡町仏浜、いわき市四倉町の4地点。平成25年4月から6月にかけて、海水1リットル当たりに含まれているトリチウム濃度を調べた。その結果、4地点とも0.25ベクレル以下だった。原発事故前の22年に県が実施した調査では0.4ベクレル以下(検出限界値未満)だったため、原発事故前の水準にまで低減したと判断した。

河川の調査は原発事故後の23年3月26日に南相馬市鹿島区の真野川、原町区の新田川と太田川で、24年6月に同市小高区の小高川で開始した。真野、新田、太田の3河川のトリチウム濃度は23年3月に1リットル当たり3.3~1.9ベクレルと比較的高い値だったが、約9カ月後の12月には各河川とも1ベクレル程度に低下した。県が14年に実施した数値とほぼ同じだった。小高川は1ベクレル程度で大きな変動は認められなかった。

トリチウムは福島第一原発事故で発生した汚染水から十分に除去できない物質として処理方法が課題となっている。


原発事故前と同程度 福島県沿岸、海水・河川の水調査
2015年10月29日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151029-023894.php


東京電力福島第1原発事故で放出され、環境中の水に含まれて存在している放射性物質のトリチウム(三重水素)の濃度について、本県沿岸の海水や南相馬市の河川の水を調べた結果、いずれも原発事故前と同程度となっていることが分かった。海流などで薄まったとみられる。環境放射能が専門の島長義福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(38)が28日、調査結果を明らかにした。

福島第1原発で保管中のトリチウムの処分をめぐり、経済産業省の作業部会は「海洋への放出」や「深い地層に注入」などの方法を模索している。島氏は、トリチウムの人体への影響について、放射性セシウムの約千分の1にとどまると指摘した上で「どの方法でも環境中の濃度変動を確認するには処分前の濃度を調べる必要がある」と調査の意義を語った。福島大が28日に福島市で開いたシンポジウムで発表した。

海水は原釜尾浜(相馬市)北泉(南相馬市)富岡(富岡町)四倉(いわき市)の4海水浴場で採取した。第1原発の汚染水漏れが問題となった2013(平成25)年4~6月に採取した海水1リットル当たりのトリチウム濃度は、検出限界値未満から0.25ベクレル以下だった。東電が事故前の10年、第1原発付近で測定した際は同0・50ベクレル以下で、それよりも低い結果となった。

一方、河川は南相馬市の真野川、新田川、太田川、小高川で調査。事故直後の11年は同2~3ベクレルと比較的高い値を示したのに対し、13年は同0.50ベクレル前後で事故前と同程度だった。

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