JR女川駅前に設置された町議選・町長選の広報フラッグ。 遠方に避難する住民が多い被災自治体は選挙啓発にも苦心する=宮城県女川町 |
東日本大震災に伴う特例で春の統一地方選日程から外れた宮城、福島両県の町村長選、町村議選などで、震災のあった2011年の前回と同様に県議選と同日程を組む自治体がある。町村長選と町村議選の選挙期間は通常5日間だが、町村外に避難する有権者への配慮から県議選と同期間に延長。震災から4年半以上を経てもなお、各選管は特別な対応を迫られている。
▼福 島
東京電力福島第1原発事故による全町避難が続く福島県大熊町。県内8207人、県外2569人の計1万776人が避難生活を強いられている。
福島県議選は11年の前回から、期間を通常の9日間から10日間に延ばしている。町は町長選、町議選を県議選(11月5日告示、15日投開票)と同日程で実施する。
避難者が多いいわき、会津若松、郡山の3市に投票所を設置する。福島、郡山、南相馬の3市と西郷村には、7、8日の2日間限定で期日前投票所を設ける。
同様に全町避難の浪江町は、町長選日程を県議選と重ねる。避難者2万962人のうち県外が6446人に上る。町選管は「不在者投票用紙の郵送や回収作業に膨大な時間がかかり、5日間は短い」と説明する。
避難指示解除準備区域が東部の一部に残り、人口の約4割が村外に避難する川内村は、村議選を県議選と同日程で実施する。懸念するのは投票率の低下だ。
07年4月に93.93%だった投票率が、11年は85.34%に落ち込んだ。期日前投票所は郡山市など村外5カ所に設置。当日の投票終了時刻も1時間繰り下げる。
福島県内では広野町と葛尾村も町村議選を県議選と同日実施する。
▼宮 城
宮城では唯一、女川町が県議選(16日告示、25日投開票)と同日程。現時点で町長選、町議選ともに無投票が見込まれるが、町選管の担当者は「町外に避難する有権者の利便性を第一に考えた」と語る。
人口の1割以上の約800人が町外避難中。「候補者の負担を考えて日程を戻すべきだ」との声もあったが、不在者投票用紙の郵送や回収の手間を優先した。
一方、前回は町議選の日取りを宮城県議選と同じにした亘理、山元両町は20日告示、25日投開票と選挙期間を5日間に戻した。
亘理町の町外避難者は人口の1%の約350人。山元町も約700人と、ピーク時の約3割にまで減った。山元町選管の担当者は「候補者から『日程が長引くと選挙費用が掛かる』との意見があった。周辺自治体の動きも参考にした」と話した。
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